DRAGONS TOPICS 【2002年5月16日(木)】

 5月16日(木)
ブレット連発
竜4発5連勝初貯金
 恐竜でおなじみの福井で、新強竜が眠りから覚めた。中日はスコット・ブレット外野手(33)が15日の広島戦(福井)で来日1、2号連発。不振を極めた新外国人選手がついに爆発だ。フレッシュな力が結集しての5連勝、待望の貯金「1」。

1回裏無死一塁、ブレットはライト場外へ先制の1号2ランを放つ=福井県営球場で(谷澤昇司撮影)

山田監督最敬礼

 お見それしました。5連勝で貯金生活へいざなうブレットの2連発に、山田監督も最敬礼だ。

 「すごかったなぁ。気持ちよく仕事をしてくれた。戦力になるのは間違いない」

 握手を求め、背中をたたいて祝福した。評価の大激変。一発攻勢を演出した“遅咲きの男”の相好が崩れる。2軍戦で1本塁打だけだったのは、出し惜しみをしていたのではと思わせる豪打。それも連発だ。

 “弾丸男”の標的となったのは苫米地だった。

 1回。井端が中前安打で出塁すると、初球をためらわずに振った。右翼席場外へ。打った瞬間に両手を広げていた。

 「高めの球を待っていたところにスライダーが入ってきたので、思い切り振ったよ」

 これで蓄積していた苦悩が吹っ飛んだ。来日初本塁打で2点の先取点をたたき出すと、今度は3回だ。1死無走者。変身の証は選球眼に見られる。ボールになる変化球にバットを止めて、最後は甘い変化球をとらえた。

 中堅バックスクリーンへ飛び込む2号ソロ。本塁を踏む際、軽やかなステップを踏んで笑顔をはじけさせた。

球大きく見える

 「打った球はよく分からなかったが、たぶんチェンジアップ。リラックスして打席に入れるし、球が大きく見える。完ぺきなスイングができている!」

 打撃開眼? 球が巨大化すれば打てないわけがない。上体が突っ込まないよう、打撃の大改造に着手した佐々木打撃コーチが笑いながら言う。

 「当たれば飛ぶわな」

 開幕から1カ月は非戦力。2軍戦ですら打率は2割未満だった。山田監督は当初、同情心から1軍昇格を決意した。「2軍では話し相手もいない。かわいそう。海を渡ってきた人には敬意を表さなきゃ」。出場直訴に応え、初のスタメン起用。「聞く耳を持ってやっている」と2番に組み入れた。

 どれどれ。淡い期待感を持って開けたら、アッと驚くビックリ箱。破壊力抜群の大砲が飛び出してきた。

 (吉川学)



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