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食生活とがん

更新日:2006年10月04日    掲載日:1999年08月24日

1.食生活とがんとのかかわり

イギリスの疫学研究者DollとPetoは、主に人間を対象とした多くの科学論文を総括して、アメリカ人のがん死亡に食生活が寄与する割合、すなわち、食生活の改善でがんの死亡を予防できる割合を35%と推定し、1981年に発表しました。その後、ハーバード大学(アメリカ)のがん予防センターも同様の推定を試み、成人期の食生活や肥満の改善によりがん死亡の30%が予防可能であるとし、1996年に発表しました。いずれも膨大な数の人間を対象とした研究(疫学研究)を根拠にしていますが、肺、大腸、乳房、前立腺等の部位のがんが主要な死因であるアメリカでの推定値であることに、留意しなければなりません。

がんの発生に食生活が密接にかかわっていることを間接的に示す知見として、がんの発生率についての1) 地域、民族による差異、2) 時代的変化、3) 移民における変化等をあげることができます。すなわち、欧米では大腸、乳房、前立腺のがんが多く、アジアではこれらの部位のがんが少なく、食道、胃、肝臓等のがんが多いこと、わが国では近年、乳房、前立腺、大腸のがんが増えてきていること、そして、アメリカやブラジルに移住した日系人のがんが移住先の国民の病気のパターンに近似してくることなど、これらの知見の一部は、食生活の差異や変化によりもたらされているものと考えることができます。

2.食生活とがんとのかかわりを究明するための研究方法

私たちの日常の食事が、がん発生の促進と抑制の両面においてどのように関連しているのかを明らかにするための研究には、大きく分けて実験室研究と疫学研究の2つの方法があります。

1)実験室研究

食事や食事の中に含まれている栄養素などを動物やヒト細胞に投与して、がん発生との関連を検討する実験室内で行う研究です。この方法では、ある特定の食事条件下での動物や細胞に対する発がん性、発がん抑制性の有無を、正確に評価することができます。しかし、実際に対象となる人間はさまざまな条件下で生活し、遺伝的にも多様なので、実験室での知見をそのまま当てはめることはできません。人間に対する作用、特にどの程度の量で影響を及ぼすのかについては、推定によらざるをえません。

2)疫学研究

人間で実際に起こっている事象を、統計的に検討する研究です。食物・栄養素の摂取量の多少に代表される食生活とがん発症との関連を言及するに当たって、疫学研究で得られた知見は重要な情報を提供します。

以下のような知見は、その生物学的妥当性や実験室での研究成果との統合によって、有用な情報となります。

(1) 観察型疫学研究
人間における事象を、統計的に観察するタイプの疫学研究のことを指します。

・エコロジカル研究
集団を単位として、各集団の要因保有率と疾病罹患率との相関を検討する研究手法です。例えば、いくつかの地域において、栄養素Aの平均摂取量が高い地域ほどXがんの罹患率(りかんりつ)が高いという知見を提供します。

・ケース・コントロール研究
患者さん(ケース)と対照(コントロ−ル)との間で、過去の要因保有率を比較する研究手法です。例えば、Xがんに罹患した患者さんの病気になる前の栄養素Aの摂取量が、Xがんに罹患していない人たちのそれよりも高いという知見を提供します。

・コホート研究
多くの健康な人を対象に要因の保有状況を調査した後、その集団(コホート)を長期にわたって追跡し、要因保有状況別の疾病罹患率を比較する研究手法です。例えば、Aの摂取量が高い集団の将来のXがんの罹患率が、栄養素Aの摂取量が低い集団の罹患率よりも高いという知見を提供します。

観察型疫学研究では、栄養素Aの摂取量が高い人たちがXがんに罹患するリスクが高いことは示せても、栄養素Aが直接的にXがんの発症に関与していることを示したことにはなりません。なぜならば、Xがんの発症に直接関与しているのはAではなく、Aの摂取量が高い人たちが同時に多く摂取する傾向のある栄養素Bである可能性を、否定できないからです。

