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<第39回> FW 阿部 吉朗

『途中出場って難しい…でも自分の中でつかめてきた』

今季左サイド起用の多かった阿部、来季は先発FW定着を狙う

 FC東京にとっては、ナビスコ杯制覇に続く2冠がかかる天皇杯。天皇杯では、今年も含めて4年連続で通算9ゴールを奪取し、抜群の相性の良さを発揮しているのが、プロ2年目のFW阿部吉朗(24)だ。今季は、途中出場で試合の流れを変える“スーパーサブ”として、難しい役割をこなしてきた阿部に、自らのプレーぶりなどについて聞いた。 (聞き手・高橋正和)

■左サイド

 −大宮戦(12日)も好アシストをみせたが

 「自分の中では、いい感じで簡単にボールをさばけて、前でためをつくったり、積極的にゴールに向かって行けた。すごく良かったと思う。最後は、今年で退団するケリーにアシストできたのが何よりうれしかった。自分で決めるのもうれしいけど、また違ったうれしさがある」

 −ケリーとは

 「ケリーはいい選手だし、明るくて、仲がいい。僕は日本人、ブラジル人も関係なく、普通に話ができますね。まあ、お互いに言葉が全部分かっているわけではないけど、あとは僕の人間性で(笑)。コミュニケーションはうまく取っているし、いなくなるのが寂しかった。僕のアシストじゃなくても良かったけど、最後にケリーがゴールを決めて良かった」

 −天皇杯に強い要因は

 「走る選手は、夏はきついですよね。大学でも冬の試合が多かったこともあるし、冬はいくら動いても疲れないから、僕は好きなんですよ。後は、これで今年の最後だから、やけに気合が入る。例えば、悪いプレーで終わると、悔しいまま、気分の悪いままで、1カ月の休みに入ってしまう。去年の天皇杯は(最後の神戸戦で)2点取ってうれしかったけど、最後にPKを外して負けてしまった。それを考えると本当に複雑だった。リフレッシュしたり、気持ちを切り替えようと思っても、やっぱりいいプレーした時とは全然違いますね。気分良く、休みを取ろうと、モチベーションが高いんですよ」

 −本来のFWではなく、中盤の左サイドで起用されているが

 「サイドでボールを持った時、ペナルティーエリア内でドリブルを仕掛けたら、最後はシュートかセンタリングで終われる形はできたかなと思う。逆サイドからのセンタリングに対し、ゴール前に飛び込んでいくことも。去年は左でやる時は、ボールの持ち方とか考えずに、ただ目の前の相手を抜くことしか考えてなかった。今は左サイドでボールを持ったら、ボールの持ち方ひとつで、DFのポジションが変わることも分かってきた。そのタイミングさえ外せば、最後は抜き去らなくてもセンタリングを上げられる。少し自信になったし、変わったんじゃないかなと思う」

■スーパーサブ

 −スーパーサブの役割に関しては

 「途中出場って難しいんですよね。チームの流れがすごくいい時に入るのは難しい。流れが悪い時も、どうやって変えればいいんだろうとか。でも、何回か重ねていくうちに、自分の中ではつかめてきた。とにかく僕が入っていったら、勝負をする、攻めるんだって分からないと意味がない。攻撃するぞっていう意思を見せたら、みんなも前へ、前へって変わっていくと思うし」

 −第1Sでは、ゴール数が少なかったが

 「第1Sは、1点差で勝っている時に出ることが多かった。点を取りにいくより、守りを固めて前からボールを追いかける。ボールを取ったら、変な形で取られないようにサイドに流れてキープする。僕は点を取りたいし、攻めたいけど、チームのために走って、前からのディフェンスをしなくちゃいけない。なかなか難しかったですね。第2Sの方は、逆にリードしている試合で起用されることが少なくて、見せ場も多かったと思いますけど」

 −先発へのこだわりは

 「ありますね。僕はまだ24歳で体力もあるし、いつも途中からの何分間だけというのは…。でも後半から入って流れを変える部分や、左サイドで勝負する部分では成長できたと思う。サイドをやっていることも、FWにどう動いてほしいかという点で、今度はFWをやる時に生きてくる。絶対にプラスになると思っています」

(2004年12月17日)


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