嘉風引退 右膝回復せず…年寄「中村」襲名 真っ向勝負貫いた土俵人生に幕

スポーツ報知
引退届を提出した嘉風

 大相撲の関取最年長37歳で元関脇の西十両7枚目・嘉風(尾車)が秋場所5日目の12日、日本相撲協会に引退届を提出した。今年6月に右膝を負傷。7月の名古屋場所を全休し、その後も懸命のリハビリを続けていたが、秋場所初日には「右膝前、後十字靱帯(じんたい)損傷、右膝後外側支持機構損傷、右腓骨(ひこつ)神経麻痺(まひ)」の診断書を提出して休場し、九州場所では幕下に陥落することが確実となっていた。今後は年寄「中村」を襲名し、尾車部屋付き親方として後進を指導する。

 気っぷのいい相撲で土俵を沸かせてきた人気力士が、約15年半の土俵人生に別れを告げる決断をした。嘉風は今年6月、故郷でもある大分・佐伯市で行われた合宿期間中に右膝を痛めて緊急手術を受けた。東前頭11枚目で迎えた直後の名古屋場所は全休となり、秋場所は07年の夏場所以来、12年ぶりの十両転落となった。

 その後も、必死のリハビリを繰り返してきたが、復帰の道はあまりにも険しかった。西十両7枚目の秋場所も初日に休場届を提出。令和元年の最後となる九州場所は幕下に転落することが確実となり、引退を決めた。

 力士の大型化が進む中、177センチ、148キロの体で、相撲に対する真摯(しんし)な姿勢を貫き、関脇まで上り詰めた角界きっての人気力士。持ち味は立ち合いからの真っ向勝負だった。横綱、大関、どんな相手でも臆することなく懐に飛び込んで、左差しからの右のおっつけで前に出る激しい相撲が魅力。だからこそ、好角家だけではなく、女性や子供たちからも熱烈な支持を受け、嘉風の取組後には大きな拍手と、すがすがしい雰囲気が会場を包んだ。「ファンの喜ぶ相撲を取る」が信条。勝っても負けても見ている人の心に響く、正々堂々を貫いた土俵人生だった。

 ◆嘉風 雅継(よしかぜ まさつぐ) ▽生まれとサイズ 1982年3月19日、大分県。37歳。本名は大西雅継。177センチ、148キロ ▽出身校 日体大2年時にはアマ横綱を獲得。 ▽初土俵 尾車部屋から2004年初場所 ▽新入幕 06年初場所 ▽最高位 関脇 ▽通算成績 649勝642敗25休。通算1288回出場(現役5位、不戦勝含まず) ▽幕内在位 79場所(現役3位) ▽三賞 殊勲2、敢闘4、技能4(計10回は現役3位タイ) ▽金星 8個(現役1位タイ)。18年初場所で横綱・白鵬(4日目)、稀勢の里(5日目)を下し、通算2度目の2日連続金星は戦後初の快挙 ▽得意技 突き、押し ▽スポーツ歴 相撲、水泳 ▽家族 妻と1男1女 

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