人の胃袋は1つですが、クジラ(イルカ)には4つもあります。なぜこんなに胃が必要なのでしょうか。その役目を紹介しましょう。
1番目は前胃といいます。ここでは餌をたくわえ、適当な大きさまで砕く働きをしますが、ここでは消化液の分泌はありません。2番目は主胃といいます。ここの胃壁はひだ状で伸縮に富み、大量の餌を蓄えます。またペプシンやリーパーゼなどの消化酵素を含んだ液を出し、タンパク質や脂肪を分解します。3番目と4番目の胃壁の表面は滑らかで、わずかに細かいひだがあります。ここには、ゆう門腺と呼ばれる消化液を出す器管があり、第二胃と同じ消化酵素を分泌します。
クジラの仲間は、歯鯨とヒゲ鯨に分けることができます。歯クジラは魚を食べるため第一胃が大きく、プランクトンを食べるヒゲ鯨は、柔らかいエサを食べるので、大きな第二胃を持っています。
イルカ飼育のトラブルの一つに、ゴミ等の飲み込み事故があります。異物は胃まで達ししかも消化されないため、取り出すのが一苦労です。口から胃までは約1mもあり、人の手を突っ込んでも届きません。そこで活躍するのが、医療用大腸スコープです。ホース状のスコープを口から入れて探りますが、複雑な横造もあって簡単には見付からず、また取り出すのも容易ではありません。イルカの健康のため、プールにゴミなどが落ちないよう、細心の注意が必要です。
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