きっかけはSARS!? マスクが日本で広まった理由[2018/11/20 18:59]

 寒さが増して街にはマスク姿の人が目立ってきました。

 20日の渋谷駅前ではマスクをしている人が確認できます。一方、22年前の1996年の渋谷駅前ではマスクをしている人は0人でした。現在は冬場に4割を超える人が日常的にマスクを着用しているというデータもあります。外国人観光客が日本に来て何よりも驚くのがマスクをしている人が多いことだとも言います。では、なぜマスク文化が日本人の間に爆発的に広がったのでしょうか。日本のマスクの歴史は古く、明治時代までさかのぼります。最初は工場用マスクとして粉じんを防ぐために利用が始まりましたが、1918年のスペイン風邪の大流行をきっかけとして一般にも普及するようになりました。当時、国が配布したポスターには黒いマスクを着用した紳士と婦人が描かれていて、「恐るべし!ハヤリカゼのバイキン!」「マスクをかけぬ命知らず!」と書かれています。当時の黒いマスクは、裏側には糸状の金属が取り付けられていました。この金属のフィルターを通すことで汚れた空気をきれいにする仕組みだったといいます。値段は30銭。現在の価値でいうと3000円以上する高級マスクでした。
 一方、マスク着用の習慣が一般化したのは2000年以降だと言われています。花粉症の流行に加えて2002年には新型肺炎のSARS(重症急性呼吸器症候群)が世界的に大流行。空気感染の予防意識が一気に高まりました。使い捨てマスクと言われるフィルター性能が高い「不織布マスク」の普及も普段での着用に拍車を掛けました。2010年度以降はマスクの生産量が右肩上がりになっています。2017年度の生産量は約41億枚。2010年度と比べると約14倍となっています。その背景にあるのが「伊達マスク」です。感染対策以外でも日常的にマスクを着用することが若者を中心に流行っています。伊達マスクする理由として3番目に多かったのが「安心感があるから」。2番目に多かったのが「スッピンでも気にしなくていい」との声でした。伊達マスクをする理由として1番多かったのは「暖かいから」でした。やはり伊達マスクをすることで顔をカバーできることへのメリットを感じている人が多いようです。ただ、この伊達マスクをしている人に対して一部の人からは不満の声も上がっています。新橋で話を聞いた60代の男性は「会議中にマスクをしたまましゃべるのは失礼じゃないか」と語っていました。30代の女性も「TPOはあると思う。風邪じゃないならマスクを外して話してほしい」と言います。
 さて、冬場の必需品になってきたマスクですが、専門家の池袋大谷クリニックの大谷義夫院長は間違った使い方をしているケースが数多くあると指摘します。例えばマスクの「使い回し」です。「外したものを再び、着用するとウイルスが口や鼻に付着する可能性がある」と語ります。マスクの捨て方も重要です。帰宅した際にマスクを外して玄関にそのまま放置する人もいるかもしれませんが、これも「絶対にNG」だと指摘します。放置されたマスクが接触した場所からウイルスが広がる恐れがあり、マスクを拾った家族も接触感染するリスクが高まると言います。そして意外と重要なのがマスクの裏表です。目印となるのが鼻に当てる針金の部分です。この針金が見える方が外側となります。そしてゴムひもが接着している面が多くのマスクで内側となります。この裏表を間違うと隙間ができてウイルスが入ってきやすい場合があるのでよく注意しましょう。

こちらも読まれています