(2) 介入研究
栄養素Aが直接Xがんの発症に関与しているかどうかを証明するためには、特定の集団に栄養素Aを摂取してもらい、Xがんの罹患率がどう変化するかを確認する必要があります。このようにして栄養素などの摂取に関して、実験的な介入操作を行うタイプの疫学研究です。
その中でも無作為に2つのグループに分け、片方だけにAを摂取してもらい(あるいは、摂取しないようにしてもらい)、2グループ間の違いをAの有無や摂取量の違いだけになるような条件にしたうえで、将来のXがんの罹患率に差異が認められるか否かを検証する「無作為化比較試験」が、最も信頼できる知見を提供してくれます。このような研究は決して容易には行えませんが、近年ではβ-カロテンやセレンの補給によるがんの予防効果を調べる介入研究が行われ、その研究成果が発表されています。

(3) 疫学研究における食生活の把握方法
食生活とがんとの関連を疫学的(えきがくてき)に研究するためには、各個人が日常的にとっている食物や栄養素の摂取状況を、正確に把握する必要があります。そして統計的なデータを得るためには、たくさんの人たちに対して調査を行わなければならないので、なるべく簡便な方法が望まれます。

・食物摂取頻度調査
主に個々の食物や食物群についての日常の摂取頻度を「ほとんど食べない」、「月に1〜3日」、「週に1〜2日」、「週に3〜4日」、「ほとんど毎日」等の選択肢に基づいて回答してもらうことにより食生活を把握します。例えば、緑黄色野菜を「毎日食べている」グループと、「食べない」グループでのがん罹患率を比較します。

・半定量食物摂取頻度調査
個々の食品の摂取頻度に加えて、1回あたりの摂取目安量にも回答してもらい、栄養素としての摂取量も計算できるような食生活を定量的に把握する方法です。ある栄養素を、1日何mg程度摂取しているグループが最もがん罹患率が低いのかなどの検討が行われます。

このような食生活の把握方法は概略的なものであり、ある特定個人の正確な栄養素摂取量を算出することはできません。しかしこれまでの研究で、10万人の対象者をある栄養素摂取量の多少について5〜10のグループにランク分けするためには大きな支障がないとわかっています。食生活とがんとの関連についての近年の信頼性の高い知見の多くは、妥当性が十分に吟味された半定量食物摂取頻度調査を用いて、数万から数十万人の対象者の食生活を把握し、がんの発症について長期に追跡したコホート研究によってもたらされています。

3.部位別にみたがんと食生活との関連

日本人に多く発生し、食生活との関連が比較的明らかになっている食道、胃、大腸、肺、肝臓、乳房、前立腺のがんについて、前述した疫学研究からの知見を中心に、部位別に概説します。それぞれの食物・栄養素等で、少なくとっている人たちに比べて、多くとっている人たちががんになる確率が高くなることが示されているものをリスク要因、逆に低くなることが示されているものを抑制要因と表現します。また、部位ごとの解説の最後に、現時点で十分な根拠がある予防法についてまとめました。その際、多数のケース・コントロール研究、少数のコホート研究、1つ以上の介入研究で示されている知見に基づいている予防法を、原則として記すようにしました。

1)食道がん

男性に多く発生するがんで、海外では中国やフランス、わが国では秋田、沖縄、鹿児島等に多く発生します。アルコールをたくさん飲む習慣がある地域ほど、食道がんの罹患率が高い傾向にあります。

飲酒と喫煙との関連が強く、アルコールを飲まず、たばこも吸わない人が食道がんになることはまれです。毎日飲酒している人が食道がんになるリスクは、飲まない人と比較して2倍以上高く、1日あたりの飲酒量が増えるとリスクが徐々に増大する傾向があり、飲酒と喫煙の両方が重なるとさらにリスクが高くなります。体質的にアルコールに弱い人(飲むとすぐに顔が赤くなったり、動悸(どうき)がしたりする人)では、飲酒によるリスクが特に高くなるという報告もあります。また、わが国の茶粥や南米のマテ茶などのように、飲食物を熱い温度で摂取する習慣が食道がんのリスク要因とも考えられています。これらは、アルコールや熱い飲料が食道粘膜を傷つけることによるものと解釈されています。一方、野菜や果物の摂取が食道がんの抑制要因と考えられています。食道がんは、日本人に多い扁平上皮がんと欧米人に多い腺がんではその要因が異なるといわれていますが、食道腺がんについては、特に肥満や逆流性食道炎との関連が指摘されています。

