審議会

日本工業標準調査会21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会(第6回) 議事録


                                 標準部標準課

1.日時:平成12年5月10日(水)10:00~12:00

2.場所:通商産業省 国際会議室 本館17F 西の3

3.出席者:山本委員長、石黒委員、石谷委員、石原委員、稲束委員、岩下委員、
森田代理(碓井委員)、大島委員、長見委員、齋藤委員、田中委員、鳥井委員、
長沢委員、野村委員、畑中委員、原委員、前原委員、松井委員、松尾委員、
松本委員、村上委員、森田委員、山敷委員、山田委員、山本(博)委員、
山本(喜)委員、吉田委員

4.議題:(1)21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会報告書(案)の検討について
(2)その他

5.資料
1.第5回議事録
2.21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会報告書(案)
2-1 諸外国における標準化システムの現状
2-2 主要国の国家標準化機関と政府との関係について
3.21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会総括図(案)
4.第5回委員会へのコメント
5.今後の検討スケジュール
6.21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会委員名簿
7.「21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会報告書案」に
対するパブリック・コメントの聴取について(案)

6.議事概要
①事務局より、本日の資料の確認がなされた。
②資料2に基づき、事務局(小川標準課長)より「21世紀に向けた標準化課題検討特別委
員会報告書案」の第1章から第3章までについて説明がなされた。

③以上②の説明が行われた後、各委員より以下Ⅰ.のような発言がなされた。
④資料2、資料2-1及び資料2-2に基づき、事務局(小川標準課長)より「21世紀に向けた
標準化課題検討特別委員会報告書案」の第4章について説明がなされた。
⑤以上④の説明が行われた後、各委員より以下Ⅱ.のような発言がなされた。
⑥資料7に基づき、事務局(小川課長)より「パブリック・コメントの聴取について(案)
」について説明された後、5月23日までパブリック・コメントが募集されることにつ
いて異議無く了承された。

Ⅰ.「21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会報告書(案)」の第3章までについての
コメント

(野村委員)
・今回の報告書案をうかがったが、非常に幅広い観点から標準化の重要性が説明されてい
るのみならず、標準化の方向性、具体的な施策についても明快に示されており、報告書の
出来としては良いと思う。自分の意見も大幅に採り入れてもらっている。
・ 一点だけ試験所認定制度の活用の関係で申し上げさせて頂きたいが、環境関係の新聞
記事などでは、ダイオキシン等の分析結果が大きくばらつき、一般の人にとってはどちら
が正しいのかわからない。こうした問題については、ガイド25で認定された試験機関によ
る分析値か否かが判明すると一般の人にとって有効な情報になるのではないか。認定試験
所の活用を義務化することは難しいとしても、こうした情報が一般の人にとってもより分
かりやすく入手できるような仕組み作りについて具体的に記述されてはいかがか?これも
広い意味での消費者保護であろう。

(稲束委員)
・報告書の内容については概ね良いと思うが、標準化の専門家ばかりで議論しているため
に陥りがちな問題として、「今後標準化をどう進めるべきか」については具体的に検討し
ているが、「そもそもなぜ標準化が重要なのか」についての議論が欠けている。
・私の認識では我が国の社会における標準化マインドは高いとは言い難い状況である。標
準化の意義に関する認識が社会の土台として根付かない限り、日本として標準化を高度に
展開していくことは難しいであろう。報告書では「標準化マインドの向上をいかに進める
か」(下支えの部分)に関する記述も必要ではないか?

(小川標準課長)
・標準化マインドを向上させることの重要性はもちろん記述するが、有効な方法について
は、なかなか具体的なアイディアがない。アイディアがあれば頂戴したい。

(原委員)
・全体的な感想としては、標準を「作成する」ということに焦点が当てられているが(1
4~17ページ)、①規格作成に係る意識の向上(土壌づくり)及び②作成された規格の活
用に係る記述が抜けている。作成された規格を消費者に「浸透させていく」ということに
ついてはあまり記述されていない。規格を浸透させていく方法についても報告書で踏み込
んではいかがか?

