日本森林学会誌
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論文
スギ成木および実生におけるアーバスキュラー菌根菌の感染率の季節変化
畑 邦彦木本 遼太郎曽根 晃一
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2018 年 100 巻 1 号 p. 3-7

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抄録

 スギにおけるアーバスキュラー菌根菌(以下,AM菌)の感染率の季節変化を明らかにするため,鹿児島大学農学部附属高隈演習林において,2012年1月から2013年11月にかけて毎月1回スギの成木および実生から根を採取して組織染色を行い,根内のAM菌を顕微鏡で確認した。その結果,今回調査を行った全ての月の全調査個体でAM菌の感染が確認された。感染率は成木,実生とも1月から5月までは低かったが,6月に急上昇後,8月にかけて一度低下してから再び上昇し,成木は9月と11月,実生は10月をピークに再び低下するというパターンを示した。感染率は実生より成木の方が高い傾向が見られた。また,成木,実生とも感染率の季節変化は2年間で極めて類似していた。感染率は平均気温と全体として有意な正の相関を示したが,詳しく見ると,およそ22℃をピークにそれ以下では気温と共に感染率が上昇,それ以上では低下する傾向を示した。降水量も感染率と有意な正の相関を示したが,これは主に気温と感染率の相関を反映した間接的な関係と思われた。

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