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−今日はglobeの話はもちろんなんですけど、まず小室さんが顧問を務めている“HD SOUND”とはどんなものなのか?聞かせていただきたいと思うのですが。

小室哲哉(以下TK):配信、ダウンロードサービスに限らずですね、とにかくハイクオリティな音にこだわる。“表現力が広がる”っていう意味なんですけど。今まではどこかの家電メーカーさんだけがそういうことを研究をしてて、それをミュージシャンやクリエーター、要するにコンテンツを作る側が使うっていう流れだけが全てじゃなくてもいいだろうっていうことと、そろそろ世界基準で使われているCDの音の時代が進んでもいいだろうと思うところもあって。それに向かう研究、プロジェクトですね。もうすでにほとんどのミュージシャンがCDよりも良い音でレコーディングしてる状況を考えると、ハードにしても、配信でも良いんですけどね、ユーザーにとっても次の時代が来ても良いのかなと。なので、まずは聴感上、「CDより良いね」って言ってもらえるものを研究していこうと。特に携帯電話とかでは、まだそんなに音が良いと思えるものがないでしょうけど、“HD SOUND”みたいな研究が進んでいけば、どんどん良くなっていくことは間違いないですからね。なので、そんなかしこまったものじゃなくて、今の時代にあった音質を求めていこう、そういったものですね。

−ちなみに携帯電話の“着うた”などで、CD以上の高いクオリティの音質で音楽が楽しめる時代っていうのは、あとどれぐらいで来るものなんですか?

TK:今のCDぐらいの音質より高いクオリティのものが聴けるようになるのは、もうそんなに時間は掛からないと思いますね。早い時期に簡単に来ると思いますね。一年以内には確実になるんじゃないですかね。携帯電話でなければ、それぐらいのものは結構な数出てきているんでね。ただ携帯電話も含めて全部CD以上のものに入れ替わるには、まだ多少掛かるでしょうけど、基本的にはそれすらも2年も掛からないでしょうね。2006年いっぱいで、ほぼすべての人が今のCDより良い音で音楽を聴いているんじゃないですかね。

−結構前から小室さんの中で、今のCDのフォーマットは古いという感覚はあったんですか?

TK:ありましたね、ずっと。「結構新しい事やります」的なことで賑やかしを作ってきたことが多かったんでね。新しいものが生まれてその後ろをついていく得する売り方っていうのはやったことがないから(笑)。ただ新しい事をやるっていうのは、結構ハズレもあるわけですよ(笑)。新しいだけで一般的に広がなかったり。でも今回のことに関しては、本当に「次のステップに行く時期だろ」っていうのが「間違いないな」っていうところまで来てるんですよね。なので、“先端”とかは言われてるものの、わりと早くあたりまえになっちゃうんじゃないかな。各キャリアさんの足並みも揃ってきてるんでね。

−昔から小室さんはソフトウェアに限らず、ハードウェアの開発だったり、商品化にずっと携わってきましたけど、そこまで突っ込んでいってしまうのは、基本的には「好きだから」っていう理由が一番大きいんですかね?

TK:そうね。あとはそういった専門的なことにある程度首を突っ込んでおかないと、逆に突っ込まれた時にあんまり上辺だけだと返せないじゃないですか。偉そうに言えないっていうか(笑)。なので、そこは突っ込んでおいたほうが後で楽なんだよね。もちろん上手くいったときのみ有効なんだけど、そういう時に活きてくる。ちょっと外れちゃうと全然分からない事もあるんだけどね、芸能的なこととかは僕は全然分からないことだらけだから(笑)。

−今回の“HD SOUND”の研究は、曲を作ること以上にエキサイティングできるものだったりしますか?

TK:うん、曲を作ること以上ですね。ベーシックっていうか、それの下地の部分だったりするんで、食材というか。曲とか作る以前のところで、「え?こんなの使っていいんですか?」みたいなね。楽器とかと似てるんじゃないですか?良い楽器からインスパイアされて良い曲が書けたりするのと。とは言っても、“HD SOUND”は特殊ですけどね。

−色んな音楽に関する機材などは進化していってるとは思うんですけど、それでも「もうちょっとここ何とかならないのか?」的なことって曲を作っていく中で多々あったりしますか?

