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日本eスポーツ界に画期的な進展! 日本eスポーツ連合の報告会が開催

プロアマ問わず「景表法および刑法に違反せず」。次の課題は練習施設の風適法適用に

9月12日開催

会場:e-SportsX REDステージ

 東京ゲームショウ初日の9月12日、日本のeスポーツを牽引する団体である日本eスポーツ連合(JeSU)からついに画期的な発表が行なわれた。

 主題は日本のeスポーツ界にとって目下、重要な課題だったeスポーツ大会に対する法規制について。JeSU設立以前から続けられてきたという経済産業省をはじめとした関係各省庁との協議および、法律事務所との調整、JeSU内部での議論・検証を経て、現時点における具体的な成果が初めて公表された。

【2019年度JeSU活動報告&発表会】
活動報告を行なうJeSU会長の岡村秀樹氏

 発表内容は、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)および、刑法について、ノーアクションレターの提出および回答の受領、関係省庁へのヒアリングを行なった結果、賞金の提供先をプロライセンス選手に限定した大会、そしてプロライセンス選手に限定しない大会の両方において、一定の基準を満たすことでいずれも法律に違反せずに大会が実施でき、賞金を授与できると判断されたことが明らかにされた。

【eスポーツの法規制への取り組みについて】

 まず景品表示法については、eスポーツの競技種目が、メーカーが開発・販売した商品であることから、賞品の宣伝・広告に関する規制、つまり景品表示法の対象になるとされてきた。このため、有料で販売されているパッケージ商品や、課金額によって強さが変わるタイトルについては、賞金額の最大が10万円を超えられないのではないか懸念が指摘されてきた。このため各メーカーは、景品表示法上の金額の上限規制を避けるために、eスポーツ専用の無料タイトルを別途用意する、あるいは課金額がユーザーの強さにまったく影響を与えないようにゲームデザインを変更することで対応してきた。ただ、いずれのケースでも、法律上の整理は明確になされていなかった。

 そこでJeSUは、eスポーツ興行の柱となる賞金制大会について、開催における適法性を確保し、JeSUの指導のもとで、個人/コミュニティ/企業などが気軽に公認大会を開催できるようにするために消費者庁に対してノーアクションレターを8月5日付けで提出し、9月3日、その回答が得られた。

 回答の骨子は、賞金の提供先がプロライセンス選手かそうでないかに関わらず、JeSUが公認するか、所定の審査基準に基づいて大会運営団体から審査を受け、参加資格の承認を受けた大会においては、これらの参加者に対する賞金の提供は、「“仕事の報酬等”の提供と認められ、景品表示法には違反しない」という回答が得られた。

【景品表示法】

 その一方で、興行的性質が認められないイベント・大会において、参加者の実力・ゲームプレイの魅力に相応しない高額な賞金を提供して、もっぱらゲームの販促活動のために賞金を提供するような場合には、個別判断によるものの、当該賞金提供が「仕事の報酬等」の提供であるとは認められない可能性がある点に留意する必要がある、とも回答されており、当然のことながらeスポーツと名が付けば何でも景表法の規制を避けられるわけではない。

 もうひとつの刑法については、競技の参加者から一定の参加料を徴収した上で、その総額の一部を賞金として提供する形式の大会において、「賭博行為に該当するのではないか」という指摘を受けてきた。つまり、参加者からテラ銭を集めて、勝ったものにその一部を渡し、胴元が丸儲けする、「それは賭博そのものではないか」というわけだ。

 eスポーツ関係者が聞けば憤懣やるかたない気持ちにさせられるような暴論だが、JeSUはこの点についても粘り強く議論を重ね、運営サイドの献身的な努力、運営費用の多大さを説明しながら、関係省庁へのヒアリングを重ねた結果、一定の条件を満たせば、大会参加者は選手から参加料の徴収は認められるという結論に至ったという。

【刑法賭博罪】

 その一定の条件とは賞金・賞品が、参加者や主催者以外の第三者(スポンサー)から提供されること。その参加費は会場費やスタッフの活動費など大会運営費用のみに充当され、賞金・賞品には充当されないことの2点を挙げている。

 さらにJeSUでは、2つの条件を明確化するために、参加費と賞金をプールする口座を分ける、あるいは賞金等を第三者(スポンサー)から直接授与されることなどを提案している。また、ゲームタイトルによっては、メーカー側が参加料を取ることを認めていないケースがあるため、そこは別途メーカーに許諾を取る際に確認する必要があるとしている。

 最後に今後の取り組みについては、景表法と刑法の賭博罪については一定の解決が見られたことから、今後は残る法的課題である風適法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)について取り組んで行くとしている。

【風適法】

 この風適法の課題とは、eスポーツの練習施設として、eスポーツ施設を商業展開する際、ゲームセンターと同等の扱いを受ける可能性を指す。すなわち、現時点では、eスポーツ練習施設は、ゲームセンターと同様に営業時間や年齢制限などの規制に従わなければ違法と取られる可能性がある。岡本氏は、この風適法の課題について、どのような着地点を模索しているのかについては語らなかったが、「eスポーツの発展と振興のための環境整備に向けて協議を継続していく」とコメント。今後も、eスポーツを取り巻く法的課題の解決に向けて努力していく姿勢を明確にした。

【報告会その他の報告内容】
検討会の実施
新たなJeSU公認タイトル
ARタイトル「HADO」がJeSU公認へ
オンラインでのJeSU公認大会の開催が可能に
地方支部が増加中
JeSU放送委員会の発足
登壇者