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2023/2/23 6:30

倉野尾成美「熊本にいる家族の存在は大きい。今でも実家に帰るたびにすべての力が抜ける安心できる場所」映画『いちばん逢いたいひと』

白血病を克服した少女とそのドナーになった男の数奇な運命を描いた感動のヒューマンドラマ『いちばん逢いたいひと』が、2月24日(金)より公開。本作でヒロイン・楓を演じる、AKB48の倉野尾成美さんが、初主演を務めた現場でのエピソードのほか、趣味である映画鑑賞などについて語ってくれました。

 

倉野尾成美●くらのお・なるみ…2000年11月8日生まれ。熊本県出身。AKB48チーム8熊本県代表、およびAKB48チーム4のキャプテン。愛称は「なる」。2014年、AKB48チーム8熊本県代表に。主な出演作に『劇場版 仮面ライダー エグゼイド トゥルー・エンディング』、ドラマ『マジムリ学園』、『イミテーションラブ』がある。TwitterInstagramAKB48公式サイト

 

【倉野尾成美さん撮り下ろし写真】

「恋チュン」ダンスで皆さんの自然な笑顔が引き出せたんじゃないかなと

──初主演映画となる本作の出演経緯について教えてください。

 

倉野尾 今回はオーディションや面接ではなく、ありがたいことに直接お話をいただいたんです。主演ということに驚きつつ、ほかの(AKB48)メンバーがいないので、「自分一人でできるかな?」という気持ちと「映像のお仕事をやりたい!」という気持ちでいっぱいでした。

 

──脚本を読んだときの感想は?

 

倉野尾 「生命の大切さ」を扱ったメッセージ性の強い作品ということもあり、最初に台本を読んだときは涙が出そうになるぐらい感動しました。あと、心に刺さるセリフがいっぱいあったのも印象的でしたし、そこを上手に伝えることができたらいいな、と思いました。

 

──今回演じられた楓の役作りについては?

 

倉野尾 私は白血病を乗り越えた後の楓を演じたので、前向きで元気でかっこいい部分を心がけました。ただ、台本読みのときに、子ども時代の楓を演じる田中千空ちゃんに会って、彼女の心に響くお芝居や熱量を目の当たりにしたんです。演技経験が私よりあるので、それには大きな刺激を受けましたし、より「楓という役を繋げられるよう頑張ろう」と思いました。

 

──倉野尾さんの登場シーンでは「恋するフォーチュンクッキー」のダンスもされていますね?

 

倉野尾 そのシーンではその日に出会ったばかりの地元の学生の方と一緒だったんですが、皆さん、緊張されているなか、仲がいい雰囲気を出さなきゃいけなかったんです。それで、監督と一緒に「みんなで、文化祭で踊るダンスの稽古をしている」という裏設定みたいなことを考えて、そこで「恋チュン」ダンスに頼ろうと(笑)。皆さんの自然な笑顔が引き出せたんじゃないかなと思います。

 

『ONE PIECE』好きを封印して演じましたが、ときどき「ルフィやん!」と

──楓の母役の高島礼子さんとの共演はいかがでしたか?

 

倉野尾 高島さんは大女優のオーラみたいなものがすごくて。そんな方とカメラが回ったら親子にならなきゃいけないので、さらに緊張してしまって。でも、ずっと「こんな経験って、なかなかないな……」と思いながら共演させていただきました。とても優しい方で、撮影の合間に「ちょっと大島優子ちゃんに似てるよね?」と声を掛けてくださったことも嬉しかったです。

 

──楓の旅先のシーンでは、倉野尾さんが大好きな『ONE PIECE』のルフィの声優でおなじみの田中真弓さんとも共演されています。

 

倉野尾 私情ではありますが、全くの偶然なんです。いただいた台本にあった田中さんの名前を最初に見たとき、「もしかして同姓同名の女優さん?」と検索しちゃったぐらいですから(笑)。撮影中は『ONE PIECE』好きを封印して演じましたが、ときどき「ルフィやん!」と思うこともありましたし、田中さんから「映像系のお仕事は慣れてないから、いろいろ教えてね」と言われたときは、高島さんとは違う意味のドキドキでした。そして共演シーンが終わった後には、マネージャーさんを通してサインもいただきました。家宝として、部屋に飾っています!

 

瀬戸内への旅は楓と同じようにずっとワクワクした気持ちでいっぱい

──劇中には瀬戸内のきれいな景色が出てきます。ロケでの思い出は?

