2002 年 43 巻 6 号 p. 282-287
漢方薬による肝障害の本邦での報告を, 漢方薬の開始と肝障害発現時期との関係, 漢方薬中止後の経過, 併用薬の有無, 薬物以外の原因の除外に基づいて, LSTの結果とは無関係に再検討した結果, 58例中8例が「insufficiently documented」, 4例が「probably unrelated」と判定された.「probably unrelated」と判定された症例はいずれも lymphocyte stimulation test (LST) 陽性を根拠に漢方薬による肝障害と診断していた. 漢方薬によるマイトージェン活性に関しては数多くの報告があり, 漢方薬の副作用の診断根拠としては, LSTは不向きである. 漢方薬による肝障害の頻度や臨床像を正しく検討するためにも, 正確な診断に基づく漢方薬の肝障害報告を集積していくことが重要と考えられた.