TK:すごくある。特にコンピューター系はありますよね。唯一、12年前ぐらいに初めてハードディスクレコーディングをやったことがあるんだけど、それだけは今普通にダウンロードして聴く曲の音質と似てるんだよね。すでに似てた。それがシンクラビアなんだけど、唯一テクノロジー系ではすごく怪物的な楽器だったんだなと思いますね。今思えば。それを使ってた時期も長かったしね。

 学生時代の僕のヒーローはアイルトン・セナともう一人、小室哲哉だった。とてもストイックでナンバーワン、生活感もあまりない。まさに憧れの存在。多分生涯会う事のない存在だと思うのがあたりまえだった。しかし実現してしまったこの度の“小室哲哉 SPECIAL INTERVIEW”。インタビューの内容は、CD以上にハイクオクリティな音質であたりまえのように誰もが音楽を聴ける世の中になるための研究、プロジェクト“HD SOUND”についてがひとつ。あとは、globeの昨年末のフルデジタルコンサートツアー、もちろんニューシングル『Here I Am』、ニューアルバム『globe2 pop/rock』についても。そしてそのglobeの新作をキッカケに始まる小室哲哉の次なる展開。他にもTM NETWORKとglobeの比較などなど、個人的に聞きたいこともたくさん聴いてきた(笑)。で、思ったこと。やっぱり小室哲哉は僕の想像を超えていた。変わらずヒーローで在り続けていた。

対談

小室哲哉
×
Tetsuo Hiraga


NEW ALBUM
「globe2 pop/rock」

01.Love goes on!!
02.EXPECTATION
03.Back 2 Be
04.Here I am
05.LOST
06.Asian Night
07.goodBye NOW
08.feel like the wind
09.Judgement
10.SHIFT
11.see the next page

AVCG-70062
¥3,059(tax in)

2005.8.10 in STORES

globe オフィシャルサイト>
http://www.avexnet.or.jp/globe/

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こちらまで

globe



−レコーディングにシンクラビアを使わなくなったのは、いつ頃だったりしたんですか?

TK:trfの初期とかかな?具体的に例を挙げるなら、篠原涼子さんの『恋しさと せつなさと 心強さと』とかは全部シンクラビアで作っていたんだけど、ただ海外からどんどん送られてくるその頃のサウンドは、逆にアナログのすごい音を売りにしていたというか、機械の音ではあるんだけど。すごく音圧があったりしてね、僕が作ってる音はすごくちゃっちく感じたんだよね、デジタルっぽく聴こえすぎて。ある種、テクノポップっていうところへ更に戻れば格好良かったのかもしれないけど(笑)。ただあの頃はアナログ的なところに戻りたくなって。一番前に戻るわけではなくて、その時代のアナログの使い方がしたくなったんですよね。


−今の話と昨年末のglobeのツアーでやったフルデジタルコンサートって繋がっていきますよね?もはやデジタルには聴こえないデジタルだったというか。

TK:前回のツアーの音だったら損したとは思わないレベルだったと思いますね。

−フルデジタルでもそこに居合わせた人の心を揺らしたりとか、打ったりする、そういったものへのチャレンジだったりもしたんですか?

TK:そうだね。単にglobeの10周年を思い出として振り返る内容にはしたくなかっし、そういう感想もあんまり聴かなかったね。それよりは「音が良かった」って言ってくれる人が多くて、お客さんも前に進んでいってるっていうか、昔に回帰するだけではなかったっていう。長くやってる人ってそこだけになっちゃったりするじゃないですか?新しい事はやってるんだけど、懐かしまれるほうが大きいというか。そういうのを経験したり、味わっちゃったりすると、なかなかそこから抜け出せないんだよね。なので、そう考えると、ギリギリglobeはセーフだったなって。ベストアルバム的な選曲だったんだけど、懐かしまれるほうが大きくはなかった。

−実際にフルデジタルのコンサートのステージに立っているのってどんな気分だったりするんですか?

