関西病虫害研究会報
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兵庫県におけるイノシシの被害実態と防止対策
足立 年一久保 清山下 優勝
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1982 年 24 巻 p. 5-10

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抄録

兵庫県におけるイノシシの生態や行動習性, 農作物の被害実態について聞き取り調査を行うとともに, 電気柵によるイノシシの侵入防止の現地試験を併せて実施した.
1. 被害を受ける農作物には水稲・イモ類・マメ類・栗・柿・竹の子などがあり, なかでも水稲の被害程度が高い.
2. 兵庫県下の生息状況は捕獲数と被害面積から判断すると, 昭和48~51年頃 (約7,800頭捕獲/年) をピークに減少傾向を示している.
3.イノシシは夜行獣で, 夜出没して農作物に被害を与える. ヌタうち, スリ木, きばかけなどの習性がある.
4. イノシシは12月~2月に交尾を行い, 妊娠期間は約120日で4~6月頃出産し, 普通4~6頭産仔する.
5. 餌のし好性を飼育イノシシでみると, 熟柿, サワガニ, 腐植土, 栗, マオ, クズの葉, シュズダマ, サツマイモのつるなどや, 野ネズミ, ヘビ類, ミミズなどの小動物を食べ, 非常に雑食性である.
6. 電気柵による侵入防止効果試験において, 夜光塗料塗布線区ではイノシシの侵入を防止することはできなかった. 電気柵 (ポリステンレス線3~4段張り) 区では, 最初配線不備なところから侵入したが, 設置面を平らにし, 完全に配線したのちは, イノシシの侵入を防止することができた.

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