●各省庁の実態


○弁明者(内藤隆) それで、この省庁制というのは、公安調査庁によると、さっき言ったとおり、オウム真理教が新たな国家組織の運営を目指して、日本政府に見習った組織を制定しようとしたというふうに位置づけられておって、要するに、国家機構ですね。現存の、今のですよ、今の国家機構を模倣した、見習ったものだというふうに主張されているんですけれども、何か見習ったところはありますか、日本の行政機構の中で。

○弁明者(麻原彰晃) いや、名前だけでしょう。見習ったというよりも、似ているものは。

○弁明者(内藤隆) 何々省。

○弁明者(麻原彰晃) はい。

○弁明者(内藤隆) 例えば、ちょっと後で聞きますから内容はいいですがね、外務省なんてのもあるわけですね。

○弁明者(麻原彰晃) はい。

○弁明者(内藤隆) 法務省というのもありますよね。

○弁明者(麻原彰晃) はい。

○弁明者(内藤隆) 例えば大蔵省というのがありますね。

○弁明者(麻原彰晃) はい。

○弁明者(内藤隆) それは今日本にもあるわけだ、もちろん。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。そういう省庁の名前は似てると思います。

○弁明者(内藤隆) あと大臣、次官ですか。

○弁明者(麻原彰晃) そうですね。大臣、次官も似てると思います。

○弁明者(内藤隆) 規模はちっちゃくても、その実態において、名前じゃなくて、実態において今の国家機構に匹敵するというかな、それは相似形で小さくていいんですよ。何か実態的に似てるところというのはどこかありますか。

○弁明者(麻原彰晃) 全くございません。例えば例を挙げますと、流通監視省というのがございます。これは、要するに、お供物やサマナの服をつくって、そのまま配るところでございます。例えば労働省というのがございます。この労働省は、要するに、修行者に対して修行をちゃんとやるように修行の面倒を見るところでございます。

○弁明者(内藤隆) それはいいです。後で聞きますからね。それは後で聞きますからね。
 対外的に省庁、ある省なり、ある庁の名前を用いて活動をする。例えば今出てこなかったけど、商務省というのをつくったでしょう、商務省ね。

○弁明者(麻原彰晃) はい。

○弁明者(内藤隆) 商務省はもとが部・班制のときに何なのか、ちょっと僕は知らないんだけれども、やってることはコンピューター事業あるいは飲食店営業というふうに位置づけられてますよね。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そのとおりでございます。

○弁明者(内藤隆) となると、商務省なんかは、対外的な信徒さん以外の方とのおつき合いというのはあると思うんだけども、そういう方と例えば商務大臣であるとか、商務次官であるとか、商務省の職員とかいう名称で活動をしておったようなことはあるんですか。

○弁明者(麻原彰晃) いや、全くございません。それは、例えばマハーポーシャ、コンピューター事業ですね。店長ですとか、あるいは飲食店の場合ですと料理の担当の方、料理担当ですとか、そういう形でございまして、対外的に全く使われておりません。

○弁明者(内藤隆) ほかの省庁も一緒ですか。

○弁明者(麻原彰晃) ほかの省庁も同じでございます。

○弁明者(内藤隆) 一緒ですかというのは、対外的に教団外に対してね。

○弁明者(麻原彰晃) 例えば……。

○弁明者(内藤隆) ごめんなさい。ちょっと聞いてちょうだい。教団外に対して規定力を持つとか、教団外に対して影響力を生じさせるために省庁が活動したということは、省庁の名前でね、活動したということはありますかという質問です。

○弁明者(麻原彰晃) 全くございません。

○弁明者(内藤隆) 何か補足して説明することはありますか、それについて。今ちょっと何か先に言おうとしたけれども。

○弁明者(麻原彰晃) いや、例えばその外務省とかがありますけども、こういう方々についてはマスコミ担当でして、マスコミの方々に対しては外報部という名称を恐らく使っていたと思いますし。