TK:僕は最高なんだけど、スタジオでレコーディングしている時の音で演奏が楽しめてるっていうね。スタジオ好きな人はたまんないと思うね。

−ただあの時期はそのフルデジタルと相反してフルアナログのライブをブリッツで行いましたよね。

TK:たまたまツアーとは別に引き合いがあったライブだったので、「ツアーと全く同じことをしても」と思って、昔から知ってる腕のある人たちを集めてやったんだけど、ちょっと遊ぶつもりでやれたライブでしたね。ミュージシャン対ミュージシャンですね。良い感じでバンドもファンも盛り上がってくれて。予定外の事とかをミュージシャンがやってくれたりもしたんでね、面白かったです。

−ちなみに先程から“globe10周年”という言葉が出ていますが、TM NETWORKをよく知っている僕からすると、小室さんがTM以外に10年間も別のユニットをやるとは思ってもいませんでした(笑)。そんなglobeの10年は小室さんにとってどんな10年だったと言えますか?

TK:すごく濃い10年だよね。TM NETWORKの場合も最初の10年は突っ走る感じだったけど、あとはのんびりやれてる状況だったりもするし。globeはどっちかって言うと、僕の渦にKEIKOとMARKが巻き込まれながら(笑)10年間ぐるんぐるん回ってきたっていうのはある。KEIKOとMARKはその渦を何とか泳ぎ切ったというか(笑)。そういう感じはあるかな?あと、どこの線から話してももうエピソードがあまりにも多すぎて話し切れないよね。濃すぎて、どうやって薄めるんだ?っていう(笑)。まぁ薄くは出来ないんだけどね、また今までとは違う音楽の変化がglobeにはあるんで、これからも2人には「渦に巻き込まれてもらおうかな」と思ってます。

−TM NETWORKは3人一緒にデビューして、色んなバランスとかを考えながら成り立っているものだと思うんですけど、globeの場合は明らかに小室さんだけが異様に経験地が高くて、そこで二人がどう成長していくのかが肝になっていたように思うんですね。その2人の“成長”の過程を見ていくのは楽しいところだったりしましたか?

TK:課題とか色々与えていったりして、基本的に2人にとっては“先生”から入ってるからね。そこで2人は影でプレッシャーを感じながらも努力して。みんな「せーの」で始まったわけじゃないからね、全部僕の目線から見られちゃうから大変だったとは思いますね。その分、最近はほぼ一緒の目線で話せるようになって。僕の目から見ると相当頑張ってるなって思いますね。この10年で相当な色んなことを覚えて、もうプロフェッショナルと呼べるところまで確実に来ていて、それでもまだまだ向上心はあるし、「本当に音楽好きなんだな」って。




−あと、TM NETWORKを20年、globeを10年、ふたつのユニットをこれだけ長くやれてる人って他にいないと思うんですけど、これってすごいことですよね?

TK:あんまり考えた事なかったなぁ(笑)。まぁ今回globeの活動を本格的に再始動してて、ここでまた何か面白い事、大きい事が出来れば、「ずっと前線にいれるな」っていう感じになるだろうね。だから今回のここからの1年っていうのが、「結構すごいな」って(笑)自分のことを思えるか思えないかの瀬戸際だとは思う。ただここまでやれたことに関して言えば、元々野郎の友達同士だったってところから始まったもの(TM NETWORK)と、売るべくして作られたユニットっていうところから始まったもの(globe)なので、両方同じようなものだったら無理だったと思う。両方とも男性ボーカルだったりとか、女性ボーカルだったりとかね。両極端なところから始まったものふたつなので、やれたんだろうね。

−そして、これからの動きについてなんですが、globeの新曲『Here I Am』が先日リリースされました。これを聴かせてもらって、いわゆる“歌モノ”であったことにまず驚きました。昨今はglobe=トランスというイメージが強く付いていたので。

TK:『Here I Am』に関しては、「ちょっとフォークっぽいことをやりたい」ってところから始まって作った曲なんだけど、それがたまたまアニメ『ブラックジャック』サイドの方が気に入ってくれて、タイアップがついて、「じゃあシングルで」という流れで。で、そのシングルにも入っている『New Album Playlist』も聴くと、やっぱり“歌モノ”という印象、「ポップスだな」というを与えると思うんだけど、今回はすべて歌とか詞とかもそうだし、一曲ごとの時間を4分ぐらいにしたり、従来のポップスやヒット曲の形を再確認しながら作っていった感じですね。

−少し前に『僕らの音楽』でインタビューを受けているのを拝見したんですが、その中で小室さんが「本当に良い曲、残る曲っていうのは何かひとつ欠けてもズレてもダメなんだ」的なことを言っていたのが印象に残っているんですけど、そういう意識が今回のglobeの曲たちに反映されてるんですかね?