(松井委員)
・材料開発を行っていく上で、ばらつき(ノイズ)を抑えた物差しづくりが重要である。
発明発見はノイズに隠れている信号(シグナル)を顕在化させることであり、ノイズを抑
えた物差しづくりが創造的な基礎研究と認識している。この物差しが共通基盤技術であり、
組織化されたものが規格または知的基盤と認識している。この意味で標準化や知的基盤
の整備が重要。しかしながらこのような物差し作りに関する認識は、欧米と比較して非常
に低い。欧米では計量研究所の位置づけが極めて高いが我が国はそうでもない。基礎研究
を進める上での物差し作りの重要性についての考え方がかなり欧米とは異なっている。今
回の報告書の中でも、こうした物差し作りに関する重要性についてももう少し踏み込んで
記述して欲しい。今後は計量研究所を独立行政法人化していく上でも重要な検討事項であ
ろう。

(石黒委員)
・「何故標準化を行うのか」という視点について、(第1章の冒頭にでも)もっとしっか
り記述すべき。
・ISO自体の議論の流れとは随分かい離しているが、本報告書案では標準作成における消
費者保護や公共財としての重要性が触れられていてバランスがとれていると思う。
・上記に関連して、デジュール標準のメリット・デメリット比較考慮の部分は重要であり、
ITUではこれまでさんざん議論されてきているが、本報告書案ではデファクト標準が
複数形成され問題となった例として「水道の蛇口」という例しか触れられていないが、も
う少し例示を増やして頂きたい。

(鳥井委員)
・社会に対する標準の重要性の理解については、各企業が社会に訴えるべきではないか。
産業界は12条提案における標準作成を担うのみならず、標準化活動全般に対してもっと
役割を果たすべき。デジュール標準化における官民の役割分担について報告書案では簡単
に触れられているが、このトピックについてはもう少し詳細な検討が必要である。個別の
章・節を設けても良いのではないか。
・昨年のWTOシアトル会議の際には、NGOなどによる反対デモが活発に行われるなど、反グ
ローバリゼーション的な動きが相当出てきたが、こうした議論と標準の国際化との兼ねあ
いについても報告書のどこかで簡単に整理をしておく必要があるのではないか。例えばマ
ネジメントシステム規格などが関連する事例ではないか。

(山敷委員)
・我が国で標準物質についてあまり整備が進んでいないのは、この分野が日本ではビジネ
スとして成立していないということが原因である。米国では標準物質作成はビジネスとし
て成立しており着々と標準物質が作成されている。こうした部分についても報告書で少し
触れても良いのではないか。
・WTOにおいて、国際規格関係で一番重要な協定はTBT協定ではなく、政府調達協定ではな
いか?こうした部分についても触れておいたほうが良い。
・公共的標準・インフラ的標準に関する記述部分では、官民の役割分担に関する記述がな
されていない。民間だけでは作成されにくいことはわかるが、具体的にどうやってこの部
分の規格作成を進めていくのか、民間に関するインセティブ付与に関する方法論(補助金
による支援策や特別研究チームを設定してさらに検討する等)についても触れて頂きたい。

(大島委員)
・強制法規とJISとの関係については4ページ注1にまず触れられているが、他に関連
する部分として、14ページ(迅速化に係る記述)、17ページ(強制法規活用型のJI
S)においても触れられている。強制法規とJISとの作成目的は異なるものの、技術を
定着させるという広い意味では同じと考えた場合、以上の記述も参考にして両者の違いを
考えると、むしろ「JISは幅広い意見を迅速かつ透明に定める」、「強制法規は必ずし
も柔軟に変更されない」といった機能の違いが指摘でき、この意味で任意規格の役割の重
要性の一端を説明できるのではないか
・12ページでは規格の有効性に係る疑問について述べられているが、規格の策定・運用
をした後に有効性を判断し、有効性が損なわれている規格は廃止する等、運用後の評価を
意識する必要もあるのではないか?
・知的財産権・競争政策と標準の関係を記述している24ページでは規格に含まれる知的
財産権を広く公開するというポジティブな社会貢献的側面のみ焦点を当てているが、ヨー
ロッパの戦略として、日本での技術を抹殺しようとして別の技術を国際標準として主張す
ることが行われているのではないか。このように標準化が「排他的に悪用」されるケース
への警戒といった点についても触れておくべきではないか。
・10ページにリサイクルの3Rについて触れられているが、政策論と規格の作成・運用
との関係は切り話して議論すべきではないか?例えば、財政再建と景気回復のどちらの政
策を選択すべきかを議論しているときに、どちらかの政策に特に荷担するような形で規格
を活用して良いのだろうか?あるいはリサイクルを行うことが善ということが関係者のコ
ンセンサスとなっていればよいが、燃やさずにリサイクルすべきか燃やしてしまうべきか
について意見が分かれるような段階で、燃やさずにリサイクルする技術のみを規格化して
しまってよいのか。

