金星は地球にいちばん近い惑星

金星は、地球のすぐ内側を回り、地球の距離の約100倍まで、地球にもっとも近づく惑星(わくせい)です。赤道直径は地球の0.95倍の1万2,104km、重さは地球の0.81倍と、大きさ・重さとも、地球とよく似ています。金星は、地球や他の惑星とは逆に自転し、その周期は243日です。太陽のまわりを1周する公転周期が225日なので、自転のほうが長くかかることがわかります。

探査機「マゼラン」がレーダー観測で明らかにした金星の表面
探査機「マゼラン」がレーダー観測で明らかにした金星の表面

厚い雲におおわれた金星はいつも曇り空

金星には大気があり、火山が活動しています。水蒸気や窒素(ちっそ)も吹き出していますが、昼も夜も470℃と温度が高いため、それらは液体や水溶液にならずに、気体のままでいます。雨が降っても空で蒸発(じょうはつ)してしまうので、雨も降らず、晴れることもなく、大気の雲におおわれているので、いつも曇っています。大気の成分はほとんどが二酸化炭素です。それもとても厚いものなので、太陽の熱を逃がしません。そのため温度が高いのです。

ナゾの多い金星の表面は470℃の高温世界

金星は、大きさや重さは地球とよく似ていますが、表面のようすはまったくちがいます。アメリカのマリナー10号は金星の大気、放射線、磁場などを調べました。旧ソ連のベネラは金星の大気の中に降りて、地面近くの温度、大気の圧力、大気をつくるガスの種類などを調べました。その結果、金星の表面はとてもかたく、火成岩(かせいがん)の一種である玄武岩(げんぶがん)に似た岩石が多いことがわかりました。表面近くのガスの温度は約470℃、大気の圧力は地球の海底900mと同じくらいの圧力になります。まだまだナゾは多いのですが、最近では、アメリカのマゼラン探査機によるレーダー観測で表面のようすもかなりわかってきました。

金星はのように満ち欠けを起こす

金星は、地球からは太陽の近くに見えるので、夕方か明けの空にあります。夜中に見えることはありません。いちばん明るいときはマイナス4等星にもなり、「宵(よい)の明星」、「明けの明星」と呼ばれます。太陽の方向と重なる外合や内合のときをのぞいて、位置がわかれば昼でも見つけることができます。金星は地球のすぐ内側を回っているため、遠いときと近いときで地球からの距離が大きくちがいます。そのため大きさや形が変化して見え、のように満ち欠けを起こすのです。

探査機「マゼラン」が撮影した金星
探査機「マゼラン」が撮影した金星