2011 年 11 巻 1 号 p. 1_32-1_47
2008年岩手・宮城内陸地震の際,KiK-net一関西観測点では上下動の最大加速度が4G(Gは重力加速度)に近い驚異的な強震記録が得られた.この加速度時刻歴には自由地盤表面での強震記録とは思えない特徴が認められることから,強震観測点の現地調査や振動台模型実験,数値解析などによって,この驚異的な上下動加速度の成因を調べた.その結果,この強震記録には強大な地震動入力によって地震観測小屋がロッキング振動で浮き上がり,地面と再接触した際の衝撃力の影響が強く反映している可能性が高いことが見出された.またこの影響がなければ,本震時の4Gに近い上下動最大加速度は1.6G程度であることも導かれた.