 

倉野尾 楓が一人旅をしているシーンで、自分でもなかなか行けない場所を旅しているみたいな気分になり、楓と同じようにずっとワクワクした気持ちでいっぱいでした。私自身、一人旅をしたことがなくて、(AKB48に入りたての)中学生の頃に熊本から東京に通っていたぐらいで。……ということは、あれも一人旅なのかな?(笑) 今回はコロナ禍での撮影だったので、府中焼き(広島お好み焼きのひき肉版)をテイクアウトした程度で、お店には一度も行けなくてグルメを楽しむことができず残念だったんです。今度改めて、ゆっくり行きたいなぁと思っています。

 

──完成した作品を観たときの感想は?

 

倉野尾 幼少時代の楓を演じた田中千空ちゃんがしっかり演じてくれたからこそ、自分が出ているシーンにより意味を見いだすことができると思いましたし、コミカルなシーンも楽しくて、いろんな感情を持てる映画になったと思いました。あと、順撮りではなかったので、シーンごとに気持ちを変えることが大変でしたが、それが1つの作品として繋がったときの感動がありました。私自身、ずっと緊張していたので、主演としての立ち居振る舞いはできなかったかもしれませんが、楓と同じように、私もいろんな人たちに支えられて、この作品に携わることができてよかったです。

 

いちばん多いのはやっぱり『ONE PIECE FILM RED』ですね(笑)

──作品に関連して、倉野尾さんの支えになっている方はいらっしゃいますか?

 

倉野尾 熊本にいる家族の存在は大きいですね。今でも実家に帰るたびにすべての力が抜けるというか、とにかく安心して過ごせる場所です。いちばんぐっすり眠れる場所でもあります。あと、最寄り駅から実家までの車の中で、家族に仕事のことや自分が思っていることなどを話す時間が大好きなんです。でも、それは自分から一方的に話しかけるだけで、実家に着いたらほとんど話さないという(笑)。そんな大切な時間によって、気持ちがリセットされる気がするんですよ。

 

──倉野尾さんが集めているモノを教えてください。

 

倉野尾 映画館の半券です。中高生の頃はホテルでの生活が多くて、「今日の仕事は昼まで」「翌日の仕事は夕方から」というように時間があるわりには、その使い方が分からなかったんです。そんなとき、スタッフさんから「映画を観に行ってみたら?」と言われたのが、ハマったきっかけです。最初は手探りに、1日に2、3本を観ていていたのですが、そこから自分の好きなジャンルを見つけたりして、さらに楽しくなりました。映画館が自分にとって安心できる場所にもなっていますし、『流浪の月』みたいな作品を観て、帰り道に余韻に浸るのも好きなんです。『劇場版 私立バカレア高校』からファイリングしています。いちばん多いのはやっぱり『ONE PIECE FILM RED』ですね(笑)。

↑映画のほかに、舞台の半券などを大切に保存しているファイル

 

↑ファイリングの最初の作品は映画「私立バカレア高校」

 

 

(c)TT Global

いちばん逢いたいひと

2月17日(金)より福山駅前シネマモードにて先行公開
2月24日(金)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

 

【映画「いちばん逢いたいひと」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本:丈
出演:倉野尾成美(AKB48)
三浦浩一、不破万作、田中真弓、大森ヒロシ、丈、崔哲浩、
中村玉緒(特別出演)、高島礼子

(STORY)
11歳の女の子・楓(田中千空)は、ある日突然授業中に倒れてしまい、「急性骨髄性白血病」と診断される。幼い楓にとって、抗がん剤治療や放射線治療は過酷でしかなかったが、隣のベッドで同じ病気と闘っている与志(海津陽)だけが唯一の心の支えだった。

同じ頃、IT企業を経営する柳井健吾(崔哲浩)は最愛の娘を白血病で亡くしてしまう。経営者の健吾は仕事を優先せざるを得なかったが、娘を失ったことで、幸せだと思っていた家庭は崩壊へと向かってしまう。全てを失ってしまった健吾にとって、今や一通の手紙でのみ交流があった、見知らぬ女の子の骨髄ドナーになれたことだけが人生で唯一の誇れることだった。

かけがえのない人を失いながら、それでも懸命に生きていこうとする一人の男と大人になった一人の少女(倉野尾成美)。 異なる人生を歩みながら探し求めた、それぞれの「いちばん逢いたいひと」とは……。

(c)TT Global

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/神宮 好(オサレカンパニー) スタイリスト/松本沙也加(オサレカンパニー)