2006.02.14 更新 広岡氏怒った!OB知らない若手に『Gの歴史』を緊急講義「バカヤロッ」と原監督(左から2人目)に頭をたたかれる内海(左)。広岡(左から3人目)、金田(右)両大物OBの前で頭の中は真っ白。ちょっとかわいそうな気も…=撮影・荒木孝雄 栄光の巨人軍の歴史をなんと心得る!! 巨人の宮崎キャンプで13日、OB会副会長で臨時コーチを務める広岡達朗氏(74)が若手選手にカミナリを落とした。3年目の内海哲也投手(23)が400勝投手の超大物OB、金田正一氏(72)を「カネムラさん」と間違えたばかりか「300何勝でしたっけ?」と発言したことに激怒。二軍の若手選手らに緊急の“巨人軍の歴史講義”を開いた。それにしても情けなや、巨人再建はまず歴史教育からということ、か!? ◇ 穏やかな日差しが降り注いでいたサンマリンスタジアムが一瞬、凍りついた。朝のウオーミングアップの最中、広岡、金田の両大物OB、近藤ヘッドと談笑していた原監督が、金田氏と同じ左腕のホープ・内海を紹介したときの出来事だった。 原監督 「この方を知っているか?」 内海 「カネムラさんですか?」 原監督 「バカヤロー!! 何勝したと思ってるんだ?」 内海 「300何勝でしたっけ?」 通算勝利、奪三振、投球回数、完投数−。あまたの日本記録を持つ球界最高の投手だった金田氏を、あろうことか「カネムラさん」。祖父・五十雄さん(故人)が1938、39年に巨人軍で活躍した内海でさえ、この程度の知識とは…。これまでおそらく名前を間違えられたことはなかったろう金田氏が、ぼうぜんと立ちつくす横で、珍回答に表情をこわばらせたのは原監督だった。 「歴史の教育をしなきゃいけないですね」 広岡氏(手前)は二軍の若手選手に巨人軍の歴史を緊急講義 即座に二軍の練習場で円陣が組まれる。吉村監督以下首脳陣には、直ちに連絡がいきわたり、直立不動、脱帽で待ち受けた若手選手たち。そこに臨時講師を買って出たOB会副会長の広岡氏が登場した。 広岡氏は中島、沢村、川上、水原、スタルヒン、千葉、ON−と、栄光の名選手たちの名を次々と挙げて70余年の球団史を語って聞かせた。そして「キミたちは素晴らしい球団に入った。彼らがあって今日がある。キミたちには聞く権利があるし、先輩が後輩を指導するのは義務だ」と、約12分間に及ぶ講義を締めくくった。 原監督の「ジャイアンツ愛」も歴史と伝統を土台としたOBのバックアップがあってこそ。きっと「カネムラさん」ではなく「金田さん、どうすれば長嶋さんから4打席4三振がとれるんですか? あの大きなカーブを教えてください」と質問できるようになれば、栄光の巨人軍再建の日も近づく(?)はずだ。 (加藤俊一郎) ★阿部にも広岡講義広岡氏は右肩痛から復活を目指す阿部にも“朝風呂稽古”。この日早朝、風呂場で遭遇すると「(肩を)無理に後ろに引かなくても痛くない投げ方でやってみろ」とスローイングを指導した。阿部はこの日、全体練習後の特守で約20分間、座った姿勢から本格的な二塁へのスローイング。6−7割の力ながら抜群のコントロールを披露し「天気もいいしね。色々研究してやっています」と納得の表情だった。 ★金田氏、辻内に惚れた!「カネムラ」発言で朝イチからいきなりズッコケた“カネやん”こと400勝左腕の金田氏だったが、ブルペンでは終始笑顔。お目当ての怪物ルーキーのためにパイプいすから身を乗り出し、辻内のオール直球40球に鋭い視線を注いだ。 「いい素材だね。あとは努力次第。ワシかて努力してうまくなった。ワシの入団時よりフォームはきれいだよ」 なんと現時点では新人時代の自分より上との評価。ということは通算400勝以上? 最初は捕手の後ろでネット越しに見ていた金田氏だが、途中から辻内の真後ろに移動。ただならぬ気配を感じたルーキーはさすがに緊張のあまり制球を乱して「オーラ? 出てましたね」と苦笑いを浮かべるしかなった。 「これからもどんどん見ていくよ。注目度は上がった」と金田氏は全面バックアップを約束。辻内は「(金田氏の)その言葉を励みにがんばります」。目標はデッカク大先輩の大記録。決して夢には終わらせない。 【G党なら常識!?ジャイアンツ歴史クイズ】第1問 球団創設年、創設者、発足時の名称は? ★小久保と小坂リタイア小久保と小坂=写真=が練習を途中リタイアした。いずれも練習中に小久保は左ふくらはぎ、小坂は右太もも裏に強い張りを訴えたため。「練習していけば張りは必ず出てくるもの。ふたりとも痛めてしまう前の段階で(ペースを)落として様子を見ます」と川島トレーナーは説明。14日の練習は別メニューとなる予定。 ★ヤングGが猛デモ!若手G投がシート打撃登板で猛アピール。前クールで元横浜の佐々木氏(評論家)からフォークを伝授された鴨志田は阿部から空振り三振を奪うなど打者6人を無安打。酒井は李承ヨプを含め4連続三振を見せつけた。「三振が取れるというのがいいねぇ」と原監督はご満悦。鴨志田は「もっと力まず壁を作って投げたい」と向上心を忘れなかった。 ★パウエルが初登板パウエルが初めてのシート打撃登板。打者10人に対し直球はMAX138キロ、変化球も制球よく織り交ぜ4安打と合格点の投球を見せた。「競争心をかきたてられるようでいい仕事ができたと思う」とパウエル。中2日となる16日にも登板予定で、尾花投手コーチは「(実戦でも)対戦相手によっては短いローテで投げさせることはありえる」と今季のフル回転を示唆した。 ★豊田の回復順調、16日から一軍へ左ふくらはぎの張りで二軍調整中の豊田が3日連続のブルペン入り。今キャンプ最多の88球を投げ込んだ。ストレートは威力十分。カーブも低めに決まり不安を吹き飛ばした。「まだ怖さはあるけれど、別にケガではないからね」と本人も手応え。投球を見守った原監督は「次のクールから(一軍も)あるでしょう」と16日からの第4クールでの一軍合流を示唆した。 ★斉藤、死球で練習休む斉藤宜之外野手(29)=シート打撃中に右ふくらはぎに死球を受け、午後の練習を休んだ。打撲とみられるが、14日の練習は状態をみて参加を決める。 【巨人軍歴史クイズの答え】第1問 1934年、正力松太郎、大日本東京野球倶楽部
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◆金田氏の名前を間違えた巨人・内海
「最初に名前を間違えた後、頭が真っ白になって…。あとは何言ったのか、全然覚えてないんです…」