(村上委員)
・ここで対象としている標準が何かということをしっかりと書いて欲しい。工業標準化法
の対象のみなのか、その他の規格も対象とするのか、あるいは強制法規における技術基準
も広義の標準として含まれるのか?あるいは適合性評価についても、民間における適合性
評価、強制法規における適合性評価、JIS法に基づく適合性評価いろいろある中で、本
報告書はどこまでを対象として議論しているのか?全体における位置づけについてもわか
りやすいく明示していただきたい。

(松尾委員)
・安全性確保に関する規格をつくることを重点分野として掲げることは結構であるが、最
近安全性については国民の信頼を損なうような事件が多発している(原発燃料施設の事故、
ISO14000認証を受けた工場におけるダイオキシンの流出、地下鉄事故等)。これはシス
テムの設計のみならず運用面でも問題があることを示唆している。こうした個別のケース
に関し、標準化の果たす役割は大きいと思う。しかるに報告書案p13の書きぶりでは「
今後いっそう活発化していくものと考えられる」と他人事的表現で記述されているが、是
非「もっと取り組む必要がある」というような決意表明を行ってほしい。

(松本委員)
・建設業においては部品については標準化されているが、構造物、工事の進め方や工事の
契約の方法などに関しては欧米と比較して標準化が遅れている。IT化の進展により、電
子商取引を行うためには国際的に標準化が必要になってきているのに、建築の標準仕様書
などについても各国にはデファクト標準があるのに対し、日本では標準が存在しないとい
った問題があり、早急に対応しないといけない。こうした問題は全ての分野に通じる問題
として強調できると思う。


Ⅱ.「21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会報告書(案)」の第4章までについての
コメント

(鳥井委員)
・著作権については肖像権など周辺権の問題もあり、非常に複雑な体系になっているが、
大丈夫か。

(小川標準課長)
・文化庁との間でも慎重に検討を進めているが、規格の場合は、さほど複雑ではなく、今
のところは大きな問題はないと考えている。


(石原委員)
・民間においてもっと規格を作るべきというメッセージは大変結構なこと。しかし、ホテ
ルに関しては、運輸省の国際ホテル整備法に基づいているが、厚生省の規制(旅館業法)
の対象にもなっている。ホテルといっても地方と中央では民間の規模や国際性も異なって
いる。原則標準化を民間の手でというのは当然であるが、実際には強力な国の支援でもな
ければ業界自らは動きにくいといった問題がある。国としてはどのように支援していくの
か具体的に示してほしい。

(小川標準課長)
・報告書に記述するか否かは別として、通商産業省(経済産業省)としては関係省庁の間
を取り持つ等、縦割の弊害のないよう実施していきたい。

(石原委員)
・新しい分野に記述されているにもかかわらず、業界内では標準化の必然性が認識されて
おらず、まずは意識浸透が重要。

(石黒委員)
・サービスに関する標準については、今後のJISC体制(図1、図2)ではどの技術専
門委員会で扱われるのか?

(小川標準課長)
・サービスについては、金融であれば電子・情報技術専門委員会、物流であれば物流技術
専門委員会等、対応しなければならない分野については既存の体制で対応可能であると思
うが、さらに新しく固有に対応しなければならない分野がでてきた場合には専門技術委員
会を柔軟に設置する。

(石黒委員)
・サービスの標準化については国際的な流れがあるということを踏まえた場合、どこか1
つの委員会で検討することも考えてはどうか?図2では、電子・情報だけが共管と書いて
あるが、もっと全体に委員会の設置等に関して柔軟に取り組むと言うことがわかるように
記述する必要がある。

(原委員)
・39~40ページにおいて、「年齢、性別等偏りない消費者」とのイメージが示されて
おり、当然かくあるべきであるが、実際には審議会等に出席する消費者の委員の多くは大
体中高齢の主婦。一方、先日インターネット取引に係る課題の検討のため20代から60
代の男女に意見を聞いたところ、若い男女からもしっかりした意見が多く出されていた。
P40の「消費者の視点を反映する仕組みを構築する」という記述について、事務局として
何か具体的な案はあるのか?
・消費者政策特別委員会に分野別技術専門委員会の情報がフィードバックされるというこ
とであったが、「双方向のコミュニケーションが取れる」というところまで踏み込んで記
述してほしい。

(山田委員)
・著作権の話に関して、「著作権を原案作成団体に残す」ことの意義が印税を渡せるよう
にするということであれば、その効果は非常にわずかであろう。むしろ制定後の規格を改
正する場合の改正権をどこに残すかということが重要であろう。かつてJAVA言語の標準化
についてJTC1で検討したときにも、改正権をサンマイクロシステムズに残すのか、J
TC1側に置くのかについて議論がまとまらず、結局国際標準化されなかった。この点に
ついてはある程度議論されたのか?

