わずか29時間で配信停止に 「画太郎ババァタワーバトル」は何がダメだったのか:モバクソ畑でつかまえて
他の“そっくりゲーム”とは何が違っていた?
「どうぶつタワーバトル」との類似が指摘され、リリースからわずか1日で配信終了となった、スマートフォン用アプリ「画太郎ババァタワーバトル」(関連記事)。漫☆画太郎「星の王子さま」2巻発売にちなんでリリースされたアプリでしたが、結果としては、せっかくの単行本発売に水を差す形となってしまいました。
しかし、確かに「画太郎ババァタワーバトル」と「どうぶつタワーバトル」はよく似ていましたが、何かヒットしたら似たゲームが次々リリースされるのはゲーム業界では昔からよくあること。あえて名前は挙げませんが、これよりもっとそっくりなのに平然とサービスを続けているゲームは山ほどあります。そんな中で、「画太郎ババァタワーバトル」の“配信停止”というのはかなり異例の決断であり、まだ同時に、それだけ批判の声が大きかったとも言えます。
ではなぜ「画太郎ババァタワーバトル」はここまでの批判を招いたのか。他の“そっくりゲーム”とは何が違っていたのか。モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人であり、スマホゲームのサービス終了に詳しい「怪しい隣人」(@BlackHandMaiden)さんに振り返ってもらいました。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
実はよくできていたババァタワーバトル
集英社は6月5日、スマートフォン向けアプリ「画太郎ババァタワーバトル」の配信を中止しました(関連記事)。配信の停止は5日の18時あたりとのことで、仮に6月4日13時にリリースされたと考えると、配信から停止まで29時間。残念ながら「カオスサーガ」の26時間30分にはかないませんが、アプリではダントツ1位の高速終了。久々にソーシャルゲーム死亡日ファステストラップへの挑戦者が現れたことをうれしく思います。なお、先日取り上げた「機動少女」ですらサービス開始から終了まで51日と結構粘っており、1日ちょっとでの終了がどれくらい異常かはご理解いただけるかと思います。
そんなババァタワーバトルですが、ゲームとしての出来はどうだったのか。これについては「結構よくできていた」と思っています。ババァを積み上げてまとめて処分しようという目的のもと、さまざまな形のババァを積み上げて行く。名前の通り「どうぶつタワーバトル」によく似たゲームです。
大きな違いはデッキが組めることとガチャからババァが出てくること。「どうぶつタワーバトル」でいうなら、インドゾウとアフリカゾウばかり落ちてくるように設定できるが、インドゾウとアフリカゾウは課金ガチャから0.05%の確率で出てくる。そんなゲームです。しかもその上で通信対戦もできる。ただ「ババァを積むだけ」ならここまでやる必要はないんじゃないかという凝りようです。
残念な部分はこれと言って思い付かなかった……というよりは思い付くほどプレイさせてもらえなかったのですが、ババァに軟膏を塗り込むというガチャは大変理解しにくいものでした。尻を菊の花で隠したババァが「軟膏を奥まで塗り込め」と言うのですが、これ全身をこするように指を動かさないといけないのです。アイデア先行で実際にプレイする人がつらいと思わなかったのか、とは思うところでした。
なぜ「画太郎がまたやった!」と受け入れられなかったのか
それらのダメな部分も含め、筆者もできれば「これは久々にいいモバクソゲーが来た!」と笑いの種にしたかったのです。ですが、どうぶつタワーバトル作者の発言を見てそうは思えなくなりました。
ネットの意見も、これ以降作者への同情と、集英社への怒りへの表明が目立ち始めたように思えます。一方、ゲームではアイデアの流用はよくあることだという意見もありました。プログラムや画像のコピーは論外ですが、ヒットしたゲームのフォロワーがたくさん現れることはよくあることです(※)。3つの属性に分かれてカードを収集して戦うゲームをどれくらいの数プレイされたか、皆さんは覚えているでしょうか?
