Media Watch2015.11.05

忙しい朝、最適なニュースの届け方とは? 朝の情報番組の舞台裏【Yahoo!ニュース×グッド!モーニング】

慌ただしい平日の朝、テレビ横目に出社の準備をされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。朝の情報番組「グッド!モーニング」(テレビ朝日・毎週月-金4:55~8:00放送)では、Yahoo!ニュース トピックスで取り上げた話題と13文字の見出しをピックアップして紹介する連携コーナー「田中萌の知りたい!ニュースまとめ」が放送されています。

番組との連携スタートから1年を迎え、Yahoo!ニュース責任者の有吉健郎(写真左)と当ブログのスタッフが「朝の顔」の裏側をのぞいてきました。どのような人々が、どのような思いで番組をつくっているのでしょうか。そしてYahoo!ニュースと連携を始めた狙いは一体どのようなものだったのでしょうか。

コーナーの「顔」を務める新人の田中萌アナウンサー。9月までYahoo!ニュースとの連携コーナーを担当していた宇賀なつみアナの異動に伴い、9月末から後任に。
生放送終了後、普段心がけていることなどを聞きました(後ほどご紹介します)。

「朝の忙しい時間」に届けたいニュースって?

番組全体のスタッフは総勢約150人。同コーナーは朝6時29分ごろから放送されています。その日までにYahoo!ニュース トピックスに掲載されたものの中から、気になるトピックスを6項目程度ピックアップ。田中萌アナウンサーが、トピックスの13文字見出しを、番組側が用意したナレーションや映像とともに紹介するコーナーです。同コーナーを担当する、報道局情報センター・島本光規さん(写真)にお話を聞きました。

――Yahoo!ニュースとの連携コーナーを始めた狙いは?

Yahoo!ニュースは非常に沢山の方がご覧になっていますので、(Yahoo!ニュース トピックスに)あがってくるニュースをさらにもっとよく知りたい、映像を見たいという関心をお持ちの方も多いのではと思っていました。そこで、トピックスにコメンテーターや専門家のご意見を入れたり、映像をいれて、さらに多角的に深掘りした形でお伝えできれば、と考えて構成しています。

一方、私達もコーナーという枠のなかでご紹介できるトピックスの項目には限りがあります。コーナーを見て「さらに多くのニュースを知りたくなった」という方はYahoo!ニュース上で読んでいただく……という風に相乗効果を図れたら、という狙いがあります。コンパクトにまとまっているYahoo!ニュース トピックスの情報に、番組ならではの要素をプラスして、視聴者の関心に応えられたら、と考えています。

――コーナーの放送時間は朝の6時半頃ですが、朝の時間帯にニュースを届ける上で意識していることは?

朝の忙しい時間帯ですので、コンパクトに、かつ多くの項目をお伝えしたいという思いがあります。もちろん伝えなくてはならないニュースは伝えなくてはいけませんが、ドロドロした話ばかりになってしまうと朝の雰囲気にそぐわないので、前向きになれるような、「一日頑張ろう」という明るい項目も入れられるように努めていますね。

――先ほど生放送中のスタジオにお邪魔させていただきましたが、裏側ではコーナー直前まで編集作業がバタバタと続いていて、現場の大変さをあらためて感じました。

放送直前に情報が変わることもありますし、出来る限り最新の映像や原稿をお届けしなければいけないので、オンエア中は戦争状態、常にスタッフが走り回っている感じですね。私は入社後に経済部や社会部で記者を担当しまして、その後総務部や法務部を経て、「グッド!モーニング」の担当になりました。この番組に来て2年弱たちますが、最初は戸惑いました。

――現在と、記者の時との違いはどのようなところですか?

記者は「現場の情報を取得する」というのがまずは重要になってきますが、番組は最終的に放送する部分を担いますので、集まってきた映像を使って「何を伝えるか」「何を放送するか」「どういう構成にするか」といった部分を考えるという意味でも、仕事の内容も大きく変わってきます。より視聴者を意識する位置にいる、というか。

視聴率のピークは朝7時~7時半

――どのような層が視聴しているのですか?

年齢層高めの、男女どちらかというと女性が多いですね。もちろん、若い方もご覧になっているので、幅広い層に向けてお伝えしています。

――視聴率はどのように動いているのでしょうか?

番組の放送時間内ですと、起きてテレビをつける人の多い6時半頃から徐々に上がっていきますね。各局、それを意識して番組を作っていると思います。ピークは7時から7時半の間ごろ。6時台から7時台にかけての伸びが一番大きいですね。

――時間帯によって、取り扱う話題に違いはありますか?

5時台、6時台、7時台、と番組は3時間ありますので、時間帯にあわせた編成をしています。5時台に起きる人は、忙しい方が多いので、細かくニュースを網羅していくことを心がけています。6時台も、5時台のように細かくニュースを取り扱いますが、5時台とは視点を変えて、Yahoo!ニュースさんのコーナーを取り入れるなどしています。7時台は、5時、6時台に比べて時間的にゆとりがある人が増えてくるので、ニュースを深く掘り下げたり、エンタメの話題を入れたりしていますね。

――Yahoo!ニュースも、朝の通勤時間帯がアクセスのピークを迎えます。その次がお昼休みの時間帯。朝は通勤中ということもあり、スマホからのアクセスが非常に多いです。

昼休みだとやはりPCが多いのでしょうか?

