沖縄戦体験「県職員に共有されず」 追悼式のあり方「県民の会」が勉強会


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「沖縄全戦没者追悼式のあり方を考える県民の会」勉強会であいさつする共同代表の伊佐真一さん(左から3人目)=14日午後2時すぎ、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 沖縄戦研究者ら識者有志でつくる「沖縄全戦没者追悼式のあり方を考える県民の会」は14日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で勉強会を開いた。約30人が参加し、6月23日の慰霊の日に実施される沖縄全戦没者追悼式や平和のあり方について議論した。

 共同代表である沖縄近現代史家の伊佐眞一さんは、会場変更について県の問題意識がなかった点を指摘。「戦争を体験した人たちから、学んだ知識は蓄積されていく。そうした県民が持っておかないといけない最低限の知識が、県の職員の中に共有されていない」と強調した。

 石原昌家沖縄国際大名誉教授は過去にも同様の事案があったことを紹介。「1975年に県平和祈念資料館が開館した時は入り口に大きく日の丸が掲げられ、県民がショックを受けた。何の理念もなくただスタートし、それを県民が問題として声を上げた」と話し、式典についても県民が意識を持って県側に伝えていく必要性を語った。

 県は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、追悼式を国立沖縄戦没者墓苑に変更する方針を示していたが、識者らの指摘を受け、例年通り平和祈念公園(糸満市摩文仁)の式典広場で開催すると12日に発表した。【琉球新報電子版】