TK:そうだね。テクノサウンドだったり、トランスだったりをやっていくのはマイナス要素も結構あって。クラブだったり、野外のイベントだったり、そういうところで延々と続いて流れる音楽としてはフルに活きると思うんだけど、「なんだかんだ言ってもみんな普通に生活あるよな」って考えると、だからJ-POPって存在するんだと思うし。本当にそこってヒット曲を作らなきゃいけない人の原点だったりすると思ったんだよね。なので、もう一回そこへ。だから今回はトランシーな要素はほぼ無いかなって。globe=トランスと思ってくれてる人には、それはそれで別にリミックスを出して聴いてもらったりしたいとは思ってて、でもセンターに位置するのはポップ、ロックかなって思うので、そこをしっかりやりつつ色んなことをやれればなと。そこが一時期逆さになっちゃったから、ちょっと主役を元に戻した感じだよね。

−主役を元に戻したいと思った要因は?

TK:一言で言えば“遊び”、そういった音楽ばかりやってるとあんまり偉そうな事言えなくなっちゃうんだよね(笑)。しっかりと分かりやすい、それは簡単という事じゃなくて、緻密に分かりやすい曲を作っていかないと、「もっと新しい事トライしたい!」と思ったときに出来なくなっちゃうというか、「また変わったことやってんの?」って思われちゃうからね(笑)。「次、これ来てんだよね」って言っても、そこで疑われ始めちゃうと自由が利かなくなるので、軸足っていうのかな、そこを固めないとね。

−またその軸足を強化するためにはglobe以外でもそういう曲を作っていこうと思っていたりはするんですか?

TK:globeのブランディングを活かしつつ、フィーチャリングで誰かを迎え入れたり、そういうプランはある。なので、多分誰かをプロデュースするっていうことはないと思う。楽曲の提供とかね、そういうのはあるかもしれないけど。

−TM NETWORKはどうですか?それをやる場として。

TK:TMは良い意味で自然と年齢を重ねている姿を現す場としてはすごく良いと思う。あんまり変に新しい事をやるんじゃなくてね、やっと落ち着ける場になってきてるし、のんびりやれるところになっていけそうなので、TMはTMでまたglobeとは全く違った場所にしたいですね。

−なるほど。

TK:globeはポップスなんだけど常に何かしらの新しい試みがあって、TMは、この前のツアーでは「同窓会的なことじゃなくやりたいな」って言ってたんだけど、今度は「同窓会的なものでも良いのかな」って。みんなで色々思い出して、懐かしい話で盛り上がる感じにしたいですね。

−分かりました。それでは『Here I Am』の話に少し戻したいと思うのですが、この『Here I Am』、歌詞がすごく映像的になっているのが惹かれる部分だったんですけど、こういう詞が書けた背景にはどんなものが?

TK:えっとね、去年は結構KEIKOの実家のほうに、大分のほうに帰ってて、わりと自然に触れる機会が多かったんだよね。ある種、外国なんだよね。まぁ向こうからすればこっちも外国なのかもしれないんだけど、それぐらいすべてが違うんだよね、空気から食べるものから時間のペースまで。朝になったら起きる、ある程度暗くなったら寝るっていうライフスタイルがそこでは出来て、どれぐらいぶりか分からないけどお散歩とかも行けるわけよ。『僕らの音楽』見てくれてたら分かると思うけど、誰かに会っても普通に「こんにちは」って感じで。あとはアメリカにいるときも海の近くに住んでるんだけど、やっぱり大分でも海の近くにいると、あぁいう『Here I Am』みたいな詞が書けたりするんだよね。水が恋しいみたい(笑)。

−そこでのテイストが『Here I Am』の詞のみならず、ニューアルバム『globe2 pop/rock』全体的に繋がってるんでしょうね。

TK:そうだねぇ。曲もギターでフォーク的に作ったりして。そうやって大分で暮らしたりしながら一年ぐらいアルバムに掛ける時間があったのも大きいし。今までそんなに時間があったことないからね、そういったのんびり作った感じの現れでもあるかもしれない。

−そういった作り方が出来たのは今回初?