(小川標準課長)
・議論している。そもそも改正についての官民どちらが主導かという役割分担について、
標準化法では必ずしも明確に定められていない。現在はどうすべきか概念を整理中である。
最初のところ(策定時)に原案提案者に著作権を残すことを第一段階として、改正権の
あり方についてはもう少し時間をかけて検討したい。

(大島委員)
・ホテル分野でも民間における標準化は現状では動きにくいとの指摘があり、社会の仕組
みとしての問題があるかもしれない。37ページに国が作るべき規格として「民間の自主
的な動きが期待できない場合」とあるが、民間が作成するのが困難だというだけでは必ず
しも国が作成するのが適当とは思わない。一方でこのようにそのまま置いておくといつま
でたっても標準化出来ないという分野が出てきてしまう可能性はある。例えばBetaとVHS
の問題でも国が出ていくことが望ましいとは思わないが、民間だけで競合させるとせめぎ
合ってしまってなかなか標準が作られず問題となる。
・このような場合には、国は直接的に標準化は行わないが、かけ込み寺的な機能を有し民
間主体で標準化が行われるよう調整するという役割を負うということも重要ではないか?

(斎藤委員)
・「民間中心の標準化」という方向性は結構である。一方で、民間には500ちかい標準化
団体があるが、資金的・人材的・ノウハウ的には皆ご苦労されていると思うので、引き続
き政府の支援も期待したい。民間で作れということになると、これまで工技院に蓄積され
てきた標準化のノウハウも拡散してしまうのではないか?国際的な標準化委員会に対応す
るための国が持っていたノウハウなども、継続的に蓄積していくことが重要であろう。
・規格は作成するのみならず、社会に浸透していくということが重要というのもそのとお
り。著作権の問題にも関係するが、規格はJISのみならず、ISOやASME、ASTMなどといった
国際規格も実際に使われているということを踏まえるとなると、ある場所でそうした規格
を一括して管理し、常に提供可能な体制を整えることが必要となるのではないか?

(長沢委員)
・4ページの下から4行目には、「基準認証制度自体の国際整合化や適合性評価結果の相
互承認の要請も高まっている」と指摘されているが、規格が同じでも認証制度の相違によ
る摩擦というのは実際に存在する。この解決策として29ページにMRAについて触れられ
ているが、「…の構築を検討する」との記述に留まっている。41ページでは「適合性評
価部会」がこうした問題に関し総合的な「議論を行う」とされている。
・ ところが実際EMCの分野ではもっと差し迫った問題が発生しており、米欧との間でどの
ように土俵を整備するかを議論しているところである。アジアと米国との間では既に一部
MRAの第一段階がクリアされており、早く我が国も同じような土俵を構築してほしい。
・ 分野によっては状況が異なるであろうが、現実にはMRAが検討レベルでなく「構築
が必要」という差し迫った問題を持つ分野もあることを記述してほしい。

(長見委員)
・官民の役割分担は現状と比較して具体的にどのように変わるのか?
・民間だけで最初から最後まで規格を作成できる団体は多くないだろうし、現在も政府か
らの支援が出されている。一方国が主体的に標準化するという分野に関しても従来も決し
て国だけで策定してきたわけではない。こういう現状を考えると、余り現状から変化して
いくようにも思えない。もし変化のイメージがはっきりしているのならば記述してほしい。
(37ページ)

(小川標準課長)
・基本的にどのように変わるかということは40ページで記述されているが、民間からの1
2条提案に基づく場合のJISCにおける重点的審議事項を整理するということと、消費
生活技術専門委員会においても個別の規格審議のみならず、政策的側面についても議論し
ていくこととなる点が主な変化である。(電気・電子分野等と比較すれば)消費生活分野
は実質的にはあまり変わらない分野かもしれない。報告書ではより明確になるようにした
い。

