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最終更新 2005.01.24

楊被告に死刑 王被告無期 東区一家殺害 残虐な犯行明白
 中国法院判決 王被告の自首認定 楊被告控訴の意向

 【遼陽(中国遼寧省)24日井上裕之】福岡市東区の松本真二郎さん=当時(41)=一家四人殺害事件で、中国公安当局に逮捕され、殺人罪などに問われた元私立大生・楊寧(24)、元日本語学校生・王亮(22)両被告の判決公判が二十四日、中国遼寧省遼陽市の中級人民法院(日本の地裁に相当)で開かれた。同法院は「残虐な犯行で、証拠は明白」として、楊被告に死刑、王被告に無期懲役を言い渡した。王被告については「自首」を認定、刑を軽減した。楊被告は法廷で控訴する意向を示した。

 同法院は昨年十月の初公判に続き、今回の判決公判でも傍聴席の一部を日本の報道陣に割り当てた。日本で凶悪事件を起こし、自国に逃亡した中国人に対し、中国当局が公開審理を通じて極刑を言い渡したのは初めて。

 判決公判は午前九時半(日本時間同十時半)に開廷。裁判長は冒頭、検察側の立証に基づいて事実関係を朗読、最後に「死刑」「無期懲役」の主文を言い渡した。

 王被告について検察は、別事件で身柄を拘束された際、自ら一家殺害事件への関与を供述し、捜査に協力したとして「自首」を認定。判決で、裁判長も「自首と認定できる」「事件解明に功績があった」と述べ、無期懲役とした。王被告は主文言い渡し後、法廷で控訴しない意向を示した。

 楊、王両被告は前回の初公判で、元専門学校生・魏巍被告(25)=福岡地裁で公判中=と共謀し二〇〇三年六月、一家殺害を計画、実行したことをほぼ全面的に認め、遺族に謝罪していた。

 中国の刑事裁判は二審制。閉廷後、楊被告の弁護士は「控訴するか、本人とよく相談した上で決めたい」と述べた。控訴した場合、高級人民法院で裁かれることになる。

 魏被告については二月一日、福岡地裁で開かれる公判で検察側が論告求刑する

 ワードBOX=東区一家殺害

 2003年6月20日未明、福岡市東区馬出4丁目の衣料品販売業、松本真二郎さん=当時(41)=の自宅が襲われ、同日午後、同区の博多湾で、真二郎さんと妻千加さん=同(40)、長男海君=同(11)、長女ひなちゃん=同(8つ)=の一家4人が遺体で発見された。

 福岡県警の捜査本部は、元日本語学校生・王亮(22)、元私立大生・楊寧(24)の両被告=いずれも中国吉林省出身=と、元専門学校生・魏巍被告(25)=中国河南省出身=の3人の犯行と断定。捜査本部は昨年1月、強盗殺人容疑などで魏被告を逮捕、起訴し、福岡地裁で公判中。一方、事件直後に帰国した王、楊両被告は中国公安当局が身柄を拘束し、殺人罪などで起訴。同年10月19日に中国で初公判があり、検察が両被告に対し「厳罰」を求刑していた。

【2005124朝刊】