農業機械のクリーンエネルギー化対策として,本研究は,バイオエタノール原料であるサツマイモの直播栽培の作業工程における省力,省エネ化を目指し,種イモ切断装置および電動播種機を開発し,その効果について検証した.
種イモ切断装置の仕様決定に際しては,装置のコンパクト化,作業の能率化を考慮して,切断角は 9° 程度,切断速度は 0.3~0.5 m/s が適当と考えられた.本切断装置を用いて,1 本のイモから 8 個の種イモを作製する時間は,約 50 秒であった.
1.5 kW モータを搭載した電動播種機を試作した.その結果,改造前のガソリンエンジン式より大幅なエネルギー消費量の削減が確認できた.電動播種機の播種機構作動に必要な電力は,走行に必要な電力の約 20%であり,多くの電力が走行用に使われることから,走行抵抗を低減すれば,更なる省エネ化が期待できると考えられる.
また,一回の満充電あたりの連続作業時間は 3.7時間/1300 m2 となり,10 アール当たりの作業時間に換算すると 2.76 時間となった.バッテリが劣化して容量が 80%になったと仮定しても 2.96時間,作業面積にして 1000 m2 の連続作業が可能であり,改造前のエンジン式の連続作業時間と比較すると 10 分の 1 程度であるものの,作業能率は遜色なく,実用化の可能性があることが確認できた.