津軽地方で開催されるねぶた祭りの起源については,これまで諸説提言されてきた.なかでも坂上田村麻呂が蝦夷征伐をする際始まったとする説や,戦国武将の津軽為信が京都のお盆行事で始めた説は,時代背景が一致しないことから否定されている.日本国内で行われている多くの祭りは京都が起源と考えられていることから,京都文化を津軽へ持ち込んだ人々とそのプロセスを調査した.その結果,坂上田村麻呂を主人公とした物語が津軽為信による津軽地方支配に置き換わったことと,津軽為信の家臣 服部長門守が京都から灯籠行事をもたらしたことにより,ねぶたが津軽へもたらされた可能性があることを見出した.