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アーティストインタビューVol.22:ささめやゆき(画家/イラストレーター)

グレートーンの落ち着いた色彩と素朴な筆遣いで静かな作品世界を描く
ささめやゆきさんにインタビュー

2005年9月取材

下手だなぁと思って好きになった
僕は絵の学校へ行ってたわけでもないし、絵のことをほとんど知らずに描き出したんです。一番最初に好きになったのはシャガールですね。古本屋で見た本に挿し絵が載っていて、すごい下手だなって思ったの(笑)。それで惹かれたんです。それまで美術の授業で教わっていたのは、ミケランジェロとか絶対自分では描けないようなすごいのばかりだったから、どうも好きになれなくて。それからフランス行って、ゴッホ、マチス、ゴーギャン、ピカソを見て、ニューヨークではベン・シャーン。彼は表情で何かを訴えているというよりは、手とか体の形で感情を表現しているのがすごいなって思いました。

描きながら見つけていく
僕は予め絵のイメージがあって描き始めるんじゃなくて、描いているうちに出来上がっていくんです。だから下描きなんてありません。描く前は絶望的に嫌なんですけど、これっていうのが見つかると速い。いままで考えつかなかった形とか色とか出てくると、朝起きるのが楽しみになりますね。僕は仕事があろうがなかろうが絵を描いています。むしろ仕事じゃないほうが楽しいかな、自分の絵が描けるから。絵日記は必ずつけてるし、8時間ぐらいなんでもなく描けます。紙もね、ほとんど無駄にしないんです。失敗したら裏返して使ったり、上下ひっくり返し描いてみたり。絵の具はガッシュとアクリル。わりと手に取った絵の具を使ったり、混ぜたりして。グレー系が多いですね。額装に使うマット紙に描いてます。画材屋でマットを頼むでしょ。切り抜いた残りはどうするのかなって思って、「それください」って言ったらくれたんです。それ以来マット紙ですね。

「すばる」表紙の仕事
初めての打合せで、編集長が表紙のテーマは特にないっていうので、「小説を絵にするのはどうですか」って、僕が提案したんです。それで古今東西の亡くなった作家の小説をテーマに7年間やりました。谷崎潤一郎とか尾崎一雄とか自分の好きな作家はいっぱい読んでるんだけど、さすがに80人を超えると厳しいですね。そうなると図書館に行って目に付いたのを読んだりして。今年いっぱいでこの仕事は終わるんですが、ホッとしたのが半分、もう少し続けたかったのが半分かな。レギュラーの仕事は、描いたらすぐ次の号に何を描こうか考えるから、緊張感が続くんです。絵本の場合は登場人物を何回も描かなければいけないから、僕はこっちのほうがつらい。違う顔になちゃったりするのはまずいでしょ。続きものより単独の絵を描くほうが基本的には好きなんです。展覧会では「すばる」の仕事を中心に100点ぐらいの原画を展示します。ぜひ見に来てください。

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ささめやゆき
1943年東京生まれ

<受賞歴>
1985 ベルギー・ドメルホフ国際版画コンクール 銀賞
1995 『ガドルフの百合』(月刊「MOE」)で第44回小学館絵画賞
1999 講談社出版文化賞さしえ賞受賞
これまでに日本全国で60回あまりの個展を開いている。
主な絵本に『ブリキの音符』(白泉社)、『マルスさんとマダムマルス』(出版工房 原生林)、
『あしたうちにねこがくるの』(講談社)、『幻燈サーカス』(BL出版)、
著書に『ほんとうらしく うそらしく』(筑摩書房)、『ネパール旅日和』(出版工房 原生林)など多数。
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