世界最古の生きた樹木、スウェーデンで発見

2008.04.14
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写真の樹木は、幹は600年足らずに過ぎないが、根は9550年前までさかのぼり、世界最古の生きている樹木として知られている。 ヨーロッパではクリスマスツリーとして広く使われているドイツトウヒという種であり、2004年スウェーデンの山中で見つかった。

Photograph courtesy of Leif Kullman at Umea University's Department of Ecology and Environmental Science
 世界最古の生きた樹木がスウェーデンで発見された。この針葉樹が最初に根を下ろしたのは、なんと最後の氷河期の終わりごろだという。 スウェーデンのウメオ大学生態環境科学学部、リーフ・クルマン教授のチームによると、この高さ4メートルの樹木のうち、外から見える部分は古代のものではないが、根系は9550年間にわたって成長してきたという。この木はドイツトウヒという樹種で、ヨーロッパの家庭でクリスマスの飾り付けに伝統的に使われてきたものだ。

 研究者たちは、ダラルナ州の標高910メートル、低木の多い山の中で生き残った樹を発見した。驚くべき長寿の主な理由は、この樹に自分自身を複製する能力があるということだ。幹の部分の寿命は約600年だが、「幹が死んでしまうとすぐに、同じ根元から新しい幹が生えてくる。そのため非常に寿命が長くなった」とクルマン氏は説明する。

 世界最古の生きた樹木としては、米国西部の「ヒッコリーマツ」が一般的に知られている。カリフォルニア州ホワイトマウンテンにあり、世界最高齢の樹の記録を持つこの樹の年齢は約5000年。樹齢は幹の中で毎年形成される年輪をもとに測定された。

 しかし、今回のドイツトウヒの場合は、根に対して、放射性炭素年代測定法が使用された。研究チームはスウェーデン国内のほかの古いトウヒも調べたが、樹齢は5000~6000年だった。「スウェーデンで9550年前より古い樹が存在することは不可能だろう。約1万1000年前の最後の氷河期の終わりごろまで、スウェーデンは氷床に覆われていたからだ」とクルマン氏は述べた。

Photograph courtesy of Leif Kullman at Umea University's Department of Ecology and Environmental Science

文=James Owen in Stockholm, Sweden

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