※編注:ゲームのルールやシステム、アイデアなどは著作権で保護されないというのがこれまでの判例。直近では「釣り★スタ」と「釣りゲータウン」の類似を巡ってグリーがディー・エヌ・エーら2社を訴えていましたが、最終的にはグリー側の敗訴に終わっています(関連記事)
もちろん、そのままアイデアを流用するだけではなく、1つのゲームのアイデアに何か新要素を加え、新たなゲームとして世に問うている作品は多くあります。ババァタワーバトルもまた、「デッキが組めるどうぶつタワーバトル」といえる作品であり、1つのアイデアを元に発展させようとしていた意図は十分に感じられました。その上で「無課金でプレイする貧乏人は死ね!」というメッセージが画面全体に登場したりとファンを喜ばせる演出も十分盛り込まれていました。
それが、なぜ過去のように「画太郎がまたやった!」と受け入れられなかったのでしょうか。
過去の一例ですが、画太郎先生の『珍ピース』という作品があります(関連記事。3ページだけ書かれて打ち切りというこの漫画の悪ノリっぷり。当時大変笑わせていただいた記憶があります。ババァタワーバトルもこの漫画と同じように「画太郎先生の暴走」として受け入れてもらえると、集英社側としては判断していたのではないでしょうか。
ですが、珍ピースはジャンプという枠の中での暴走です。編集部内での打ち合わせや調整も容易でしょう。ですが、今回どうぶつタワーバトル側への調整などは一切なく、ババァタワーバトルはリリースされたように思います。それ故に世間は今回の一件を管理されたショーではなく、無軌道で無法なものと判断したのでしょう。
もちろん多くのアイデア流用されたゲームも、アイデアの流用について事前に相談があったわけではありません。では、なぜババァタワーバトルはユーザーの反発を受けたのでしょうか。ババァタワーバトルは、どうぶつタワーバトルのパロディーであり、またリスペクトを込めた作品として受け入れられるべきでした。パロディーにせよリスペクトにせよ、本家の作品への称賛、尊敬の念があり、かつ元ネタを知っている人が不快にならない表現であることが重要です。
ですが本作は事前に作者氏への了承もなかったことで、ユーザーの感情を損ねてしまいました。プロモ目的なのに、負の感情を煽ってしまっては完全に本末転倒です。炎上商法といわれてもおかしくはありません。ここでババァタワーバトルはパロディー、リスペクトではなく「パクリ」とユーザーに見られてしまいました。作者に話を通していない時点で、元ネタであることがバレては困る。あるいはバレても大丈夫だろうと考えている。敬意なきパロディーは、作者やファンに対する敵対行動と紙一重、という認識がババァタワーバトル側に不足していたのでしょう。
結果的に「敬意と配慮に欠けた内容だった」と配信中止にした編集部の対応は正しいと思います。ですが、これで全てがなかったことになってしまうのはあまりにもったいない。ババァタワーバトルを作った人たちもまた、自分たちの作品が無に返ってしまうのは悲しいでしょう。中止ではなく、相互に話し合った上で何らかの形でババァタワーバトルを再度世に問うことができればよかったのですが。
もしも再びこのようなトラブルが起きたとき「文句が出たら全部なかったことにしてお詫びをしておしまい」という例が続かないよう、各位には調整をお願いしたいです。
関連記事
- 集英社、アプリ「画太郎ババァタワーバトル」の配信を停止 「『どうぶつタワーバトル』への敬意と配慮欠いた」
一部で「どうぶつタワーバトル」との類似が指摘されていました。 - DMMの新作オンラインゲーム「カオスサーガ」 “諸事情”により1日でサービス終了
FF11からのデータ流用がうわさされたと思ったら終了しました。 - モバクソ畑でつかまえて:どう見てもギリギリアウトな「機動少女 -GundamGirls」にあらためて中国ゲームの深淵を見た
そのタイトル大丈夫!? → 何一つ大丈夫じゃなかった。 - モバクソ畑でつかまえて:もうちょっと加減しろ! 「ときめきアイドル」のネタがあまりにも濃すぎるのでがんばって解説する
合言葉はbee! - モバクソ畑でつかまえて:「どうしてこうなった」「960円払えば実質無料」 スマホゲーム「ネギマテ」の何がどうマズかったのか
赤松健さんの漫画『UQ HOLDER!』および『魔法先生ネギま!』を原作とする同ゲームでしたが……。 - モバクソ畑でつかまえて:スタドリが仮想通貨のように使えた時代のお話
今では考えられない、ソシャゲ興隆期のちょっと面白い昔話。 - モバクソ畑でつかまえて:「データがtxt形式で保存されてる」「ここまでいじれるとか本当やばい」―― 混乱広がる「きららファンタジア」で一体何が起こったのか
既に運営側が見解を発表していますが、実際は言われているような「いじり放題」ということはありません。 - モバクソ畑でつかまえて:「中毒性が異常」「どう森を超える神ゲー」――無名のフリーゲーム「どうぶつタワーバトル」がなぜか突然流行りはじめた4つの理由
動物を落として交互に積み上げていく、それだけのゲームがなぜ突然流行? - モバクソ畑でつかまえて:「深夜1時に引く」「ちひろを蒸す」――根強い「ガチャ宗教」は“運営不信”の裏返しか 「ドッカンバトル」騒動が浮き彫りにしたもの
「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」騒動は、これまで積み重なってきた「運営不信」が爆発したもの? - モバクソ畑でつかまえて:「アイドルマスター ミリオンライブ!」更新終了が意味するもの “深く濃い”シリーズの異端児は何を遺したか
「ミリマス」とはどんなゲームで、なぜ終わらなければならなかったのか? - モバクソ畑でつかまえて:「FGO」の新シナリオが『魔界転生』のパクリ? → いやいやちょっと落ち着こう、という話
パクリ? それともオマージュ?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
-
業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
-
0歳双子を19時15分に寝かせ続けたママ→1年後…… メリットだらけの挑戦記録に「偉い&すごい!」「寝る子は育つ、その通りですね」
-
【今日の計算】「101×99」を計算せよ
-
中古軽自動車をキャンピングカー仕様にして日本一周するカップル 車内で料理中、思わぬアクシデントが…… その後の姿に「すごい」「尊敬します」
-
「あの頃の橋本環奈すぎる」21歳の無名アイドル、幼少期ショット公開で再びどよめき「凄い完成してる」「美少女の片鱗が見えすぎてる」
-
ご機嫌でルンルンステップを踏む柴犬、それをパパがまねすると…… ルンルンはひとりで楽しみたい派の塩対応に「めっちゃ可愛い」と100万表示
-
庭の草刈り中に小さな卵を発見、孵化させてみたら…… 命の誕生の記録に「すごい可愛い!」「すてきな家族」
-
飼い主を引っかいてしまった黒猫“自分の犯した過ち”に気が付いて…… いつもと違う行動に「反省してるのが分かる〜!」と190万再生
-
「飼い主ビビる」猫たちに猫草をあげたら……“ちがうもの”を食う1匹の姿が182万表示! 予想外の展開に「ちょっww」「狂気を見た」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」