日本大腸肛門病学会雑誌
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高カロリー輸液施行中に亜鉛欠乏症をきたしたクローン病の3例
田村 利和福田 洋岡田 憲三川人 幹他国友 一史藤田 博茂大和 秀夫嵩原 裕夫古味 信彦
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1984 年 37 巻 2 号 p. 132-137

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抄録

最近, 長期TPN (Total Parenteral Nutrition) を施行したクローン病の3例に亜鉛欠乏症によると思われる皮疹および脱毛を認めたので報告する.症例は28歳女性, 17歳男性, 30歳男性の3例で全例小腸・大腸型である.TPN施行後, 亜鉛欠乏症出現までの期間は, それぞれ1週間, 1カ月, 1カ月と比較的早期に出現している。また症状として全例口角炎, 鼻翼周囲の皮疹, 会陰部の発赤が認められたが, 脱毛, 指趾端の発赤が認められた症例もあった.クローン病は大量の消化液の喪失, 吸収不全による慢性的な亜鉛欠乏状態がその基盤にあると考えられ, TPN施行中には, 亜鉛を代表とする各種微量元素の血中濃度に留意し, 欠乏症が疑われる時は, 速やかな微量元素の投与が必要であろう。

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