――そうですね。ただ今はスマホユーザーも増えているので、スマホの割合も高いです。夕方の帰宅時間になって徐々にアクセスがまた伸びてきますが、スマホはそのままピークアウトしないんですね。夜のスキマ時間に見ている方が多いので。私達も、(そうしたユーザー行動をもとに)試行錯誤しながら運営しているところです。

「そのニュース、もう知ってるよ」と言われないために

――毎日決まった時間に情報を届けなくてはいけない状況の中で、工夫・苦労されていることはありますか?

前日夕方から翌朝にかけては、日中に比べて世の中の動きが停滞します。前日夜の状態から「ニュースが動かなくなってしまう」ことが多いので、新しい情報が入ってきにくい環境、というのが朝にニュースを届ける上で難しいところでもあります。

――前日の夜に出したストレートニュースと、同じものを出すわけにはいかないですよね。

同じものをそのまま出せば「もう知ってるよ」ということになってしまいます。そこで、朝に向けて、前日起こったニュースに何か新しい視点をいれていく、というのが悩みどころでもあり、大事なポイントですね。専門家のインタビューや、コメンテーターの視点をいれたり、取材をして詳しく深掘りしたり……と、新しい情報を入れてお届けしています。

――難解な話は視聴者が取っつきにくい、でも大事なニュースは伝えなければいけない。硬めのニュースをどう興味を持って見てもらえるか、という課題に私達も日々向き合っているのですが、普段どのような工夫をされていますか?

特に政治・経済の話題については、私達も伝えることが難しいなと感じていますね。あと私達の場合は、映像が伴わないケースもあるので、そうした時にどうわかりやすく伝えるかが難しいところです。VTRも、ダラダラとナレーションが続いて説明っぽくならないように、例えば政治の話題でしたらキーとなる政治家のコメントや話している映像を入れるなどして、なるべく視聴者が飽きないように心がけていますね。

難しい問題だからこそ、アナウンサーから「ここを知りたい」「わからない」「なぜ」という部分を立たせて、それをスタジオにいるコメンテーターに投げかけてみたりとか、こちらで専門家に事前にインタビューしてみるとか……「何がポイントなのか」をわかりやすく伝えるようにしています。

「文章とは違う魅力を伝えたい」

ここまで番組スタッフのお話をご紹介してきましたが、実際に視聴者に「届ける」最前線にいるアナウンサーは、日々どのような気持ちでカメラの前に立っているのでしょうか。田中アナに聞きました。

――コーナーを担当されて約1か月になりますが、普段のニュースを読む時と、13文字の見出しを読む時で、違いを感じることはありますか?

普段、ニュースを読む際は、「◯◯が◯◯で◯◯しました~~」というように、画面上、アナウンサーが顔出しして、短く15秒ほどでニュースの要約を伝える「リード」といわれる”振り”があるんです。一方で、このコーナーはYahoo!ニュースの「見出し」を読んでから、ニュースの中身を話す、という流れなので、なかなか普段経験できない機会だと思っています。13文字の見出しに色々な情報が凝縮されているので、だからこそ私自身も、「見出しを伝える」という気持ちで読むようにしています。

――Yahoo!ニュース トピックスの場合は、PCやスマホ上で「目でパッと見てわかりやすい見出し」を意識して作っているので、同じ見出しでも「読み上げてもらう」と、非常に新鮮に感じます。

私も、見出しの部分は本文との違いを意識して読んでいますね。カチっとよんだほうが伝わりやすくなるのかなと思い、そのように心がけています。

私、最初のころは本当に緊張していまして……見出しすら読み間違えてしまうという、大変失礼なことをしてしまったこともありました。より伝わりやすく読みたいなと思っているのですが、まだちょっと技術がともなっていないというか(苦笑)……。理想は、「かっこよく」と言うと語弊があるかもしれませんが、文章とは違う魅力を少しでも伝えられるように、読めたらいいなと思っています。

番組訪問を終えて

スタッフの方々の出勤は前日の夕方。そこから夜通し続く編集作業を経て、ひとつの番組が形になっていきます。「いつもと変わらない朝」を支える裏側への取材を終え、あらためてYahoo!ニュース責任者の有吉に聞きました。

有吉 毎朝私は朝食を食べながら「グッド!モーニング」を見ているのですが、「テレビをつけるといつもそこにある」番組の裏側で、多くの方々が情熱と緊張感を持って取り組まれていることを感じることができました。生放送中の数分単位のスケジュールの合間にセットを動かしたり、ナレーション原稿を用意する制作スタッフの方々や、直前まで読み合わせをされているアナウンサーの方々の姿を見ていると、こちらまで緊張してくるほどでした(笑)。

それに加えて、視聴者の視点に立って大切な情報を、わかりやすく届けるために、多くの細やかな工夫がされていることも知ることができました。Yahoo!ニュースも、朝の情報番組と同じように「いつもそこにある」当たり前の存在であり続けたい。今回の取材を通じて、このような気持ちを新たにしました。

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