2021.06.23
# SNS

SNSの「バカ」「死ね」「大嫌い」は罪に問えるのか?弁護士に聞いた「批判」と「誹謗中傷」の違い

「死ね」「大嫌い」「バカじゃないの?」

ネットを開けば、こんな批判的な言葉を目にすることがあります。また親の目の届かない子どもの世界でも、SNSなどを通してネットいじめという形で、大人の世界顔負けの誹謗中傷が起きるケースもあるでしょう。

Photo by iStock

近年ではいきすぎた誹謗中傷に耐えかねた有名人が命を落とす事件もあり、社会問題として改めて注目が集まっています。

人は匿名性が高い場所ほど、受け手の気持ちといったものに無頓着になり、言葉に対して無責任になりがちです。また発言する私たち一人ひとりが、実は誹謗中傷という行為に対して、「これはダメ」という正しい判断軸を持っていないという問題もあります。

「『死ね』とか『殺す』とか過激な言葉を使わなければ、それはただの個人の意見では?」
「言論の自由を押さえつけるのか?!」

といった考えのもと、SNSなどで強い言葉をむやみやたらとぶつけている人もいるのではないでしょうか。

今回はこうしたインターネット上の誹謗中傷について、正しい判断軸を私達一人ひとりが持てるようになるため、『ノースブルー総合法律事務所』の國安耕太弁護士にお話をうかがいました。

 

SNSの誹謗中傷、一体どんな罪になる?

SNSの誹謗中傷や関連したニュースに対して、よく「訴えればいいのに」と言う人がいます。しかし、訴えると一言で言っても、そもそもこうした強い言葉について法的責任を問うことができるのでしょうか。

「まず、法的責任は、刑事責任と民事責任に分かれています。詳細は省きますが、ネット上の批判や誹謗中傷に関しては、刑事罰を負うか否か(刑事責任)、損害賠償義務を負うか否か(民事責任)、をそれぞれ検討する必要があります。また、民事で裁判所に「訴える」ことはできますが、刑事で裁判所に「訴える」ことはできません。刑事責任の追及は、検察官の専権だからです」

「そのうえで、ネット上の批判や誹謗中傷は、『脅迫罪』『恐喝罪』『名誉毀損罪』『侮辱罪』『信用毀損罪』また会社や自営業者へなら『業務妨害罪』などの罪に問われる可能性があります(刑事責任)。また、内容や態様によって損害賠償義務を負うことも考えられます(民事責任)。ただ、一言で誹謗中傷といっても、一般の方と法律家とでは解釈が異なることがあります。一般の方が思う『訴えればいいのに』といったケースは、実際は法的責任を問えない場合も多いです」
(國安先生、以下但し書きのない「 」内の発言も同様)

「誹謗中傷に関する法的責任」と一言でいっても、こんなに種類があるとは正直驚きます。ただ、もっとも多い事案は、やはり多くの方がイメージする『名誉毀損』だそうです。そして、この名誉毀損に該当するかの要件は、厳格に決められているといいます。

SPONSORED