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今回から年賀状のお年玉懸賞の最高額が現金30万円に!?法的な問題はないのかー弁護士が解説

福永活也福永法律事務所 代表弁護士
(ペイレスイメージズ/アフロ)

今年も残すところ1週間と少しとなりました。

お正月と言えば、僕が子供の頃は年賀状と年賀状についているお年玉の懸賞が楽しみでしたが、最近では年賀状を出す習慣がなくなってきており、以前は40億枚以上も発行されていた年賀状が今では半分程度に減っているようです。

それでも、年賀状をいただくと、お年玉の懸賞が当たっているかどうかはちょっとした楽しみではないでしょうか。

さて、前回(平成30年分)の年賀状のお年玉の懸賞は最高額が現金10万円でしたが、今回(平成31年分)はなんと最高額が現金30万円にまで引き上げられました。

年賀状をもらう側としてはただ楽しみが増えるだけですが、法律上、そんなに高い懸賞をつけてもいいのかと気になった人はいないでしょうか?

それは、不当景品類及び不当表示防止法(景表法)に関わることです。

つまり、景表法では、商品・サービスの質や価格面での競争は、事業者、消費者の双方にとって有益なものであることを前提に、事業者が過大景品を提供することにより消費者が過大景品に惑わされて質の良くないものや割高なものを買わされてしまうことは、消費者にとって不利益になるし、また、過大景品による競争がエスカレートすると、事業者は商品・サービスそのものでの競争に力を入れなくなり、これがまた消費者の不利益につながっていくという悪循環を生むおそれがあるという考えの下、景品類の最高額、総額等を規制することにより、一般消費者の利益を保護するとともに、過大景品による不健全な競争を防止しています(景表法第4条参照)。

そして具体的には、懸賞の金額は、本来の取引の価額の20倍を超えてはならず、さらに最高でも10万円以下としなければならないと規定されています(告示参照)。

とすると、年賀状の現在の価格は62円ですし、現金30万円の懸賞というのは景表法には反してしまっています。

しかし、年賀状については、通年で取引対象になるものではないですし、正月に限定して送りあう習慣が形成されていること等をおそらく根拠として、上記の弊害も少ないだろうということで、特別法が制定されています。

それが、お年玉付郵便葉書等に関する法律ですが、この法律では、年賀状のお年玉の懸賞については、景表法の特例として、5000倍までの懸賞が認められています(同法第1条第2項参照)。

その結果、62円の年賀状については最高で31万円までの懸賞を付すことが可能になっており、今回のような現金30万円の懸賞も許されることとなっています。

もっとも、年賀状を販売している日本郵便株式会社は今やその他の一般企業と変わらないわけですし、他の一般企業が年賀状販売に参入することになった場合には、日本郵便株式会社のみ大きな懸賞を付した年賀状を販売することは不公平ですから、この規定も見直される余地があるのかもしれません。

ちなみに、お年玉付郵便葉書等に関する法律は、懸賞が誰に支払われるものかについても規定しており、それは当該郵便物の受取人と定められていますので、通常、年賀状の宛名の人が懸賞を受領して取得することができると思われます。

ただし、会社等の組織に所属している人については、差出人も、受取人も、その組織としても、その受取人はあくまでも組織の窓口、一機関として、会社同士の交流の一環として年賀状の受取人と指定されているに過ぎない場合もあり、このようなケースでは、当該年賀状も、その懸賞も、あくまでも組織に帰属するものと評価されることもあります。

このような場合に、その年賀状が自分宛だからといって勝手に懸賞を受け取ってしまうと、その組織との関係では横領になってしまうこともありますので、念のため組織内で確認することをお勧めします。

※本事は分かりやすさを優先しているため、法律的な厳密さを欠いている部分があります。また、法律家により多少の意見の相違はあり得ます。

*参照条文

・不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)

(景品類の制限及び禁止) 第四条 内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。

・懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(昭和52年3月1日公正取引委員会告示第3号)

懸賞により提供する景品類の最高額は、懸賞に係る取引の価額の二十倍の金額(当該金額が十万円を超える場合にあっては、十万円)を超えてはならない。

・お年玉付郵便葉書等に関する法律 (昭和24年法律第224号)

(お年玉付郵便葉書等の発行)

第一条 日本郵便株式会社(以下「会社」という。)は、年始その他特別の時季の通信に併せて、くじ引によりお年玉等として金品を贈るくじ引番号付きの郵便葉書又は郵便切手(以下「お年玉付郵便葉書等」という。)を発行することができる。

2 前項の金品の単価は、同項の郵便葉書の料額印面又は同項の郵便切手に表された金額の五千倍に相当する額を超えてはならず、その総価額は、お年玉付郵便葉書等の発行総額の百分の五に相当する額を超えてはならない。

(お年玉等の交付等)

第三条 第一条第一項の金品は、同項の郵便葉書若しくは同項の郵便切手を貼り付けて料金が支払われた郵便物の受取人又はその一般承継人(同項の郵便葉書又は同項の郵便切手を貼り付けて料金が支払われた郵便物が配達されなかつたときは、その郵便葉書若しくは郵便切手の購入者又はその一般承継人)に、最寄りの会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)において支払い、又は交付する。

福永法律事務所 代表弁護士

著書【日本一稼ぐ弁護士の仕事術】Amazon書籍総合ランキング1位獲得。1980年生まれ。工業大学卒業後、バックパッカー等をしながら2年間をフリーターとして過ごした後、父の死をきっかけに勉強に目覚め、弁護士となる。現在自宅を持たず、ホテル暮らしで生活をしている。プライベートでは海外登山に挑戦しており、2018年5月には弁護士2人目となるエベレスト登頂も果たしている。MENSA会員

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