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10/5日付

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海自PX 空自CX “兄弟機”開発、最終段階へ
試作初号機ほぼ完成
川重・岐阜で組み立て
来夏には初飛行を予定
搭載機器75%を共用

エンジン開発も順調



CX:全長43・9メートル、全幅44・4メートル、全高14・2メートル、基本離陸重量120・1トン、エンジンCF6−80C2、2基


PX:全長38・0メートル、全幅35・4メートル、全高12・1メートル、基本離陸重量79・7トン、エンジンXF7−10ターボファン4基

技術研究本部は9月27日、現在、川崎重工業岐阜工場で初号機の組み立てが進む海自向け次期固定翼哨戒機(PX)と空自向け次期輸送機(CX)の開発概況を発表した。
全長がともに40メートル前後ある大型機の2機種同時開発は世界でも初めて。技本では運用構想の異なる2機種について設計段階から共用化を推進し、機体製造コスト、将来のライフサイクル・コストの低減を目指している。
説明に当たった大野誠PX・CX開発室長によると、試作機の機体はいずれもほぼ完成し、今後は強度試験の段階に入る。両機とも初号機の初フライトは19年夏を予定。その後、19、20年度に機体が海・空自に引き渡され、飛行試験が行われる。
両機の共用部分は機体構造部が主翼、水平尾翼、コクピットの風防、搭載システムは統合表示器、慣性基準装置、飛行制御計算機など。共用の割合は機体重量から見てPXで約25%、CXで約15%を占めており、搭載機器は総品目の75%が共用されているという。両機種の外観は大きく異なっているが、中身は「兄弟機」と呼べそうだ。
PX(4発)用の国産ターボファン・エンジン「XF7−10」の開発も順調に進んでおり、現在、岐阜基地内の屋外セルで実機搭載と同じ状態で運転試験が続けられている。大野室長は同エンジンについて「おおむね性能的に問題はない」としている。
一方、CXのエンジン(2発)は旅客機などに用いられている米ゼネラル・エレクトリック(GE)社製「CF6−80C2」が搭載される。同エンジンはJALとANAで600台以上が使用され、空自でも政府専用機、E767空中警戒管制機に搭載、運用実績は豊富だ。
両機種は来年夏の初飛行後、2011年度まで飛行試験を行って就役。PXは海自P3C哨戒機の後継として日本周辺海域での哨戒任務に、CXは空自C1輸送機の後継として国際平和協力業務、国際緊急援助活動などを含む国内外の輸送任務に活用される。


PXの初号機。現在、光ファイバーなど配線の取り付け作業が行われている(9月、川崎重工業岐阜工場で)


CXの初号機。主翼先端と尾翼、風防ガラスはPXと共用、コスト削減が図られている(9月、川崎重工業岐阜工場で)


実機への搭載を模擬して試験中のPX用国産エンジンXF7(9月、空自岐阜基地で)