―食道がんの予防法のまとめ―

食道がんを予防するためには、まずたばこをやめ、野菜や果物をたくさんとり、アルコールや熱い飲食物の摂取を控えましょう。

2)胃がん

わが国は、南米チリなどとともに世界でも非常に多く発生する国の1つです。アメリカをはじめとした西欧諸国でもかつては多く発生していましたが、現在ではまれながんになりつつあります。わが国でも、年齢構成が変わらないと仮定して罹患率を計算した場合、着実に減り続けています。地域差も顕著で、南九州、特に沖縄で低いのに対し、秋田、山形、新潟等の東北地方の日本海沿岸に多く発生し、塩分摂取量、特に、高塩分食品の摂取量の高低と相関する傾向にあります。

胃がんの発生リスクを高める要因は塩蔵魚や漬け物等、高塩分食品の摂取で、塩分濃度が高いと胃粘膜の傷害や炎症等を起こし、発がんを促進するものと考えられています。一方、胃がんの発生に予防的に働くものとしては新鮮な野菜や果物の摂取があげられ、これらの食品中のいくつかの栄養素が発がんを抑制するものと考えられています。胃がん罹患率は世界的にみて減少していますが、これは電気冷蔵庫の普及が大きく貢献したといわれています。塩蔵食品に代わり、新鮮な野菜や果物をたくさんとれるようになったためと解釈することができます。

その他の胃がんのリスク要因としては、魚、野菜、漬け物等の食品成分が胃の中の硝酸(しょうさん)と反応して生成される、ニトロソ化合物などがあげられます。また、抑制要因としては、たまねぎ、にんにく、セレニウム元素(発がん物質を解毒する際に働く酵素の重要な成分となっています)の摂取などが示唆されています。

また、胃粘膜に生息するヘリコバクター・ピロリと呼ばれる細菌の感染が、胃・十二指腸潰瘍の発生のみならず、胃がんの発生にもかかわっていることが示唆されています。しかしながら、もしそうであったとしても、40歳以上の日本人成人の多く(8割程度)がすでにこの細菌に感染し、その中で胃がんを発生する人はごく一部であること、わが国を含む全世界的な胃がん罹患率のこれまでの減少は、感染に対する治療によりもたらされたのではないことなどを考慮すると、胃がん予防を目的とした抗生物質によるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌は、現時点では早計であるものと思われます。今後、除菌をした人たちの胃がん罹患率が、除菌しなかった人たちのそれよりも低かったという、介入研究からの知見が待たれます。

さらに、喫煙による胃がんのリスクの上昇も多くの研究で指摘されています。

―胃がんの予防法のまとめ―

胃がんを予防するためには、新鮮な野菜や果物をたくさん摂取するとともに、塩蔵品など高塩分食品の摂取を控えましょう。また、たばこを吸う習慣のある人はやめるようにしましょう。

3)大腸がん

欧米諸国に比べると日本人に少ないがんですが、近年では日本人でも増えてきています。日本人の食生活の西洋化が、大腸がん増加の一因と考えられています。アメリカなどへ移住した日本人では、白人並みの頻度にまで増えることが観察されています。菜食主義者や、肉類や動物性脂肪の摂取量の少ない国や地域では、発生率が低い傾向にあります。

大腸がんは、保存・加工肉の摂取量の多い人にリスクが高いことが認められています。これは、動物性脂肪による細胞分裂促進作用や、動物性タンパクの加熱により生成される発がん物質等によるものと推定されています。また、肥満やアルコールの摂取も、大腸がんのリスクをあげることが示されています。一方、野菜類の摂取が、定期的な運動とともに、大腸がんの発生を抑制することが認められています。そのほかにビタミンD、カルシウム、葉酸(ようさん)等の摂取が大腸がんのリスクを下げるという報告もあります。古くから大腸がんの予防に有用だと考えられていた食物繊維については、最近の無作為化比較試験や大規模コホート研究の結果が一致せず、確認ができない状況です。

