2021.09.12

多くの人が知らない…230種類もいる「鳴く虫」が秋の夜に“美しい音色”を奏でる「本当の理由」

ダーウィンが来た! プロフィール

まずは、童謡「虫の声」で有名な「チンチロリン」という鳴き声が特徴のマツムシです。大きさはわずか2センチほどしかありません。「マツムシ」の名前は、平安時代の「枕草子」や「源氏物語」にも登場していて、古くから日本人の心をとりこにしてきました。

童謡で有名な“ガラスの音色”のマツムシ/NHK提供
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続いては「ルルルルル〜」という低い鳴き声が特徴的な「カンタン」です。葉っぱの隙間で、優しくて、儚い音色を響かせます。

カンタン/NHK提供
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スズムシの鳴き声の秘密は羽にあり

次に私たちが見つけたのは、美しい鳴き声が愛され続けている「鳴く虫の王様」スズムシです。

鳴く虫の王様・スズムシはハート型の羽が特徴/NHK提供
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「リーン、リーン」という澄み切った音色は繊細ながら凛とした強さが感じられます。スズムシが出す美しい音の秘密は、背中の大きな羽に隠されています。

赤矢印の棒状の箇所が「コスリ器」、黄矢印の長い曲線が「ヤスリ器」/NHK提供
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スズムシは左右の羽をこすり合わせることで、音を出しています。羽の裏側をよく拡大して見てみると、右の羽には細かい凹凸が一列に並んでいて、ヤスリのように見えることから「ヤスリ器」と呼ばれています(図の黄色矢印の部分)。

一方、左の羽には棒状の硬い「コスリ器」があり(図の赤矢印の部分)、スズムシはコスリ器でヤスリ器を素早くこすることで、音を出しているのです。1秒間におよそ60回もこすりあわせることによって生み出される音の高さは4.5キロヘルツ。これは、1秒間に4500回もの振動が発生していることを意味します。そのため、高く澄んだ音色が生み出されているのです。

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