シャープ、戴社長のリストラに高まる緊張 "信賞必罰"の人事に幹部も社員も戦々恐々

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組織についても旧シャープのそれを大きく否定した。2015年10月に導入したばかりのカンパニー制をなくし、液晶以外の4カンパニーは社長直下の6事業部へと再編。事業ごとの収益管理を容易にし、トップに情報を集めやすくする狙いがある。

そのうえで重要ポジションにはキーマンが着任した。いずれも鴻海の董事長である郭台銘(テリー・ゴウ、65)と近く、戴を通じ、郭の使命を忠実に果たす役割を負う。

要職はみな、郭台銘のお気に入り?

代表取締役で戴を支える2人が、生え抜きの副社長である野村勝明(59)と、鴻海の日本法人社長もこなしたディスプレイデバイスカンパニー副社長の高山俊明(40)だ(トップ写真)。野村は郭の資産管理会社とシャープの合弁である堺ディスプレイプロダクト(SDP)を黒字化し郭に認められた。高山は40代ながら、郭の来日時に通訳を担う側近で、戴とは親戚でもある。

22人いた執行役員は業務上必要な1人を残し廃止する一方、カンパニーや各事業本部には鴻海色が色濃く反映された。野村とともにSDPを成功させた上席常務の桶谷大亥(56)や、2015年にシャープを一度退社しながら鴻海に請われ復帰した専務の中山藤一(62)は、ディスプレイやビジネスソリューションのトップに就任したが、いずれも郭の信任を得たとされる。

注目されるのが社長室だ。経理や広報などを新設の社長室に編入、室長に三菱東京UFJ銀行出身で常務の橋本仁宏(59)が就いた。橋本は買収前、シャープ取締役として買収交渉に当たり、最終的に鴻海側の提案を支持。今では戴の命を受けて本社費用削減に心血を注ぎ、知的財産部門の合弁化や本社スタッフの子会社転籍を進めている。

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