○弁明者(内藤隆) はい。じゃ、各省庁の実態について既に二、三説明いただいていますので、それらを省略した上で聞いていきますが、今名前が出ていた外務省という名前のものができた。これはもとは外報部という名称だったようですが、よろしいですか。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。

○弁明者(内藤隆) 外報部と外務省は、役割としてはどう違うんですか。

○弁明者(麻原彰晃) 全く同じでございます。

○弁明者(内藤隆) 何をやっていたところですか。

○弁明者(麻原彰晃) 要するに、マスコミの方々とか有識者の方々とお話をするところでございます。

○弁明者(内藤隆) 広報活動なり、いわゆる渉外活動ということですか。渉外ってわかるかな、意味……。

○弁明者(麻原彰晃) 外と交渉するということでしょうか。

○弁明者(内藤隆) そうそう。

○弁明者(麻原彰晃) 一般の外務省と違いまして、外国との交渉ですとか、そういうことを全くやらなかった省庁でございますので、はい。

○弁明者(内藤隆) 当然その外務省という名前だけ聞きますと、外務省ですよね。外交ですよね。外交関係ですよね。

○弁明者(麻原彰晃) そうです、はい。

○弁明者(内藤隆) そういう任務はなかったわけね。

○弁明者(麻原彰晃) 全くございません。

○弁明者(内藤隆) あとは郵政省というのがありますよね、できましたよね。

○弁明者(麻原彰晃) はい。

○弁明者(内藤隆) これはもとは何で、仕事は何をやっているところなんですか。

○弁明者(麻原彰晃) 郵政省は、これはもとは印刷班でございます。要するに、印刷出版をやっているところでございます。

○弁明者(内藤隆) 郵便事業はやってなかったんですか。

○弁明者(麻原彰晃) いや、もちろんやっておりません。

○弁明者(内藤隆) それは何とか国の中でもいいからさ、教団の中だけでも郵便事業的なものはやってなかったんですか。

○弁明者(麻原彰晃) 全くやっておりません。

○弁明者(内藤隆) あとは、流通監視省というのは、もとは披服班とお供物班。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。

○弁明者(内藤隆) お供物というのは、さっき聞いたけども、大事な位置づけだったわけですね、お供物班というのがあったという以上は。

○弁明者(麻原彰晃) そうです。要するに、弟子の方々の瞑想修行を手助けするような食物をつくらなきゃならないということでですね。

○弁明者(内藤隆) あとね、防衛庁。

○弁明者(麻原彰晃) この防衛庁は、その当時非常に空気をみんな気にしておりまして、要するに、その空気清浄器の水かえ及び、はい、水かえ、メンテナンスですね、を行ったところでありまして、それ以外のことは全くやっておりません。

○弁明者(内藤隆) 空気清浄器、コスモクリーナーというふうに言われているもの……。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。

○弁明者(内藤隆) これの製造なりメンテナンスが主たる業務であるというふうに伺っていいですか。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。

○弁明者(内藤隆) その後、昨年の6月以降、緊急対策本部の組織構成になってから、この防衛庁というのは保全部という名称で、保全部という名称を使用しているそうなんですけれども、そういうことは余りご存じないかな。

○弁明者(麻原彰晃) はい、知らない。

○弁明者(内藤隆) ちょっと済みません。
 防衛庁のことを聞きましたよね。ただ、防衛庁が空気清浄器の製造とメンテナンスだと言われると、あなた方はそれでいいのかもしれないけどね、僕らは言葉だけ読むと理解できないですよね。

○弁明者(麻原彰晃) いや、それはですね、その当時相当にサマナに空気による、空気汚染による被害がありまして、したがって、サマナの身体を守るという意味で防衛庁という名前がついたわけでございます。

○弁明者(内藤隆) なるほどね。何かその名称、防衛庁なるものの名称にふさわしい軍事技術にたけた人を選抜して配置しておった。軍事技術というのは軍事技術ですわ、要するに。ちょっとうまく言いかえできない。軍人さんと言えばいいのかな。そういう事実はありましたか。

