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三菱東京UFJに業務改善命令 不祥事「突出して多い」

2007年06月11日21時13分

 金融庁は11日、三菱東京UFJ銀行に対し、投資信託の販売や海外業務で多数の問題があったとして、「経営責任の明確化」を含む業務改善命令を出した。三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下企業への行政処分は、日米合わせて半年で5件目。同庁は、旧東京三菱、旧UFJ両行の合併準備を優先して法令順守や内部管理がおろそかになった可能性があるとみており、徹底した改善を求めている。

写真会見の冒頭に頭を下げる三菱東京UFJ銀行の畔柳信雄頭取(中央)=11日午後6時すぎ、東京都中央区の日銀本店で

 金融庁は、他のメガバンクに比べ問題の件数が「突出して多い」としており、五味広文・同庁長官は同日の会見で「基本以前の問題だ」と同行を厳しく批判した。7月11日までに、具体的な対策などを盛り込んだ業務改善計画を提出するよう求めている。

 同日夕に会見した畔柳(くろやなぎ)信雄・同行頭取は「重ねての処分を厳粛に受け止め、深く反省している」と陳謝。ただ、自身の経営責任については「二度と繰り返さない体制面の見直しを行い、現場で実行するのが責任」と述べるにとどめた。

 金融庁によると、同行への検査などで、発注漏れや誤発注といった投信販売の事務ミスを、謝罪だけで済ますなどの不適切な対応が、約3年で約100件見つかった。

 証券業界では通常、こうした事務ミスは損失補填(ほてん)などで「原状回復」する。旧UFJ銀は、過去に証券取引等監視委員会の指摘を受け、「謝罪のみで済ませることは厳禁」と社内規定で定めていたが、合併後、こうした定めのない旧東京三菱の規定を採用していた。

 問題の背景には、一部の営業店長が評価のマイナスを恐れて誤った取引を追認するよう客に求めた例などがあったという。事務ミスに対応する本部の部門が旧東京三菱と旧UFJで分かれ、営業店で対応に差が出るなどの不手際もあった。

 一方、海外業務では同行のニューヨーク拠点に米監督当局がマネーロンダリング(資金洗浄)の監視態勢が不十分だとして、06年12月に業務改善を命令。金融庁は、米国子会社が04年にも同様の命令を受けたのに、合併準備作業を優先して適切な対応をしなかった点を問題視している。

 中国・上海支店で現地採用の管理職員が収賄の疑いで現地公安当局に逮捕され、アジアや欧米の拠点では、現地職員による横領や銀行資金の不正引き出しなどの不祥事が過去3年ほどで数十件発生。金融庁は、現地の法規制を本部が的確に把握できていなかった、とみている。

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