■ 元祖は広島カープ 数では阪神に軍配 課題はリサイクル ■ |
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■ 紙テープの代用 ■
「ジェット風船の本家本元は、やっぱり阪神」。そう思い込み、インターネットで調べていると、意外な記述を発見。
「ジェット風船を最初に飛ばしたのは、甲子園球場のカープファン」 早速、近畿カープ後援会事務局の実谷美恵子さん(45)に尋ねると、「ええ、そうですよ」とあっさり。実谷さんによると、一九八三年ごろ、甲子園球場で、応援用の紙テープや紙吹雪が「試合進行の妨げになる」と禁止に。代用品として白羽の矢がたったのが、カープ応援団の一人が偶然、街中のおもちゃ問屋で見つけたジェット風船だった。 「当時は、三塁側の内野席が応援団の定位置。五回表のカープの攻撃前に上げていたんです」。わずか十五人足らずで上げていたジェット風船は、徐々に宿敵阪神ファンにも広がったという。 ■ 6球団が飛ばす ■
現在、プロ野球十二球団のうち、ファンがジェット風船を飛ばすのは、阪神、ダイエー、広島、西武、近鉄、ロッテの計六球団。中でも、虎ファンが甲子園球場(五万三千人収容)で一試合に飛ばす風船の量はダントツで「五万個は下らない」(阪神球団)という。
一方、ダイエーも、福岡ドーム(四万八千人収容)で一試合平均二万―三万個。四千―一万個の他球団を大きく引き離し二位。ジェット風船は四個入り二百円で販売されているから、一瞬にして百五十万円が宙を舞っていることになる。しかも、七回裏の赤や青の風船とは別に、ホークスが勝つと、試合終了後、白星専用の白いジェット風船を飛ばすのは鷹ファンだけ。福岡ドーム店舗・施設部の伊藤和也さん(29)は「量ではかなわなくても、風船に吹き込む気合は負けていません」。早くも日本シリーズでのジェット風船対決に注目が集まる。 ■ 3ドームは禁止 ■
札幌ドーム、東京ドーム、ナゴヤドーム。いずれも、「天井に風船が引っかかる」などの理由で、ジェット風船を禁止している。では、なぜ福岡ドームでは、OKなのか。その秘密は風船の材質と形にある。
ホークスが九三年、本拠地を平和台球場から福岡ドームに移すとき、福岡ドームの担当者が、メーカーに風船の改良を依頼。従来のこぶが一つできる「ツクシ型」風船は、硬めのゴムを使っていて、収縮力が強かったため、天井に届いてしまう恐れがあった。改良品は、柔らかいゴムを採用して推進力を抑え、滞空時間を長くするため、こぶが二つできる「二段型」に変更。風船が飛ぶ高さは、十数メートルから六、七メートルまで落ちたという。 今後の課題は、可燃ごみとして処理されている使用済みジェット風船の再資源化。伊藤さんは「環境の時代でもあり、リサイクルの方法を探りたい」と前向きだ。 いつも何げなく飛ばしているジェット風船。そこには、野球を愛する人たちの歴史、情熱、知恵が凝縮されている。 |
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