20世紀のラストを飾るNHK「第51回紅白歌合戦」(後7・20〜11・45)が12月31日夜、東京・渋谷のNHKホールで行われた。急性胃腸炎で緊急入院し、29、30日のリハーサルを休んだ「野猿」の石橋貴明(39)もぶっつけ本番に臨み、各メンバーが審査員席の巨人・長嶋茂雄監督、マラソンの高橋尚子、柔道の田村亮子両選手に扮したモノマネパフォーマンスを展開。全国の爆笑を呼んだ。トリの天童よしみ(45)五木ひろし(52)まで、全56組の出演陣が熱唱を聴かせ、20世紀最後の「歌の祭典」を締めくくった。紅白対決では紅組が勝ち、通算成績を26勝25敗とした。
入院先から強行出演した石橋。病床で考えた演出は、紅白最大の目玉となったミスター長嶋監督と2人の金メダリスト、高橋、田村両選手のモノマネ。苦しい表情は一切見せず、爆笑パフォーマンスで会場を沸かせた。
石橋、木梨憲武らフロントのメンバー4人は「背番号3」のユニホーム、青ひげにメークをしてミスターに扮し、6人がシドニー五輪での高橋選手のユニホーム、残りの1人が青い柔道着のYAWARAちゃん。石橋は歌の合間に「○○ですねェ」と長嶋監督のモノマネまで織り込み、これには審査員席のミスターや高橋、田村両選手も大笑い。最後は「サード・長嶋」の往年のスローイングポーズで決め、長嶋監督も「ホントに素敵でした」と笑顔で大絶賛した。
入院中の石橋は、自宅に寄ってから本番直前の午後6時半すぎにNHK入り。この3日間で食事は1度しかとっておらず、顔色は青白い。質問にも息を切らしながら「何とか…やります」と一言。「熱?今はないけど、おなかは…。きょうは、終わったら真っすぐ家に帰ります」 と話し、いつもの明るさは全くなし。メンバーには「心配かけてごめん」と頭も下げた。
リハーサルをすべて病欠した男が本番で見せた“逆転満塁ホームラン”。終演後、NHKスタッフに盛大な拍手で迎えられた石橋は「ハア、ハア」と苦しそうに息をしながらも「最初バラバラで大丈夫かなあって思ったよ。でもYAWARAちゃんも口ずさんでくれたね。アッハッハ」と、大ウケだった反応に満足そうにニンマリ。病気で苦しみながらも“燃えた男”が初めてみせた笑顔だった。