日本腰痛学会雑誌
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特別企画●腰痛の病態解明
仙腸関節由来の腰痛
村上 栄一
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キーワード: 仙腸関節, 腰痛, 診断
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2007 年 13 巻 1 号 p. 40-47

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抄録

仙腸関節由来の痛みの腰痛に占める頻度は約10%で,若年者から高齢者までの男女に発症する.MRI,CTで特異的な画像所見が得られず見逃される例が多い.その自覚疼痛部位は仙腸関節裂隙の外縁部を中心とした腰殿部が多く,鼡径部の痛みも特徴的である.多くの例でdermatomeに一致しない下肢の痺れや痛みを伴う.また圧痛が上後腸骨棘およびその周辺,仙結節靱帯,腸骨筋部で多くみられる.患者自身に疼痛の最も強い部位を1本指でささせるone finger testで上後腸骨棘およびその腸骨側の近傍がこの痛みに特異的な指さし部位である.仙腸関節由来の疼痛の診断は自覚疼痛部位,仙腸関節への疼痛誘発テスト(Newton テスト変法, Gaenslen テスト, Patrick テスト)を参考に仙腸関節ブロックの効果で決定する.治療は骨盤ゴムベルトの装着や仙腸関節ブロックの保存療法が効果的であるが,これらの保存療法に抵抗し,日常生活や就労に著しい障害を伴う例には仙腸関節固定術が有効である.

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© 2007 日本腰痛学会
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