―大腸がんの予防法のまとめ―

大腸がんを予防するためには、アルコールや保存・加工肉の摂取量を少なくするとともに、食生活に注意して肥満にならないようにしましょう。また、野菜不足にならないようにして、定期的に運動することも心がけましょう。

4)肺がん

わが国のがん死因としては、現在、胃がんを抜いてトップとなっています。

そのリスク要因を考えるうえで、喫煙を切り離して考えることはできません。しかし、同じたばこを吸っている人でも、肺がんになるリスクは遺伝的素因や食生活が大きな要因であることがわかってきました。特に、緑黄色野菜の摂取は、喫煙者においてリスクの軽減につながるものと考えられています。緑黄色野菜の中のどの栄養素が重要な役割を果たしているかについては一致した見解はありませんが、最も注目されたのはビタミンAの前駆物質であるカロテンでした。カロテン摂取量の多い人、あるいは肺がん発症前に採取された血液中のカロテン(主として、β-カロテン)濃度が高い人の肺がん発症リスクは、20〜85%ほど低いことが多くのケース・コントロール研究やコホート研究で示されています。しかしながら、欧米で行われた大規模な無作為化比較試験の成績では、予想とは反対に高用量のβ-カロテンの服用が喫煙者の肺がんリスクを高めるという結果になりました。食物の中に含まれているβ-カロテンの肺がん抑制効果を否定したことにはなりませんが、少なくとも喫煙者への高用量のβ-カロテン投与に、肺がん予防効果がないことが示されました。

その他、抑制要因としてはビタミンC、ビタミンE、セレニウム等が、また、リスク要因としてはアルコールや脂肪の過剰摂取があげられています。

―肺がんの予防法のまとめ―

肺がんを予防するためには、まずたばこをやめましょう。また、禁煙せずに1日20mg以上のβ-カロテンを錠剤などで補給することは、かえってリスクを高める結果になるので控えましょう。

5)肝臓がん

わが国のがん死因としては、男性では肺、胃に続いて3番目に、女性でも胃、肺、結腸に続いて4番目に多いがんです。国際的にもわが国は、中国などとともに肝臓がんの発生が多い国の1つです。国内では地域差があり、西日本、特に大阪や九州に多いという特色があります。

そのリスク要因を考えるうえで、肝炎ウイルス(B型およびC型)の感染を切り離すことはできませんが、喫煙や飲酒も肝臓がんの発生に関連しているものと考えられています。また、肝炎ウイルス感染者は、飲酒が肝炎、肝硬変を進行させるため、肝臓がんのリスクを高めるとの報告もあります。発展途上国では、保存状態の悪いナッツ類や穀類等に生息したカビから産生されるアフラトキシンという毒素が、肝臓がんの発生と密接に関連していることが知られていますが、わが国で流通している食品では、健康に影響を与える量が検出されることは一般的にはありません。

―肝臓がんの予防法のまとめ―

肝臓がんを予防するためには、肝炎ウイルスの感染の有無を知り、感染していた場合はまずはその治療を、また、感染していなければ感染を防ぐ措置をとりましょう。そして、特に感染者はたばこをやめ、アルコールの摂取を控えましょう。

肝炎ウイルスの感染予防については、厚生労働省のホームページ「一般的なQ&A」に次のような記述があります。「C型肝炎ウイルスは常識的な社会生活を心がけていれば感染することはないと考えられています」。具体的には「歯ブラシ、カミソリなど血液がついている可能性があるものを共用しない、他の人の血液を触るときはゴム手袋を着ける、注射器や注射針を共用して非合法の薬物(覚せい剤、麻薬等)の注射をしない、入れ墨やピアスをするときは清潔な器具であることを必ず確かめる、よく知らない相手との性行為にはコンドームを使用する」ことがあげられています。

