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よみがえる“不死鳥”

美空ひばりさん、10年ぶり新曲

 故美空ひばりさんの新曲が、一九八九年の大ヒット曲「川の流れのように」以来、十年ぶりのシングルCDとして二十日に発売される。新曲は八〇年に上演された舞台「元禄港歌」の劇中歌としてレコーディングされた「流れ人」。同舞台が三月に東京、四月に大阪で再演されることやファンからのリクエストで十九年ぶりにCDとしてよみがえることになった。

 東京・帝国劇場で初演された「元禄港歌」(蜷川幸雄演出)は男と女のはかない恋を描いた作品。当時は、平幹二朗(65)、故太地喜和子さんのコンビで好評を呼んだ。

 この舞台で劇中歌として流れたのが「流れ人」。舞台製作側のたっての希望で、ひばりさんは快く引き受け、劇場で流すテープ用にレコーディングに臨んだ。千五百曲以上の作品を残したひばりさんだが、舞台の劇中歌を歌ったのは、これが最初で最後になったという。

 今回のCD化は、同舞台が平と富司純子(53)の主演で三月に東京・明治座、四月に大阪・近鉄劇場で再演が決まったことや、昨年十二月の名古屋・御園座公演でファンからCD化を望む声が多かったのがきっかけになった。

 昨年十二月、御園座での公演準備中に、八〇年当時に録音されたテープが、日本コロムビアで見つかった。二十年近く前に録音された作品だけに心配されたが、音質が良く、CDとして発売することを決めた。

 「流れ人」は、ひばりさんが四十三歳のときの歌唱作品。ゆったりとしたメロディーの中で、円熟味も加わった安定感のあるひばり節を披露している。B面は同時録音された「元禄港歌」が収録される。

 ひばりさんの遺作となった「川の流れのように」は現在も売れ続けていて、総セールス数は百六十万枚以上にのぼるという。没後十年、人気の衰えない国民的歌手の“新曲”発表は、大きな話題を呼びそうだ。

 同社では「歌手美空ひばりは生きている、という思いを込めての発売です。ぜひ多くの方に聴いていただきたい」と話し、大ヒットにも期待大。亡くなってまる十年の今年は、五月に「第62回生誕祭」が東京で行われるほか、主演映画の上映会などのさまざまな追悼イベントが予定されている。

【写真】故美空ひばりさんの新曲「流れ人」のCDジャケット。写真は1967年当時に撮影されたものだという





1999年2月9日(火) [戻る]

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