伊集院光、師匠・円楽の前で30年ぶり高座復帰「青春時代の宿題だった」

スポーツ報知
伊集院光(左)の落語復帰を喜ぶ三遊亭円楽

 タレント・伊集院光(53)が13日、東京・有楽町よみうりホールで行われた「三遊亭円楽・伊集院光 二人会」に出演。落語の師匠の三遊亭円楽(71)とともに高座を務めた。伊集院は17歳で円楽(当時・楽太郎)に入門し「三遊亭楽大(らくだい)」として活動していたが、ラジオ番組でのブレイクをきっかけに90年に落語から離れていた。約30年ぶりに落語を披露し「ドキドキワクワクは久しぶり」と語った。

 2人はオープニングトークで登場。円楽は会場を見回し「こんなにだまされた人がいる。悪夢の時間になるかも…」と笑わせた。昼の部で伊集院は自身のギャグをたっぷり入れた「厩(うまや)火事」を口演し爆笑をさらうと、トリでは円楽が桂米朝作の人情噺(はなし)「一文笛」をたっぷり演じ、涙を誘った。

 昨年、伊集院がパーソナリティーを務めるTBSラジオ「伊集院光とらじおと」に円楽がゲスト出演した際に、提案し実現。発売と同時に完売するプラチナチケットとなった。

 終演後に取材に応じた伊集院は「ドキドキワクワクは久しぶりだった。じかに拍手をもらうのはいいもんだと思った」と久しぶりの感覚に笑顔を見せた。さらに「53歳になって、30年前の青春時代の積み残しというか宿題みたいなものだった。うまくできたか分からないけれど、(落語家の活動を)履歴書の黒い線で消さなくてもいいことなんだなと分かった」と感慨深げに語った。

 当時、「楽大」として二ツ目だった伊集院は、元兄弟子の誘いで参加したオーディションで優勝し、「伊集院光」として内緒で活動していたことが、一門の中で問題となった。責任を取り伊集院は落語から離れたが、師匠・円楽は最後までかばってくれたという。

 けんかする夫婦の絆を描いた「厩火事」を選んだことに「僕個人が好きだった噺。モテない10代の頃には分からなかった噺だけど、かみさんをもらってから分かったことを入れてみた」と伊集院が語ると、円楽は「芸は一回離れて分かることもある。それも30年だから」と弟子の心境をおもんぱかった。

 舞台袖で伊集院の落語を聴いた円楽は「タレントとしてラジオパーソナリティーとして人前でしゃべって、そのまま落語の規格の中に入った。その辺の噺家よりもウマイよ。良くやってくれた。面白いよ。よくぞここまで大きくなった」と太鼓判。さらに「秋にもう一回やろう。地方を回るのもいいな」と今後のプランをぶち上げた。

 突然の申し出に戸惑い気味だった伊集院も「『ハイッ』って言うしかない」と語ると笑顔に。円楽は「伊集院の“馬鹿力”で落語をショーアップしていきたい」と弟子のラジオ番組に引っかけて師弟で歩む夢も語った。

◆円楽長男・一太郎6年ぶり落語

 二人会は昼夜2公演行われた。昼はナイツ、夜は爆笑問題と豪華ゲストも出演。昼の開口一番は円楽の長男で声優・会一太郎としても活躍する三遊亭一太郎(33)が登場し、「6年ぶりの落語です」と「元犬」を口演。夜は昨年4月に真打ちに昇進し伊集院から名前を継いだ“2代目”三遊亭楽大(40)が出演した。夜の部は伊集院がトリで「死神」を口演した。

 ◆伊集院 光(いじゅういん・ひかる)本名・篠岡健。1967年11月7日、東京・荒川区生まれ。84年、17歳で三遊亭楽太郎(現・円楽)に入門し楽大。88年に二ツ目に昇進し、同年のNHK新人落語コンクールの本戦に出場したが、落語は休業。「伊集院光」としてニッポン放送「Oh!デカナイト」で人気を博し、現在はTBSラジオ「深夜の馬鹿力」「伊集院光とらじおと」などで活躍。

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