肝臓
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女性大酒家肝障害の臨床病理学的研究
西村 正信野内 俊彦小山 恒泉 並木戸塚 慎一田沢 潤一湊 志仁蓮村 靖武内 重五郎
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1984 年 25 巻 10 号 p. 1246-1252

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抄録

女性大酒家肝障害は,近年まれではなくなり,その臨床病理学的特徴が注目されているが,十分解明されていない.そこで,過去8年間に組織診断したアルコール性肝障害480例中にみられた女性大酒家肝障害25例(5.2%)について,病態の解析を試みた.
女性例では,アルコール性肝炎,高度肝線維化,肝硬変といった進展した肝障害が全体の80%を占めた.また,女性大酒家肝障害では,更年期前の月経不順または無月経が52%に認められ,女性非アルコール性肝硬変(21例)における出現率(10%)より有意に高かった.男性のアルコール性肝硬変(45例)と比較すると,平均年齢,飲酒期間,積算飲酒総量はいずれも有意に低かった.以上より,女性大酒家は同量の飲酒でも短期間で高度肝障害発生の危険性が高く,月経異常を伴いやすい特徴がある.今後,女性ホルモンとアルコール性肝硬変発生との関係を生物学的に追求する必要が指摘できた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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