全国紙でも進む「リストラ・支局統廃合」新聞記者の苦悩と見えぬ未来

生き残りの道はあるのか?

新聞離れが止まらない。少子高齢化による購読者数の減少を背景に、全国紙では配送網が縮小され、地方紙も夕刊の廃止が相次いでいる。一方、地方紙の中にはこれまでの地域住民とのつながりを生かし、生き残りを図ろうとする動きも出てきた。今、新聞を取り巻く状況はまさにサバイバルと化している。

 

1年で1社分の部数が「消えていく」

「今や産経新聞が『最先端』なんですよ」――。

ある全国紙記者は、同紙が2020年内をめどに販売網を首都圏と関西圏などに限定し、「全国紙の看板を下ろす」ことをこう嘆く。

日本ABC協会による2019年1~6月期の月平均の全国販売部数(朝刊)によると、順位別に読売新聞が約810万部、朝日新聞が約560万部、毎日新聞が約240万部、日経新聞が約230万部、産経新聞が約140万部となっている。産経新聞は他の全国紙に大きく水をあけられ、経営資源を集中する必要があった。

さらに、エリア別の部数も首都圏と関西圏に全体の約9割が集中しており、今回の販売網の縮小は、経営の観点からは「合理的」と言える。先の全国紙記者はこう解説する。

「産経新聞の今回の判断は、『〈読者に質の高い情報を届ける〉という報道機関の〈プライド〉だけでは、もう商売できない』ということを新聞業界に改めて知らしめることになりました。いくら編集側がいい記事を作ろうともがいても、新聞の主な購読者層が60代以上となった今、高齢者の人口減が著しい地方の市場縮小という構造変化には勝てませんからね。

産経は四国でも支局を閉鎖するなど拠点の統廃合を進めていますし、今年から主に50歳代のリストラを始め、社員の1割をめどに人員削減を進めています。2019年3月期決算短信を見てみると、土地や建物など固定資産を売却して早期退職手当金の原資を捻出しており、経営のスリム化を着実に進めざるをえない状況がよくわかります」

日本新聞協会によると、全国紙の朝刊単独での年間合計部数は、2017年から18年までの1年間で約150万部減少している。

「新聞社側が販売店に本来必要な部数よりも多めに売りつける『押し紙』分とされる約3割を引くと、産経が約90万部、毎日が170万部となり、1年ごとに産経新聞か毎日新聞が1社ずつ消えていくのと同じ」(先の全国紙記者)

部数減少の波に、企業体力のない新聞社から順から飲み込まれていくということだ。

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