TK:今回か、ひょっとするとTM NETWORKのデビューアルバム。

−『RAINBOW RAINBOW』!?

TK:うん。アルバム的には僕の人生で2枚だね、こんなに余裕を持って作れたのは(笑)。

−それだけ突っ走ってきたってことですよね。

TK:そう、それだけ止まれなかったんだろうね。

−あと、今回のMARC PANTHERのリリックにはどんな感想を?

TK:やっぱりね、流行があって、J-RAPっていうものがある程度ひとつの形になってきて。昔は「聴くのも恥ずかしいなぁ」っていうのがあったのが、だんだん進化してきて気持ち良いものになってきてる。そんな中でMARCは相当早くからやらされてきて、彼も考えたんじゃないかな。「俺はどうすればいいんだ?」って。それで全体的に楽しめるラップが多いかな。『Here I Am』に関しては、わりと今までの流れを汲んだ感じだけど、良いフックになってますよね。色々と研究してると思いますよ、日本におけるラッパーの位置を。

−KEIKOさんのボーカルに関してはどうでしょう?

TK:「私はこんなに歌が上手いの!」っていう感じは逆に出さないようにして、「歌をうたいたい」と思い始めた頃のピュアな気持ちというか、シンプルさかな?そういうところを大切に歌ってるかな。決して下手ではなく、といって上手いところを見せびらかすような歌唱法でもなく、しっかりと伝えるものを伝える感じになってますね。これがまたこれからのglobeのボーカルの基準になるので、初期設定というか、そういうところを意識して歌ってます。『Feel Like dance』とか、『DEPARTURES』でもいいんだけど、あの頃の歌い方を今色んな理論を知った上でトライする感じだね。今後もそこらへんは楽しみだね。KEIKOはシンガーに徹してる感があるから。

−あと、今作のトラックメイクをする上で“戻るんだけど、新しい”っていうところはすごく考えました?

TK:そこは深く考えはしなかった。時代背景としてダウンロードミュージックっていう大きなうねりがあるので、いくら同じ事をやっても新しく見えてくるっていうか、そこはある意味楽なんだよね。これが未だにCDだけだったら結構難しかったと思う。上手く戻れないと思うんだけど、その時期を待ってたから。

(ここでスタッフからタイムリミットのお知らせが・・・)

−分かりました。では、あとふたつだけ質問させていただきたいんですが、以前globeのライブで初めてお会いした時に、僕が「『金曜日のライオン』から聴いてました」と言ったら小室さんが「あの頃からやってることは変わらない」っておっしゃったのが印象に残ってるんですね。あの言葉にはどんな意味が含まれていたんでしょうか?

TK:それは、僕は影響を受けている音楽が雑食なのでたくさんあって、ライブラリー化してるんだけど、それを使って自分なりに料理するんだよね。それで、多分パッと『金曜日のライオン』というキーワードが出てきた時に「あの曲はあそこからあの部分のテイストが良いなと思って作った曲だな」とか、そういうのを思い出して。で、今に立ち返ったときに「あの頃からやってることは変わってないな」って思ったんだよね。発想、作り方は変わらない。誰かの曲の「良いな」と思った部分をNGにする必要はないっていうか。みんなそうだと思うけど、影響を受けたものを良い意味で応用する、そこは大事かなって。


−では、最後に。小室哲哉は今後どういった音楽活動をやっていくと思いますか?

TK:例えば、エイベックスも良き時代の良いインディーズだったわけだけど、今のような大きな影響力を持った存在になってて、なんか自分もそういう存在に「もう一回なれるかな」っていう気がするね。全部予定通りいけば(笑)。でも多少そういう風になりたいなとは思ってる。半年ぐらいはかかるかな?それぐらい温かい目で見ててもらえるといいかな。

Interviewer:平賀哲雄