6)乳がん

わが国で近年増加しつつあるがんですが、依然として欧米と比較すれば罹患率、死亡率ともに半分にも満たない低さです。しかしながら、ブラジルやアメリカの日系人の罹患率はわが国の2〜5倍程度の高値を示し、おそらくは西洋化した食生活への変化が、乳がん罹患率を高めたものと考えられています。

乳がんのリスク要因として、早期の初潮、閉経の遅延、高齢での初産、未経産、高身長、肥満等、エストロゲンなどのホルモンの体内レベルに影響を与える要因があげられています。子供のときのカロリー過剰摂取は早期の初潮や高身長に、成人では肥満に関連することにより、乳がんのリスクを高めるものと考えられています。また、アルコールの摂取もエストロゲンレベルをあげるので、乳がんのリスクを高めるものと考えられています。また、大豆製品の摂取量が多い日本人に乳がんが少ないことに関連して、大豆製品中に多く含まれるエストロゲン様物質が生体内のエストロゲン作用に拮抗(きっこう)することにより、乳がんの発症を抑制するのではないかという仮説があります。

その他、乳がんの国際的な相関研究から、脂肪の摂取量との関連が示唆されていました。しかし、大規模なコホート研究の結果では脂肪摂取との関連を認めるものはほとんどなく、現状では成人期での脂肪摂取量の減少による乳がんリスクの減少は、期待できないものと考えられています。

―乳がんの予防法のまとめ―

乳がんを予防するためには、運動やカロリー摂取のコントロールにより肥満を防ぎ、かつアルコールの摂取を控えましょう。

7)前立腺がん

わが国で近年増加傾向にあるがんですが、乳がんと同様に、現在でも欧米に比較すれば、罹患率は約1〜2割程度の低さです。しかしながら、前立腺がんの発症率が高い国の日系人では約2〜10倍程度増加し、食生活の西洋化と関連しているものと考えられています。

前立腺がんのリスク要因については確立したものはありませんが、動物性脂肪、赤身肉、乳製品の高摂取等の食生活と関連しているものと考えられています。

―前立腺がんの予防法のまとめ―

前立腺がんを予防するために、現状において推奨できる食事などの予防法はありません。

4.まとめ

わが国において発生頻度の多い主ながんについて、部位別に食生活との関連を示しました。まだわからないことがたくさんありますが、リスク要因、抑制要因ともに多くの部位で共通しているものもあります。国際的な研究グループが世界中の疫学研究の成果に基づく詳細な分析を行い、食物・栄養素とがんとの関連についてまとめた結果を表に示しました。野菜や果物がいくつかの部位のがんに対して抑制的に働く一方、肉類やアルコールの摂取がリスク要因となっています。また、日本人に多い胃がんに関しては、塩分の摂取がほぼ確立したリスク要因になっています。また、カロリーを控え運動をすることにより、肥満を防ぐことも多くの部位のがんを抑制することが期待されます。しかしながら日本人は、同時にやせていることもがんで亡くなりやすい、あるいはがんになりやすいというコホート研究の結果が複数あることから、肥満でもやせでもない適度な体重を保つように心がけましょう。

主要部位のがんと食物・栄養素との関連についての疫学研究のまとめ*
 ↑(上向き矢印)はがん発生の促進効果ありを意味し、↓(下向き矢印)はがん発生を抑制する効果があることを意味する。
 (↑↑、↓↓)は確実、(↑、↓)は可能性大

  食道 大腸 肝臓 乳房 前立腺
食習慣
野菜          
果物        
獣肉類    
(保存・
加工肉)

     
塩分            
アルコール ↑↑     ↑↑   ↑↑  
熱い飲食物            
栄養関連要因
肥満 ↑↑
(腺がん)
  ↑↑     ↑↑
(閉経後)
 
運動     ↓↓
(結腸)
       

*野菜・果物はInternational Agency for Research on Cancer. Fruits and Vegetables. IARC Handbooks of Cancer Prevention Volume 8. IARC Press 2003, その他の食品はWHO. Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases, Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation. WHO Technical Report Series 916 2003. による。


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