○弁明者(麻原彰晃) いや、それはございませんし、この防衛庁の長官が岐部君ですね。マハーカッサパでもわかるとおり……。

○弁明者(内藤隆) 岐部哲也さんのようですね。

○弁明者(麻原彰晃) はい。彼はもともとデザイナーから上がってきている人ですけれども、それから見てもわかるとおり、全くそういうことはございませんし、先ほども申し上げましたとおり、サマナの生命を守ることが要するに防衛庁の役目。言葉からいったら、そうですよね、防衛ですから。だから、日本の防衛庁とは違うわけでございます。

○弁明者(内藤隆) 労働省はさっき説明していただきましたよね。これは修行の管理。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。

○弁明者(内藤隆) もとは修行班と言ってたということですね。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。

○弁明者(内藤隆) 労務行政というのかな、日本の労働省がどういう仕事をするかというのはある程度ご存じですね。

○弁明者(麻原彰晃) まあ、ほとんどわかりませんけども。

○弁明者(内藤隆) わかりませんか。じゃ、いいです。

○弁明者(麻原彰晃) ただ、労働時間とかですよね、多分管理とか。そういうことは一切ありません。

○弁明者(内藤隆) 山本まゆみさんという方が労働省の責任者になられましたか。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。

○弁明者(内藤隆) この方は、じゃ、修行関係については何か造詣の深い方なんですか。

○弁明者(麻原彰晃) 彼女は私の弟子の中で最も古い弟子の一人でして、ずっとコース、その他を担当してヨーガの修行、面倒を見てきている人ですから。

○弁明者(内藤隆) じゃ、そういう意味では、名称はね、誤解を招くけれども、実際にやってた内容については適材適所というようなことだったのかな。必ずしもそうでもないのかな。

○弁明者(麻原彰晃) そうですね。まあ、例えば先ほど言った岐部君のように防衛庁をやる人もいますし、適材適所というより、まあ何となく決まったという感じじゃないかと思います。

○弁明者(内藤隆) 従来からの部・班を引き継ぐような形で、人的にもおおむね移行していったということでいいですか。

○弁明者(麻原彰晃) というか、ほとんど完璧に移行していったと思います。

○弁明者(内藤隆) そうですか、はい。細かく聞き出すとしょうがないので、一番わかりやすい事例を説明いただきましたけども、それで省庁制になってから、大臣会議という名称の会合が開催された。これは月1回から2回不定期に、95年、昨年になってからも開かれた。場所は、サティアンあるいは都内の飲食店などを利用して開かれたという主張があるんですけれども、大臣会議なる名称の会議は存在はしたんですか。

○弁明者(麻原彰晃) 大臣会議というよりも、これだけ大きな組織ですから、千何百人もいたわけですから、当然そのリーダーの方々の横の打ち合わせというものは必要になりますので、そのときに飯を食ったということだと思います。

○弁明者(内藤隆) もちろん、その……。

○弁明者(麻原彰晃) もちろん、そのねらいは何かというと、先ほど申し上げました、弟子たちにエンパワーメント、エネルギーを、霊的なエネルギーを入れることがねらいでございます。

○弁明者(内藤隆) もちろん、何千あるいは1万単位の組織ですから、何らかの会議というのは開かざるを得ないですよね。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。

○弁明者(内藤隆) そうでないと、教団というか、運営できませんからね。

○弁明者(麻原彰晃) はい、そうです。要するに、私の顔見せとエンパワーメントだとお考えいただいたら一番いいと思います。

○弁明者(内藤隆) そういう会合はもちろん開かれておったということですよね。

○弁甲者(麻原彰晃) はい。会合というよりも、飯を食う会と言った方がいいかもしれません。

○弁明者(内藤隆) そういえば、省、庁で大臣がいた以上、総理大臣というのはいたんですか。

○弁明者(麻原彰晃) いません。

○弁明者(内藤隆) 総理大臣はいないわけ……。

○弁明者(麻原彰晃) はい、おりません。

○弁明者(内藤隆) あなたは総理大臣じゃなかったの。

○弁明者(麻原彰晃) 私は総理大臣ではございません。


[戻る][目次][次へ]