2003年5月24日 掲載
 
ビートルズの足跡に自分の未来を重ね合わせる
 

打席に向かう松井。本拠地のヤンキースタジアムではテーマ曲にビートルズの曲を使っている
 【ニューヨーク支局23日道上宗雅】ヤンキースタジアムの打席に松井秀喜選手が入る時、球場に流れるのがビートルズの音楽だ。ビートルズは英国の港町リバプールで結成され、一九六〇年代に全米から世界へと大ブームを起こしたビッグバンド。根上町で生まれ育ち東京を拠点に日本球界を制覇した松井は、地方都市からスタートしたビートルズの足跡に自分の未来を重ね合わせ、大リーグに挑んでいる。

 大リーグの本拠地球場では選手の好みに合わせてテーマ曲が流される。マリナーズのイチローならマイケル・ジャクソンの「スリラー」や「ムーラン・ルージュ」といった具合だ。大リーグ関係者によると、江夏豊投手(当時)が大リーグに挑戦した年のキャンプでは「上を向いて歩こう」が流れていたらしいが、これは本人の意向とは関係なく、日本人選手へのサービスだったらしい。

 松井のテーマ曲は「ゲット・バック」と「ペーパーバック・ライター」。当初は日本の曲を流す案もあったが、松井本人が「世界に通じる曲」にこだわった。前者は松井が広岡勲広報と相談して前奏のインパクトが強い曲として選び、後者はヤンキースがピックアップして流している。

 今年一月十四日にニューヨーク・タイムズスクエアのホテルで行われた入団会見は、米スポーツ史上最大級のものとなり、現地各紙は「まるで一九六四年にビートルズが初めてニューヨークにやってきた時のようだ」と書き立てた。

 米国のみならず世界の音楽史を塗り替えたビートルズをテーマ曲に選んだ松井。夢は限りなく大きい。

 
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