英国では毎年40,000人にものぼる10代の少女たちが妊娠しています。これは西ヨーロッパ諸国では最も高い数字。大きな社会問題として英政府もこの状況に頭を痛めており、2004年からは「Young People’s Development Programme」(YPDP)と呼ばれる性教育プログラムを開始しました。

これは、ソーシャルワーカーや医療関係者が「生活状況から妊娠のリスクが高い」とみなす少女がいた場合に、この教育プログラムに推薦して、避妊の方法などを教えるというもの。今までに合計2,000人以上の少女が参加し、1人当たり2,500ポンド(日本円で約340,000円)も費やしたと言いますから、政府側も深刻にこの問題を解決しようと努力していたことがうかがえます。

ところがこのプログラム、当初の思惑とは反対の成果を招いてしまうという、皮肉な結果となってしまいました。先日発表された統計によると、YPDPの教育を受けた少女たちと、ほかの性教育プログラムに参加した少女たちを比べると、なんとYPDP卒業の少女たちの方が妊娠の確率が高くなっていたそう。YPDP受講組は16%が妊娠し、ほかのプログラム受講組は6%に留まっていたのです。

その原因は、避妊教育をしたことで、逆に性に対する関心を招いてしまったと分析されています。総額6,000,000ポンド(日本円にして約9億円)もかけて実施したプログラムなのに、なんとも残念な結果に……。

この結果を踏まえ、英政府はYPDPの中止を発表。今後どのような方法で少女たちの妊娠を防いで行くのか。政府の対策はまたゼロからの再出発を余儀なくされています。