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簡単に学習が完了しAIが衝突回避、ソフトバンクが業務用フロア掃除ロボットを開発

 ソフトバンクロボティクスとソフトバンクは、オフィスなど業務フロア向けのバキューム掃除ロボット「Whiz」(ウィズ)を開発した。2019年3月から提供を開始する。申し込み受付は2019年2月から。価格は月額2万5000円(税抜)で60カ月のレンタルプラン。

「Whiz」
「Whiz」を発表するソフトバンクロボティクス 代表取締役社長 兼 CEOの冨澤文秀氏

 「Whiz」は、「Pepper」に続くソフトバンクのロボット第2弾と位置づける製品。最大の特徴は、最初に手押しで清掃エリアを一回りするだけで地図データを作成でき、特別な技能なしに清掃エリアの学習(ティーチング)をさせられる点。加えて自動運転時には、ティーチング時にはなかった荷物などの障害物や出現した人をセンサーとAIが検知し、止まったり迂回したりしながら清掃を行う。

 4G LTEに対応しており、データはクラウドにすべてアップロードされる。掃除に関するデータや設定はスマートフォンやPCから行え、紙パックの交換時期、バッテリー残量、掃除結果といった情報を確認できる。

 搭載されるセンサーと安全機能は、LiDARセンサーと3Dカメラによる「障害物検知」や「落下防止」(階段など)、センサー搭載バンパーによる「衝撃検知」、段差センサーや車輪浮き検知検知センサー、異常時ブレーキ機能による「異常検知」。

 数センチ単位という壁際まで掃除でき、日本の物件に合うよう既存モデルよりボディが小型化されている。

 最高速度は時速約2.5km。バッテリー駆動時間はノーマルモードで3時間、パワーモードで2時間。ノーマルモードの1時間で約500平方メートル、1回の充電で稼働できる3時間で最大約1500平方メートルをカバーする。充電時間は約5時間。集じん容積は約4リットルで、紙パックの交換式。

 大きさは約455×474×653mmで、ハンドル引き伸ばし時の全高は約1000mm。重さは約32kg(バッテリー含む)。バッテリーは約25Ah、25.2Vのリチウムイオンバッテリーで、重さは約5kg。

 レンタルプランの料金には、故障時のメンテナンス費用などが含まれる。紙パックやブラシ劣化時の交換など消耗品は別途費用がかかる。今回発表のモデルは乾式で、基本的にオフィスなどのカーペットフロア向け。湿式については今後検討される。

 「Whiz」の企画はソフトバンクロボティクスがゼロから手がけたものとし、清掃エリアに関する地図データの作成や自動運転技術、AIは、Brain Corp.と協力し「BrainOS」を搭載することで実現した。製造は、すでに提供している「RS26」などと同じ、中国のICEが担当する。

掃除以外にも応用を検討

 11月19日には都内で記者向けに発表会が開催された。ソフトバンクロボティクス 代表取締役社長 兼 CEOの冨澤文秀氏は、(近年アピールしている)「郡戦略の初めてのアウトプットになるかもしれない」と、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資したBrain Corp.との共同開発であることを紹介。障害物を避けて通れることで、今後は配膳などさまざまな分野にも応用できる可能性があると語った。

冨澤氏(左)とBrain Corp.のCo-founder兼CEOのDr.Eugene M. Izhikevich氏(右)
BrainOSの汎用性の高さを証明したと語った

 ソフトバンクロボティクス CBO 事業推進本部 本部長の吉田健一氏は、労働人口が急速に減少しており、特に清掃業では平均年齢が50歳になるなど、人手不足が深刻であることを紹介し、オフィスの清掃では床清掃を「Whiz」に置き換えれば、人手不足の解決やコスト削減につながることを示した。対象となる施設は、オフィス、飲食店、ホテル、集合住宅、介護施設、大学などとしている。また吉田氏は、労働人口減少などの“課題先進国”という状況を逆に捉え、「ロボット化を進めて、先進国に広めていけばいいのではないか」と語っている。

ソフトバンクロボティクス CBO 事業推進本部 本部長の吉田健一氏
発表会にはゲストとして河北麻友子が登場、掃除開始ボタンを押すデモも
掃除デモが始まるとチョコレートプラネットの二人が突如ステージに。しかし「Whiz」はセンサーやAIで衝突を回避