埼玉
2017年10月3日
共産県委員会、社民党県連合の幹部同席で新党立ち上げを報告する枝野さん(左)=さいたま市浦和区で |
埼玉の民進党の「顔」が、独自の道を決断した。枝野幸男代表代行は二日、新党「立憲民主党」の結成を表明。衆院選の公示が十日に迫る中、民進候補者には「希望の党」以外の新たな出馬の選択肢が生まれた形だ。県内でも「リベラルの受け皿」の誕生を歓迎する声が上がり、一度は頓挫しかけた野党共闘の動きも再び加速し始めた。 (井上峻輔、杉本慶一)
「市民の皆さんとしっかりと連携し、他党の皆さんと安倍政権の暴走を止める目的に向けて努力する」
二日夜にさいたま市内で開かれた野党共闘を目指す市民団体の会合。枝野さんは都内での新党結成会見後に駆けつけ、力強く訴えた。
同席した共産党の荻原初男県委員長は枝野さんの新党設立を「本当に勇気ある決断」と評価。「希望の党による共闘つぶしは成功したかに見えたが、共闘はこれで明らかに質的な前進を遂げる」と声を弾ませた。社民党の武井誠県連代表も「想像を超える苦労を乗り越えてここに至ったと思う」とたたえた。
新党の結成により、希望の党の公認を待ち続けていた民進党の候補者たちは新たな選択を迫られる。3区の新人山川百合子さんは「今日の新党結成会見をもって民進党の全員合流という大前提が崩れた」と語り、「身の振り方はしっかりと考えたい」と新党入りに含みを持たせた。
地方議員にも波紋は広がる。枝野さんの選出区が地盤の高木真理県議は「枝野さんの政策で戦うことに変わりはなく、枝野さんの判断を信じている」と衆院選での支持を表明。民進党の地方議員が「希望」と「立憲民主」の候補の応援に分かれる可能性が出てきて、三つの選挙区があるさいたま市議団の高野秀樹団長は「股裂きの状態だ」と困惑する。
県議団の浅野目義英団長は「自主的解体ならまだしも、ほかの勢力に解体されたのは無念の一言」と、希望の党との合流が分裂を招いたことを嘆いた。
上田清司知事は同日、「希望の党がリベラル勢力を排除するのであれば、リベラル勢力は行き場を失ってしまう。枝野氏が受け皿となる新党をつくったことはやむを得ない」とのコメントを発表した。