フリマアプリ『メルカリ』でも… “非公式グッズ”氾濫で問われる著作権意識

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フリマアプリ「メルカリ」公式サイトより。

　土屋アンナが出演するCMなどで「3分でかんたん出品」を謳い、人気を博しているフリマアプリ『メルカリ』。このアプリ上に、イラストの無断二次使用となる“非公式グッズ”が出品され、注目を集めた。発端は、4月25日、イラストレーター・中村佑介氏のTwitterに対し、あるユーザーが中村氏のイラストを利用したハンドメイドのピアス「ジャケ写ピアス」が出品されているとツイート。これを受けて、中村氏が「運営に「無断二次使用なので」と連絡しても動いてくれないので、各レコード会社にも通報しておきます」（@kazekissaより引用）とつぶやいたことで、『メルカリ』を始めとしたフリマアプリなどへの”非公式グッズ”出品という問題が、多くの人の耳目を集めることとなった（現在、「ジャケ写ピアス」は出品されていない）。

　アニメの公式イラストをはめ込んだアクセサリーや、キャラクターをストーンでデコレーションしたスマホケース、アニメ・マンガのイラストオーダーなど、こうした“非公式グッズ”は「メルカリ」だけに限らず、「ヤフオク！」や「楽天オークション」といったオークションサイトなどにも存在している。“非公式グッズ”の法解釈について、AVANCE LEGAL GROUP LPC弁護士の山岸純氏と榎本啓祐氏は、次のように解説する。

「アニメのイラストを切り抜いてグッズなどに張り付けたり、アニメキャラをストーンでデコレートしたり、アニメキャラを自己流で似せて作画して出品・販売した場合、いずれも著作権侵害となる可能性が高いです。これは、同人誌も同様です。過去、誰が見ても特定のマンガやアニメのキャラクターを想起させるイラストを“著作権侵害”と認めた判例もあります」

「“非公式グッズ”は軒並み著作権侵害にあたる」ということだが、一方で、『メルカリ』は利用規約にて、著作権を侵害する商品の出品を禁じている。それでは、『メルカリ』側はこうした“非公式グッズ”の出品に対し、どのような対策を講じているのか？　運営元の株式会社メルカリに問い合わせると、以下のコメントが返ってきた。

「フリマアプリ「メルカリ」では、知的財産権等を侵害する商品の出品を禁止しております。そのため、所定の手続きにより、弊社にて権利侵害の確認可能な出品物は速やかに削除し、弊社の定める基準において利用者への制限措置をとらさせていただいております。

　弊社で取らさせて頂いている具体的なフローでいいますと、著作権者との連携を密に取り、定期的に著作権者から通報いただき迅速に権利侵害品を排除するように努めております。また、社内パトロールの実施もしており、規約違反が確認できる商品についても随時削除や警告等対応をしております」（原文ママ）

　加えて、「利用規約に違反する商品、行為を抽出するアルゴリズムを導入」し、「権利を侵害する内容が確認できた場合には、出品を取り下げさせていただくこと」もあるとしていた。今回の事例では「権利者以外からの違反報告に対応しなかったのでは？」と問題視されたが、こうした点については「権利侵害が不確かな場合においても、出品者様に状況を確認させていただくことがございます」という返答だった。

　最後に、著作権法違反は親告罪だが、こうした“非公式グッズ”などを流通させているフリマアプリやサイトは罪に問われないのだろうか？　前出の山岸氏らが答える。

「単に著作権侵害を放置しただけで罪に問われることはあまり考えられません。ただし、キャンペーンなどで“非公式グッズ“の販売を積極的に促進するなど、著作権侵害を助長するような行為があった場合、これらの犯罪の幇助（正犯の行為を助ける罪）が成立する可能性があります」

　中村氏は自身のTwitterで、「ほとんどのフリマアプリ（サイト）は、お手軽な分、運営が細かな権利チェックもしないまま、一般ユーザーに２次使用商品販売を可能にさせるので、皆さま知らず知らずのうちに著作権法違反に加担する場合がございますので、どうかお気をつけ下さいね」（@kazekissaより引用）と、警鐘を鳴らしている。“非公式グッズ”などの二次著作物をめぐっては、株式会社ニトロプラスが「同人グッズ、コスプレ、痛車、フィギュア等の二次著作物について」のガイドラインを作成し、話題となったことも記憶に新しい。好きな作品のグッズがほしくなるのは止められないが、あくまでファングッズとして私的利用の範囲にとどめておくよう、ゆめゆめ注意したい。

（取材・文／編集部）
（協力＝山岸純、榎本啓祐／AVANCE LEGAL GROUP LPC弁護士）