Special Talk Session#56
Keyキネティックノベルプロジェクト『LOOPERS』竜騎士07スペシャルインタビュー
『planetarian~ちいさなほしのゆめ~』『Harmonia-ハルモニア-』などを生み出してきたKeyの
キネティックノベルプロジェクトに新たな動きが!
まずは2021年春にリリースを予定している新作『LOOPERS』からシナリオを担当した
竜騎士07さんをお迎えし、たっぷり語ってもらったぞ!
photo = Toru Izumisawa
interview = Katsuyoshi Tanaka
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秋葉原での隠れ面接の結果
『Rewrite』に参加することに
新作『LOOPERS』のお話をうかがう前に、まずは竜騎士07さんがKeyと関わるきっかけみたいなところから訊いていきたいと思うのですが、どんないきさつがあったのでしょう?
もう20年くらい前のことになりますが、当時は僕、Keyさんのいちユーザーだったんです。出会いの作品はでしたね。そこからへと遡って、泣きゲーというジャンルにどっぷりと浸かっていきました(笑)。とくに『Kanon』に登場するヒロインたちは今の世界においてもキャラが立ちまくっていて、僕はあのとき「ヒロインの設定とはここまで攻めていいんだ!」と大いに感銘を受けたんですよ。それは後に書くのキャラクターたちにもインスパイアされているくらいで、当時からそれくらいヘビーにKeyさんを愛しておりました。
そんな竜騎士07さんがでKeyとタッグを組むことになりましたが、誰かからの指名があったのでしょうか?
僕もその辺は定かではないんですが、ひとつ言えるのは秋葉原でを開催していたことがありまして、そこに「よかったら見に来ませんか?」とお誘いをいただいたことがファーストコンタクトだったのかなと。僕としたら愛してやまないKeyさんからのお誘いだったのでふたつ返事で「はい!」だったんですけれど、一方ですごく不思議にも思っていたんですよ。なぜ誘ってもらえたんだろうって。でも今になって思うとあれは隠れ面接だったのではないかなって……(笑)。
あははは、隠れ面接ですか。
だって当時の僕はそれこそ、馬場社長をはじめKeyの皆さんとの面識なんてほとんどなかったわけですよ。だからKeyさんサイドでも仕事を依頼する前に「竜騎士07はどんな人間なのか」みたいなことを知っておきたかったという推理は大きく外れてはいないと思うんですよね。実際あのあとに『Rewrite』へのお誘いがあったわけですし。
そんな隠れ面接の末に参加された『Rewrite』ではルチア編(此花ルチア)を担当されました。
当時は自分の作品を半年に1本ペースで出していまして……。たしかお話をいただいたときもの執筆真っ最中だったのでそれほど多くの文章は書けなかったんですけれど、冬コミから夏コミまで8か月空いているんですよ。その前半の4か月……、つまり1月から4月までだったら時間が取れるなと、参加させてもらいました。
執筆時の思い出やエピソードはありますか?
田中ロミオ先生が1ヒロインくらい脱稿しているだろうからその文章を読んでから取り掛かれるなと考えていたんですが、僕が書き始めなければならない時期はその脱稿の前だったので、結果的には設定資料を片手に僕が真っ先に書き始めなければならなかったことです(笑)。
ええ! 『Rewrite』は竜騎士07さんが最初に書き始めていたんですか?
はい。でも引き受けた以上はやるしかないという気持ちもありましたし、『Rewrite』だけに「何かあったらリライトするからとにかく書きたいように書いてくれ」と言われていましたのでとにかく書いてみようと! 脱稿の瞬間はそれこそ「憧れの会社で仕事ができて我が生涯に悔いなし!」の気持ちでしたよ。そんな昇天から幾年月。今回という形で再びお誘いしていただけたことで、うれしさも倍増ですよ。
もう少し『Rewrite』のお話を訊きたいんですが、個別ルートはさておき、さすがにメインルートはあったんですよね?
それも割りと途中でしたね。ここからはもし言ってはいけない発言だったらカットしてもらいたいんですが朱音周りの設定もかなり柔らかい感じで……、ガイアとガーディアンの具体的な組織設定もふわっとしていたんです。だからこそ、僕もそこは勝手に解釈して「間違っていたらなんとかしてくれるだろう」という気持ちで書き進めたんですが、意外とガッツリそのまま使われていて(笑)。若さゆえのなんちゃらってやつですよね、懐かしいな……。楽しかったな……。
たしかプロットでははふわっとしていたそうですし、それにルチアに関してもなかったとも聞きました。
そうなんです。じつは最初、ルチアという女の子はいなかったんですよ。小鳥、ちはや、朱音、静流はいたんですが、そんな中でガイアはふたりいるのにガーディアンは静流ひとりだけじゃないですか? そこで僕は「もうひとり作ります」と提案させていただきルチアを書かせていただくことになったんですよ。だから自由にやらせてもらった部分はありました。
Keyで仕事する前はファンという立場だった竜騎士07さんですが、実際仕事で関わって印象が変わった部分はありましたか?
結論からいうと変わらなかったですね。はじめて大阪にある本社におうかがいしたときにも「これだけ尖った人たちが集まっている会社だからこそ、素晴らしい作品の数々を生み出せるんだ!」と納得しましたからね。もちろんいろいろと物珍しくて「完全防音の中で仕事をしているな」とか、「きっとこの窓から監視されてるんだろうな……」なんていろいろ妄想を膨らませていましたけれど、そんな妄想ばかりではなく個人のやる気をしっかりと受け止めようという社風が見てとれたこともあり、感動していましたから。やっぱり尖った作品を生み出す会社には、麻枝さんを筆頭に尖った方々がいらっしゃる。それこそ馬場社長からして尖っていらっしゃいますからね!