植生史研究
Online ISSN : 2435-9238
Print ISSN : 0915-003X
縄文時代のダイズの栽培化と種子の形態分化
中山 誠二
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 23 巻 2 号 p. 33-42

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抄録

本稿では,レプリカ法によって確認された縄文時代のダイズ属種子圧痕を集成し,比較することによって,それらの大きさや形態の時間的変化を明らかにした。その結果,中部日本において縄文時代早期中葉(紀元前8 千年紀後半)から存在するダイズ属の種子が,縄文時代を通じて大型化し,特に紀元前4 千年紀後半の縄文時代中期以降,栽培型ダイズの種子が顕在化することが明らかとなった。この現象は,植物の栽培化に伴う一つの特徴である種子の大型化現象を示している。さらに,縄文時代のダイズ属種子は4 つの形態に分類され,野生種の利用から栽培化の過程で形態的な変化が生じ,複数の品種に分化した可能性を指摘した。

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© 2015 日本植生史学会
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