(西川環境生活標準化推進室長)
・原委員からの御質問(消費者の意見を反映する仕組みを構築する具体的方法)について
は、現時点で具体的なアイディアがあるわけではないが、メンバー構成や役割分担などに
ついては今後議論を深めていきたい。その際、ANSIやBSIにおける消費者対応への取り組
みを参考にしたい。
・これらの標準化団体では、消費者政策委員会をもっており、消費者団体に加えて産業界、
学会、政府機関などの代表で構成されている。BSIでは委員会の下に調整委員会を設け
ており、公募で約80名の一般消費者を年齢・性別のバランスを取る形で委員として選定し
ておき、彼らを、それぞれ消費者と関係の深い規格審議を行っている技術委員会に参加さ
せるような方式をとっている。こうした方式がJISCに適応可能かということについては、
今後の検討を要するが、5月に開催予定のCOPOLCO京都会議でも、各国の標準化団体の消費
者政策の責任者が集まることもあり、その場でも情報収集をして、今後、消費生活部会等
の場で、議論を深めて行きたい。
・消費者政策特別委員会と各分野別技術専門委員会との間が単に「フィードバック」だけ
ではなく、「相互のコミュニケーション」を行う必要があるとのご指摘はそのとおりで、
「消費者の視点の反映」という言葉で読めるのではと考えていたが、書きぶりについては
工夫の余地があるかもしれない。

(野村委員)
・今何故標準化か、標準の下支え部分、規格を作る土壌づくり等については、あまり書い
てないのではないかとの指摘があったが、私は報告書の中に書いてあると思う。ただしそ
のことが、なかなか浮かび上がってこないとすれば、表現法を工夫する必要がある。例え
ば、3枚くらいに概要をまとめる等の方法も有ろう。
・具体案は今後のJISCで検討されるわけであるが、その実行案がしっかりしていないとこ
の報告書は無意味になってしまうと思う。JISCでは幅広い意見を反映して政策を作る仕組
みにしていただきたい。

(石黒委員)
・関連して、WTOの関連も考えると資料2-1の2(3)を報告書に盛り込んではいかがか?

(石谷委員)
・現在も実際に規格策定作業は非常に効率が悪い部分がある。現在は工技院の人が規格づ
くりの技術を有し、教えてくれているが、これがないとすごく効率が下がると思う。規格
の策定作業の効率性が途切れるということのないよう新しい制度でも検討して頂きたい。
規格技術そのものの継続を検討する委員会があっても良いのではないか?またJISCで
はメンバーがいつも同じ顔ぶれであるが、こうしたメンバーも任期制にするなどして、新
しい視点を意識的にいれるべきではないか?

(長見委員)
・COPOLCO総会に向けて、消費者の学習会を催しているが、準備のために業界団体に規格
の成り立ち方やISOとの相違点等を問いあわせてもご存じの方は少なく、ノウハウの蓄
積が個人ベースでなされている。日本規格協会などを強化して、こうした情報やノウハウの
蓄積も引き継ぐ必要があるのではないか?
・標準化は大衆にとってわかりにくいが、マスコミも採りあげにくいと聞いている。今後
は「電子化」の事項の一つとして、広報活動も積極的に取り入れていただきたい。
・関西でセミナーを企画しているが、関西の人たちはあまり標準についての情報をもって
いない。情報格差がある。したがって電子化による広報強化は有用と考える。

(山本(喜)委員)
・著作権を与えることは良いが、現状でJISを入手しようとすると、非常に薄いものでも
7000円程度で売られていたりする。したがって規格協会から規格の本を購入して大学の講
義に用いようとしても使えない。電子化されてダウンロード可能な状況となればやりやす
くなると思うが、規格は誰が読むかということも検討して価格設定して頂きたい。企業が
利益のために使うのであれば有償でも良いと思うが、JISの売り上げを調べて頂ければわ
かるが、それほど売れるものではない。教育の観点から使われるような、利益を想定して
いないような場合は無償でも良いのではないか?あまり数が出ないのであれば、いっその
こと全て無償化してしまうという案もありうる。

(小川標準課長)
・教育的な普及の観点からの費用負担の仕組みは検討していきたいが、我が国の規格は海
外と比較すると実は安価な方である。


7.今後の予定
次回は、平成12年5月29日(月)14:00に開催予定。

【問い合わせ先】
               工業技術院標準部標準課 担当:進藤、相澤、石垣、関
               TEL 03-3501-9295
               FAX 03-3580-1418
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