食品衛生学雑誌
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腐肉食性巻貝キンシバイNassarius (Alectrion) glansに認められたフグ毒の毒性と毒成分
谷山 茂人諫見 悠太松本 拓也長島 裕二高谷 智裕荒川 修
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2009 年 50 巻 1 号 p. 22-28

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抄録

2007年9月~2008年1月に長崎県橘湾で採集した小型巻貝7種計66個体につき,マウス試験で毒性を調べたところ,キンシバイは供試した22個体すべてが有毒であった.毒力は極めて強く,特に2007年9月に採集したものでは,10個体中8個体の筋肉または内臓が1,000 MU/gを上回った.興味深いことに,22個体中13個体で筋肉の総毒力(725~9,860 MU/個体)が内臓よりも5.9~110倍高い値を示した.LC/MS分析により,毒の主成分は tetrodotoxin (TTX) であることが明らかとなり,加えて11-oxoTTXを含むことが示唆された.一方,同時期同海域で採取したその他の巻貝については,毒性は全く認められなかった(5 MU/g未満).

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© 2009 公益社団法人 日本食品衛生学会
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