地質学雑誌
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論説
三重県志摩半島の黒瀬川帯から見出された後期ペルム紀整然層と広域対比
内野 隆之鈴木 紀毅
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2016 年 122 巻 5 号 p. 207-222

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抄録

志摩半島の黒瀬川帯に分布する珪長質凝灰岩および凝灰質泥岩からAlbaillella cavitataA. protolevisFollicucullus scholasticusTriplanospongos musashiensisなどの後期ペルム紀(ウーチァーピンジアン期~チャンシンジアン期前半)放散虫化石を見出した.両岩石を含む地層は,分布幅が約30mで,非変形の整然相を示す.この地層はこれまで前期白亜紀前弧海盆堆積物からなる松尾層群の一部と考えられていたが,後期ペルム紀の整然層であることが判明した.志摩半島を含めた紀伊半島におけるペルム紀整然層の認定は初であり,その分布は九州から四国を経由して志摩半島まで延長することが明らかになった.志摩半島の後期ペルム紀整然層は,四国の土居層群,市ノ瀬層群の一部,九州の球磨層の一部,小崎層の一部と年代対比できる.

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© 2016 日本地質学会
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