奈良誘拐殺人 遺体に女児でない毛
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楓ちゃんの葬儀で出棺を見送る参列者(代表撮影)(共同)
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奈良市の小学1年有山楓ちゃん(7)が下校途中に誘拐され、殺害された事件で、遺体などに楓ちゃんのものではない頭髪などの毛が付着していたことが20日、奈良西署捜査本部の調べで分かった。毛は最後に接触した犯人が残した疑いが強く、捜査本部は血液型やDNAの鑑定を急いでいる。また、遺体の肺にたまっていた水は泥などを含まないきれいな水だったことも分かった。
犯人のものとみられる毛は、遺体のほか、トレーナーやスカートなどの衣服にも残っていた。
遺体は手足に擦り傷があり、顔にも小さな傷があったが、犯人を引っかくなどした際に残るつめの間の皮膚片などは見当たらなかった。
母親(28)の携帯に送付された楓ちゃんの写真は、一緒に写っているものなどから室内で撮影されたとみられることや、遺体の肺にたまっていた水が泥などを含まないきれいな水だったことなども明らかになった。
このため捜査本部は、犯人は大声を上げさせないために、水道の水を張った浴槽などに背後から後頭部を押さえて水につけ、短時間で水死させた疑いがあるとみている。
楓ちゃんは17日午後1時ごろに下校し、同1時40分ごろ、携帯にかかった電話に出たのを最後に消息不明となった。同7時50分ごろ、楓ちゃんの携帯から母親の携帯に“ワン切り”のような発信があり、同8時すぎに写真付きのメールが送り付けられた。
死亡推定時刻は午後4時から10時の間とされるが、目を閉じた写真だったことなどから、捜査本部は、死亡後に撮影され、殺害時間は同8時より前とみている。
遺体は奈良県平群町の道路脇の側溝で見つかった。死因は水死。側溝に水はなく、髪はぬれていたが、服はぬれていなかった。
犯人像は依然不明。楓ちゃんの携帯電話から送り付けた写真付きのメールが最大の謎で「犯行を誇示するため」「家族に恨みを持っていたのではないか」との推測が出ている。
犯人像について、元警視庁捜査1課長の田宮栄一氏は「苦しめて殺すという快楽殺人の可能性が高い。状況が分かるにつれ、劇画のシナリオをまねているような印象さえ受ける」と話している。
≪350人が最後の別れ≫楓ちゃんの葬儀が正午から、奈良市の自宅近くの葬祭場で約350人が参列して営まれた。
最後のお別れに喪服姿の参列者が昼前から次々と会場へ入った。楓ちゃんへの手紙を握り締めた女児の姿も。
祭壇に掲げられた笑顔の遺影の前で、父親は「いつも明るい笑顔の子だったので、私たちも笑顔で送り出したい」と涙をこらえながらあいさつ。同級生たちが「一緒に隠れんぼや鬼ごっこをしたけど、もうできなくなっちゃったね」「あの時は楽しかったね。また遊びたかったね」などと別れを告げた。
楓ちゃんの父親と友人という大阪府八尾市の男性(30)は「初めての子だったので、生まれた時両親がとてもうれしそうにしていたのを覚えている。ずっとお父さん、お母さんの心の中にいてあげて」と沈痛な表情。
同級生の母親は「子を持つ同じ親としてたまりません」と話したきり押し黙った。
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