作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
実践報告
医療観察法病棟における統合失調症の長期入院事例に対する作業療法
─ギター演奏という意味のある作業を生かして─
南 庄一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 38 巻 1 号 p. 110-116

詳細
抄録

今回,筆者は当院の医療観察法病棟において,重篤な精神病症状と衝動的な暴力によって,治療が停滞していた統合失調症の長期入院事例に関わる機会を得た.介入としての対話の中で,ギター演奏が事例にとって意味のある作業であることを見出した.事例はギターを演奏することを通して,治療に対する動機づけを高め,前向きに治療に取り組むことで地域生活を再開させた.医療観察法という強制医療の枠組みにおいて,対象者の意味のある作業に着目することは,対象者との関係性を構築し,ケアの進展を図る上で有用であり,長期入院化を打開する有効な手段となりうることが示唆された.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人日本作業療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top